第十九話
数日後…。
あの「女優さん」が取材したテレビの放送日。
全国ネットで良かった。こんな地方でも見れるからね。
一通り、取材のVTRが流れると、MCの人が「女優さん」にホテルについて質問した。
「そう言えば、宿泊もされたんですよね?」
「ええ、それが条件でこの仕事を受けたんですから。」
ん?何言ってんだ?この人。
「ココのホテルはすごく良いのよ!佐藤支配人って言うんですけど、この人の優れた手腕の賜物ね!また、泊りたいわ〜!」
「それに引き換え陽光ホテルは最悪よ!以前、佐藤支配人が居た時は、気持ちのいいスタッフ達、清潔な館内だったのに、今の高橋支配人に代わってから、スタッフの質が落ちたのよ、そのせいでお客さんの質まで落ちて、ほんっと最悪!」
「女優さん」は、生放送・全国ネットで言い放った。
これが、佐藤・高橋、両支配人にとって、決定打となったのは、言うまでもない。
佐藤支配人のいるホテルは連日満室、ほとんどが「女優さん」が褒めちぎったホテルと支配人見たさ。
農業体験も連日予約と評判があがった。
「押さないでくださ〜い!」
「写真は良いですけど、順番を守ってください!」
まるでタレントである。
恥ずかしさの余りに他に目をやると
「キャー!今、目が合ったわー!」
他のお客様を気遣って、
「もう少し、静かにしてもらえますか?」と言うと、
「キャー!声、渋い!カッコイイ!」
収まるまで、事務所に逃げることにした。
高橋支配人とはと云うと…
連日のようにホテルに苦情、嫌がらせの電話、「高橋を出せ!」直接クレームを言いに来るお客が現れる始末・・・
挙句の果てには、「コイツが高橋だ!」とネットに顔を上げられ、「人間のクズ」「氏ね!」と、叩かれてしまうようになってしまっていた。




