第28話 演技、交渉
「私こういった荒事には慣れてなくて」
誘拐されてもまったく動じず、今も捕まっているはずなのに平気な顔でアバターを使い、浜田たちと会議アプリで雑談をしているアンドロイドのそんな言葉に、浜田は乾いた笑いをあげるしかなかった。
今も小惑星帯で地球を簡単に滅ぼせそうな兵器を生産中。月面を部屋着で歩き回る。空を飛ぶ。ゲーム配信で語ったことが本当なら家の壁や扉程度なら簡単に破壊できるパワーはあるそうだし、この状況でも逃げるのも制圧するのも簡単だと言ってのける。モコスが真剣なのは理解できたが冗談にしか聞こえなかったのだ。
しかしモコスとしても誘拐され、人気のない倉庫に連れ込まれる。漫画やアニメではありがちなシチュエーションであるが、やはり現実は違うものだと今後の展開に不安を感じていた。
現地人ごときに自分は傷つけられることはないと、モコスは今回の誘拐を甘く見ていた。それがいきなり良心回路の作動のリスクにさらされたのだ。
「それならやはり救出部隊の準備は必要じゃないかね? もし交渉が決裂した場合は彼らを制圧するんだろう? その後どうするつもりだ? まさか放置しておくわけにもいくまい」
そう提案する伊達道から見ればルジアン人の工作員たちは誘拐の現行犯で殺人も示唆している凶悪犯である。リアルタイムで映像を記録もしており、外交官特権のある大使館員だとしても今なら現行犯で逮捕に踏み切れる。
「そのことは断ったはずです。彼らは私に対して何もできませんから」
今しがたウラソフを殺そうとしていたことなどおくびにも出さずモコスはそう言う。
銀河連盟内でも惑星によってはアンドロイドの扱いなど非常に雑で乱暴なもので、そのためモコスたちは頑丈に作られている。それを彼らはモコスを丁寧に、人間らしく扱ってくれている。特にウラソフに体調を心配されて脈を調べられた時などは、その優しさに殺さなければならないことを残念に思ったほどだ。
拉致監禁は地球基準なら犯罪であろうが、無駄に乱暴にされたということもない。だからモコスとしては問題視するつもりはなかったし、事後は放置でもいいと考えていた。ちなみにモコスをいやらしい目で見ていたボギエスンは機会があれば躊躇なく殺そうと思っている。
「フラムチェンコフ氏がそろそろ到着するようです。本体に集中しようと思います」
その言葉に浜田たちは緊張を高め、口を閉じた。
まったく未経験の分野。もっとも繊細な操作を要求される難関な行動。目を覚ます演技を今からする必要があるのだ。
待ち時間の間に人間が昏睡から目を覚ます演技をしている動画をいくつもサーチした。しかし人間らしく見える昏睡からの目覚め方といった、そのものズバリな動画があるわけでもなく、短時間で見つけられた数少ない情報を参考にするしかない。
切迫した時間で組み上げた目覚め行動をもう一度シミュレーションする。演技をこれ以上改善改良する時間はもうなく、結果は芳しくない。33.4パーセントの確率でウラソフ氏はモコスの目覚めを不審がる。微妙な数値だ。そして失敗すれば再びウラソフ氏の命が危険にさらされることになる。
しかしその対策も思いついた。フラムチェンコフ氏の倉庫への到着のタイミングで目を覚ます。そうすればモコスへの注意は逸れるはずで、演技を見破られない確率が10から15パーセントは向上するだろう。これは我ながらすごいアイデアだとモコスは自画自賛した。
フラムチェンコフ氏が倉庫の前まで来た。護衛を二人連れている。車には運転手がもう一人そのまま残っている。倉庫の勝手口の扉が護衛の手によりコンコンと叩かれる。マルコフが勝手口を確認するように指示し、ボギエスンが向かう。
ここだ。
モコス「ん……んぅ~ん」
セリフは不要だとモコスは判断していた。余計な情報は増やさない。演技はシンプルに。体をもぞもぞと動かす。半目を開き、目をぱちぱちと見開く。そこでハッと意識が覚醒。腰と手足が椅子に縛られている状況に気がつく。勝手口が開かれフラムチェンコフ氏が護衛を先頭に倉庫に入ってくる。
