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第二十話

 全国ネットのTVで言われたら本社もたまらない。

 連日のように苦情の電話が鳴り止まない。

 そのほとんどが陽光ホテルの常連で


「気にいっていたのに、変な客が増えて、泊まれなくなったんだぞ!」

「前はスタッフも良かったのに、今のスタッフは何だ!ちゃんと教育してんのか!」

「高橋をやめさせろ!」

「佐藤支配人を呼び戻せ!」

 の意見が多く、社員は電話対応で大慌てだった。



 本社社長室。


「もう、対応しきれんな…」


「うちの株価も下落し始めています。」


「それはまずい。すぐに手を打て!株主に合わす顔がなくなる!」


「社長、失礼します。」開けっ放しのドアをノックするのは監査の人間だ。


「実は、高橋支配人とエリアマネージャーの件で」


「何かね?」




 佐藤支配人が掲げた「3年計画」は2年と3ヶ月で達成、全国のホテルでも、上位の売上・稼働率・利益率になった。


 佐藤支配人宛に電話ですと、副支配人が電話を手渡した。本社からである。


 すぐに本社に来るようにとの事だった。


 本社へ行くと、社長室へと案内され、コンコンコンとノックをして、扉を開ける。


「失礼します。」

 深々と頭を下げていると、他に2人いることに気がついた。

 顔を青くした高橋支配人とエリアマネージャーである。


「君が佐藤君だね?」


「はい。」


「今日は特別人事を告げたくてね」


「…と、申しますと…?」


「来月1日から、陽光ホテル支配人兼、エリアマネージャーとして働いてもらいたい。もちろん、今のホテルも頼むよ!」


 そんなめちゃくちゃな…そう思っていると、


「地方のホテルに適切な人材はいるかね?その子を支配人にしてもいいが、たまには顔を出してやってくれ。」


「分かりました。ちょうど、人材も育っています。私の後見となる人材がいます!」


「では、そのホテルの人事は君に任せよう。」


「それと、すまなかったな…」


 社長は、私が作り上げた陽光ホテルを高橋とエリアマネージャーが乗っ取ろうとした事、利益の一部を私的流用していた事を話してくれた。


「まっ、私的流用できたのは、ほんの数ヶ月だったがね・・・その後は赤字続きだったならな。」


 高橋とエリアマネージャーを睨みつけると、2人は更に頭を下げる。


「それで、高橋支配人とエリアマネージャーはどうなるのですか?」


 罪を侵したとはいえ、高橋は今度受験を控えた娘がいるし、エリアマネージャーに関しては、ご子息が産まれたばかりだ・・・何とかならないものか・・・。


「ああ、この2人は平スタッフに降格して地方のホテルに飛ばすよ…これでも、我が社の社員だからな。」


「そうですか…」


「あの、一つお願いしたい事があるのですが…」


「何だね?」


「私が陽光ホテルを去った後に辞めていったスタッフのうち、戻りたいという人間がいれば、また雇ってもらいたいのですが。」


「ああ、そう言うことなら、君に任せる」


「ありがとうございます。」


「話は以上だ。」




 現、支配人をしているホテルにて…。


「そういう訳で、今月末で私はこのホテルを離れます。」


 事務所が、静まり返った。


「そこで、新たな支配人を任命します。」


「副支配人、君だよ。」


 副支配人は、ぶぁっと涙を流しながら

「佐藤支配人が作り上げたこのホテルを汚さないよう、一生懸命、働きます!」と決意を顕にした。


「そんなに気負わなくてもいいよ。私みたいに倒れられては困る。」


 ハハッっと、笑い声が聞こえた。


「それと、副支配人は君達全員で話し合って決めなさい。」


「いいかい。ここにいる全員が支配人だという気持ちでお客様と触れあい、さらなる発展の為に知恵を出し合いなさい。話し合いは前向きに、徹底的に話し合って決めなさい。」


「「「「分かりました!」」」」




 翌月1日。陽光ホテルにて。


「早速、仕事にとりかかろうか!」


「支配人、まずは何から手を着けるんですか?」


「もちろん、やめてしまったスタッフを呼び戻す、そして、人事を元に戻す!全てはそこからだ!」


「まったく、支配人は苦労しますね。呪わるてるんじゃないですか?」


「まったくだ。」


「こんにちは〜」フロントから声がする。

「女優さん」だ。


「佐藤支配人が戻ったって聞いたから、来ちゃった。」


「本日はご宿泊ですか?」


「あ〜、今日はだめなのよ〜仕事が忙しくって。それに、今の陽光ホテルじゃ泊まる気が起きないわ。」


「それは何としても早く元に戻さなくてはいけませんね。その折には招待状をお送り致しますよ。」


「あら、私がそんな特別扱いが嫌いと知ってて、からかってる?」


「失礼いたしました。」


 お互いに笑みが浮かぶ。


「うん。また予約するから!」


「お帰りをお待ち申し上げます。」


「じゃあね!」


 それから3年後、陽光ホテルはV字回復し、元いた地方のホテルと売上を競い合うようになった。


 どうやら、地方のホテルはアメニティを有名ブランド品に変えて、お持ち帰り可能にしたら、部屋単価を上げても女性客の支持が上がったそうだ。


「うちも、真似させて貰おう!」




 今日もご予約のお客様でいっぱいの陽光ホテル。


「お帰りなさいませ。支配人の佐藤でございます。ご予約のお客様ですか?」


 今日もホテルの日常がはじまる。


ー完ー

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