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第七話

 数ヶ月が過ぎて春。


 人事異動の季節がやって来た。

 当然の事ながら、当ホテルも例外ではない。


 役職が上がる者がいる反面、地方のホテルに「左遷島流し」される者もいる。


 エリアマネージャーが、当ホテルにやって来た。

 人事の発表のためである。


「人事の発表をする!」


「現在のスタッフの役職はそのままだが、支配人と副支配人には人事異動がある。」


「佐藤支配人を地方のホテルに移動してもらい、現副支配人を新たな支配人とする。」


「何故、私が左遷なのですか?」


「君はホテルの為と言いながら、経費を私用しているな?副支配人から報告が上がっている!」


 副支配人がニヤリと笑った。


「しかし、固定客は増えていますし、売上・利益共に上位に入っているはずです!」


「経費を使わなければ、もっと利益を出せたんじゃないかね?」


「ですからそれは、必要経費です!使う所を間違った覚えはありません!」


「これは本社の決定事項だ!認めないのなら、去って行ってもらってもいいんだぞ!」


「…分かりました…。」

 握る手が震えた。


 私は引き継ぎをするために、副支配人を支配人室に呼び出した。


「いや〜、まさか支配人が地方のホテルに左遷島流しだとは、夢にも思いませんでしたよ〜。」

「しかも、そのホテルは万年売上最下位、そこに行った人は二度と帰って来れないへき地ですから大変ですな〜。」


「僕が一番、驚いているよ。後は君に任せたよ。それで、引き継ぎの件なのだが、始めてもいいか?」


「それには、およびません。私は、あなたとは違い『利益を上げる』やり方でやりますから、支配人は荷物をまとめられてはいかがです?」


「そうか…わかった…。」



 地方ホテルに移動の日。


 多くのスタッフが集まって見送ってくれた。

 中には涙を流してくれる者もいた。

 辞めると言ったスタッフもいたが、思い留まるように諭した…。


 新支配人は…見送りには立ち会わなかった。

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