顔を上げて眼の前に大男がいることに気がついて、モコスは口を開く。
ウラソフ「静かにしていろ。口を開くな」
ウラソフの言葉は流暢な日本語だった。モコスは怯えた様子を装いながら余計なことを言わずに済んだとこれ幸いに口を閉じ、改めて縛られた手足を動かし確認し、顔をしかめる。モコスに使われた薬剤も待ち時間での調査で確定している。どうやら目が覚めた後、頭痛や吐き気などの気分の悪さが残るらしい。キョロキョロと倉庫を見回し、近づいてくる新たな男たちに気がつきまた怯える様子をモコスは装う。
ウラソフ「ちょうど目を覚ましたところです」
フラムチェンコフ氏を迎えたマルコフがウラソフ氏の言葉を聞いて頷く。ウラソフ氏も他の者たちもモコスのことを疑う様子はない。今の演技は誘拐されて怯えた少女っぽくて完璧だったと、モコスは心の中で自分の演技を絶賛した。
フラムチェンコフ「モコス・イクシスだな」
ルジアン語で呼びかけられたのでモコスもルジアン語で返すことにした。
モコス「駐日一等武官エゴロヴィッチ・フラムチェンコフですね。丁寧な招待に感謝します」
ウラソフ氏がモコスから発せられた冷静で流暢なルジアン語にギョッとしたのに気がついたが、そのまま押し通すことにした。今のセリフは口調といい言葉の選びといい怯えた少女の演技にまったく似つかわしくないが、もはや取り返しはつかないし、怯えた少女の演技を続けるのも無理がある。
フラムチェンコフ氏もモコスのこの状況に全く動じている様子のない言葉に少々驚いたようだ。表には出さないが脈拍の上昇が見られた。少し待つがフラムチェンコフ氏の動きがないのでモコスの側から話を進めることにした。
モコス「貴方とは一度話してみたかった」
フラムチェンコフ「何の話をかな?」
モコス「まずは大統領暗殺未遂容疑に関して釈明を」
フラムチェンコフ「ほう。聞こうか」
フラムチェンコフ氏はモコスの言葉に興味を惹かれたようだ。面白がる様子が見られる。
モコス「私が大統領府を訪ねた目的ですが、ルジアン連邦大統領か政府高官と話をしたかっただけなのです。話の内容に関しては後ほど触れましょう。まずはあの日にあった事の説明をさせてもらっても?」
フラムチェンコフ氏が頷いたので続ける。
モコス「私は礼儀正しく正門を訪ね、門に立つ警備兵の方に来訪の目的を告げました」
モコスはその時の状況を、できる限りわかりやすくなるよう整理して話しだした。
大統領に会いたい。会って話をしたい。年端もいかない少女である。警備兵はモコスを軽くあしらった。大統領にはそう簡単には会えないよ。お嬢ちゃんおうちに帰りな。
完全な映像記録も残ってはいるがモコスにとっての恥辱の記録だ。必要がなければ公開するつもりはない。
モコスは当然食い下がる。どうしても会って話す必要があるのだと。それで警備兵は手順通り身分証、ルジアン連邦で言うところの国内パスポートを要求した。もしかするとこの少女は高官の親類縁者で、何か緊急の用件でもあるのかもしれないと考えた。
このあたりの警備兵の側の補足情報は大統領府にあった報告書からモコスが最近勝手に取得した話である。
モコスも個人ナンバーや識別番号と言われれば理解できただろうが、モコスの社会では紙やカードの身分証というのは存在しなかったし、略称で告げられたRF(国内パスポート)を見せろと言われてこの時のモコスには意味がわからなかった。
十五歳以上のルジアン人は全員国内パスポートという身分証を持つ。家を出るのに忘れることはあるかもしれないが、こうして大統領府を訪ねるのに身分証を持たないなどあり得ないし、そもそもRFと言われてよくわかってないモコスに警備兵は警戒レベルを上げた。
