出会いフラグは回収しました
「待てっ!怪しい服装だな、身分を証明出来るものを提示しろ。」
確信が確証へと変わった瞬間だ、こうなると信じていたがこれで確固たる出来事になったわけだ。
これだけの厳重な検閲、この世界とは明らかに異なる様相の男が来れば必然な事柄だ。
「生憎とそれらしいものは持ち合わせていないんだ。強いて言えばこんなものがあるくらいでね。」
此方に来てそうそう気づいた手の甲の紋章、杯の形を型どったそれを門兵の男に見せる。
「こ、これは…」
案の定、騒がしくなる門前、何やら話し込む門兵に待つように言い渡され、待つ事数十分後、身なりの良い騎士が俺に会いに来た。
「お待たせした、確認の為もう一度紋章を見せて頂いても宜しいか?」
「別に構わないよ。不審人物扱いされても得は無いからね。」
鎧に身を包まれた状態でも鍛えられた肉体が目に浮かぶ騎士、彼の傍らに連れられた白いローブに身を包む少女が、俺が見せる手の甲を見つめ頷く。
「間違いないです。同じものだと。」
「すまないがご同行願えるか、詳しく話を聴きたいのだが。」
少女の言葉に相槌をうち目配せした騎士、礼節を蔑ろにしないその様は上流階級の産まれなのだろうと予想が着いた。
「こちらとしても断る理由はないよ。色々と情報も欲しい所なので是非。」
(ご都合主義とはこの事だな、俺が気づけると言う事は相手も気づいて居るんだろうな)
視野の片隅に入れる白ローブの少女の存在感に、神の意志と言うものの強制力を思い知る事となった。