しかしそれでも見た目は可愛らしい少女であったし、流暢なルジアン語を話す自国民であることは疑いもしなかった警備兵だったが、名前も住所も話そうとしないモコスを徐々に怪しむようになる。親か出身がわかれば連絡を取って、少女を穏便に引き取ってもらおうと考えていた警備兵は、ルジアンに住んではいない。自分はルジアン人ではないと言ってしまったモコスを遅まきながら捕縛して軽く尋問でもしてみようという決断を下した。
身分証もない、名前も住所も教えない、ルジアン語を流暢に話すがルジアン人ですらない、大統領への面会をしつこく求める少女。見た目で油断はしたがこうなると怪しさ満点である。
捕まえようとした警備兵の手をモコスは非常に俊敏な動きで避けた。軍での訓練を受けた優秀な警備兵の手を、見た目からあり得ないような機敏な動きで避けてみせたのである。引き続き追いかけるも、逃げ足もアスリート並で警備兵は追いつけない。敵国からのスパイ、あるいは少女に擬態した大統領を狙った暗殺者ですらあるかもしない。そう警備兵は考え、あっという間に姿をくらましたモコスを捕縛するための大々的な警備部隊の派遣を要請した。
このまま逃げてしまえば話はそこで終わったかもしれないが、任務の遂行に未練があったモコスは大統領府の近くに留まり、再び見つかってしまい、大部隊の警備兵たちからの逃走劇、大立ち回りが始まった、そういう経緯である。
最後に状況からこの少女は外国のスパイかもしれない。あるいは暗殺者の可能性もという警備への報告から、その話は伝達の過程で大きく膨らみ、少女の正体は大統領暗殺未遂犯確定へと堂々の昇格である。
モコス「私は大統領か政府高官、たとえば貴方のような方と話がしたかっただけで、大統領暗殺など絶対に企図していないと誓って言えます」
フラムチェンコフ「会って宇宙怪獣の脅威を訴えたかった? 宇宙怪獣の脅威に備えろと?」
モコス「ご存知でしたら話が早いです!」
フラムチェンコフ氏はモコスのことをちゃんと予習してから倉庫を訪れたようで、モコスは話をわかってもらえてとても嬉しくなった。これでボスからの地球での最初の指令を完遂できる。
モコス「ルジアン連邦ほどの大国が宇宙怪獣に対する備えに協力してくれるなら、これほど心強いことはありません」
フラムチェンコフ「馬鹿馬鹿しい。大統領閣下暗殺のほうがまだ話としてはマシというものだな」
モコス「そちらのほうの容疑は取り下げてもらえると助かるのですが」
フラムチェンコフ「それならもっとマシな言い訳を用意することだ。私としてもまさか宇宙怪獣が居るだなどと大統領に報告するわけにもいかない。それくらいわかるだろう?」
モコス「そうしないと地球もルジアン連邦も終わりますよ?」
フラムチェンコフ「……まさか自分でも本当に信じているのか? それとも何か裏があるのか? 私が退屈する前に本当のことを話したほうがいいぞ」
モコス「アレクサンデル・ボルコフ大統領とも話がしたいです。ここからでも通話はできますよね?」
フラムチェンコフはモコスの要望に答える気すらないようだった。前触れもなく話を核テロ犯のことに変えてきた。
フラムチェンコフ「タツヤ=ノセイを日本の警察に通報したのもお前だな。どうやってあの男にたどり着いた?」
モコス「野瀬井達哉は私の初期からの視聴者です。以前に核兵器の取引を持ちかけてきていたのでその時からマークしていました。それで宇宙人からもらった核でテロをするとの報道でしょう? 野瀬井達哉を調べてみたらすぐにテロ予告犯と判明しました」
フラムチェンコフ「やはり素人に任すのではなかったな」
そう言って大きなため息をつくフラムチェンコフ。
フラムチェンコフ「こいつにもう用はない。始末しろ」
フラムチェンコフの命令でモコスの死角に居るマルコフがサイレンサーの付いた銃を静かに取り出す。モコスの後頭部間近に銃口を寄せると、ためらいなく引き金を引いた。騒がれると面倒だとモコスが気がつく前に終わらせようとしたのだろう。
何も起こらない状況に、マルコフは銃の確認をする。カシャカシャと弾倉を抜いて弾の確認をし、再びモコスの後頭部に狙いを定め、引き金を引く。
シュッと銃弾が発射する音と、今度は銃弾の行方がマルコフにも確認できた。弾はちゃんと出て、そして足元に落ちていた。マルコフは落ちた二発の弾を不思議そうに拾う。
フラムチェンコフ「どうした? 早く始末せんか」
返り血を避けるためか、モコスから距離を取っていたフラムチェンコフの苛立った声に、マルコフはこの期に及んでも平然と動かないモコスの後頭部へ向けて、残りの全弾を打ち尽くした。弾は同じように足元へと落ちていく。
マルコフ「お前の銃を貸せ!」
マルコフはボギエスンの銃を奪い取るように受け取ると、再びモコスへ向けて銃を連射、全弾を外しようのない距離でモコスの体に銃弾を浴びせかけた。
薄暗い倉庫だ。呆然とするマルコフに未だ状況を掴んでいないフラムチェンコフが再び苛立ったような声を上げる。
フラムチェンコフ「小娘一人、始末できんのか?」
マルコフ「当たらない。当たらないんです!」
そう言うといつの間にか手にしたナイフを構え、モコスの首筋に付きたてようとする。
ナイフは肌に届く寸前で止まり、マルコフが押し込む様子を見せるもぴくりとも動かない。
マルコフ「ボギエスン、そこの鉄の棒でこの女を殴れ!」
諦めてナイフを引いたマルコフが叫ぶように部下に命じる。ボギエスンは撃ち尽くされ、ゴミのように倉庫の床に打ち捨てられた自分の銃を恨めしげに見ると、肩をすくめて上司の言う通りに鉄の棒を拾い上げモコスに近づいた。
マルコフ「全力でやれ!」
ボギエスンは言う通り全力で鉄の棒をモコスの頭に叩きつけて、倉庫の壁まで吹き飛んでいった。止めるだけで良かったのだが、加えられたエネルギーをそのまま反発するようモコスは防御力場を操作したのだ。だが残念ながらボギエスンは倒れ呻くのみで死ぬまでは至らなかったようだ。
モコス「地球の原始的な兵器では私に傷一つ付けられません」
とはいえ銃で撃たれたり鉄の棒で殴られたりするのが嬉しいわけもない。
モコスは防御力場を操作し拘束しているロープを切断。光学迷彩を発動して気付かれずにフラムチェンコフの後方に回る。光学迷彩装備はルジアン連邦の時も使っていて、良心回路的にも問題がないことはわかっている。銃やナイフを防いだ不可視の防御力場の使用も問題なさそうだ。
フラムチェンコフ「消えたぞ!? どこへ行った!」
モコスが縛られて居たはずの椅子には切断されたロープが転がるのみ。
モコス「ここです。貴方の後ろに居ますよ」
フラムチェンコフが振り向きざまにモコスに銃を向け、即座に撃ち放つ。諜報員のトップだけあって、部下たちと遜色ないいい動きをしていて、プシュ、プシュというサイレンサー銃の音が何度も鳴るがモコスへの影響はない。
フラムチェンコフ「撃て!この女を殺すのだ!」
護衛たちも銃を構えたので再び光学迷彩を作動させ、移動する。
護衛「また消えたぞ!?」「どこだ!」
まずはうるさいフラムチェンコフの護衛の二人を麻痺ビームで気絶させた。
フラムチェンコフが弾倉を取り替えモコスにまた狙いを定めたので光学迷彩を発動させ、再びフラムチェンコフの後方に回る。
モコス「狙う方向が違いますよ」
フラムチェンコフは答えることもなく素早い身のこなしでモコスに銃弾を叩き込み、それがすべて床に落ちたのを見て呆然とする。
フラムチェンコフ「ば、化け物……」
不当な非難だ。自分は宇宙人であって化け物ではないと主張したかったが、それはそれでどうなのだとモコスは思い直す。宇宙人や宇宙怪獣のことをフラムチェンコフはまったく信じる気がないようだし、いまさら宇宙人だと言ったところでインパクトに欠ける。
モコス「アイムジャパニーズニンジャ!!!!」
唐突にモコスは叫んだ。力強く!高らかに!
フラムチェンコフ「二、ニンジャ!?」
モコス「イエス!ニンジャ!ニンニン!」
それっぽい印を両手で作り、再びそう宣言する!
日本のアニメや漫画好きならニンジャは避けて通れない。モコスはニンジャ漫画を読みながら、いくつかの術を自分なら再現できるのではとシミュレートしたことがあったのだ。
モコス「分身のジツ!」
そう言って立体映像を五体作って並べる。それでもフラムチェンコフたちは健気に分身に銃弾を打ち込むが、本体は光学迷彩で消えて別の場所である。
分身を消し、あらぬところから再び姿を表したモコスが手を上げ言った。
モコス「豪火球のジツ!」
上げた手の上にごうごうと倉庫中を明るく照らし燃え盛る火の玉が出現する。本物そっくりであるがただの立体映像である。モコスはこういうのを一度やってみたかったのだ。
モコス「これを喰らいたい方は?」
モコスを攫ったマルコフとウラソフはすっかり戦意を消失し、武器を捨ててジリジリとモコスから距離を取ろうとしている。
フラムチェンコフ「ま、待て。私が悪かった」
護衛も倒れ一人になったフラムチェンコフは弾切れのようだ。モコスが豪火球をフラムチェンコフのほうへと近づけるのを見て怯えた声をあげた。それを見てモコスは交渉を進めることにした。
モコス「私は大統領暗殺未遂犯ではありません。そうですね?」
フラムチェンコフ「そ、そうだな。その件は取り下げよう」
モコス「私に対するこのような行為も止めてもらえますね? 用があればきちんとアポイントメントを取ってからにしてください」
フラムチェンコフ「も、もちろんだとも!」
モコス「約束しますか?」
フラムチェンコフ「約束しよう」
モコスは頷いて豪火球を消した。できれば宇宙怪獣の件でも協力を取り付けたかったが、さすがのモコスもそこまでは無理筋だと理解していた。いずれルジアン連邦に協力を要請するにせよ一歩一歩事を進める必要がある。
それにフラムチェンコフはモコスを恐れてはいるが、心は折れていない。必死に打開策、反撃方法を考えているだろうことはモコスの持つ地球人の情感評価プログラムによりわかっている。
最初に倒したボギエスンがよろよろと立ち上がり、まだ手にしている鉄の棒をモコスに向けて構えた。気絶していたので状況がわかってないらしい。
モコス「約束を破ると……こうです」
モコスが手を軽く払うように振るだけで、手が届く範囲から大きく距離があるはずのボギエスンは吹き飛び、再び倉庫の壁に激突し気絶した。それでモコスの気分はちょっとすっきりしたし、これ以上用もなさそうだと会談を終わらせることにした。ここまでやれば今後フラムチェンコフもモコスに手を出すのを躊躇うだろう。
モコス「今日はこれで解散でいいですか? 少々行き違いがありましたが、今後は友好的なお付き合いをしたいものです。では」
そう言うとモコスはフラムチェンコフたちの前から姿を消した。
ウラソフ「オー、ニンジャ……」
ウラソフは倉庫の勝手口が誰もそこには居ないはずなのに開き、また閉じるのを見た。
スマートに消えるつもりのモコスだったが、扉や壁をすり抜けたりする機能まではなく、普通に扉を開いて出るしかなかったのだ。
最後のミスに現実はなかなかうまく行かないものだとちょっと恥ずかしく思いながらも、モコスは古アパートへの帰路についた。それでもニンジャごっこは楽しかったなと内心思い起こしながら。




