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1矢の決め手

「リルエラ、あいつどうしたんだ?」


勢い参戦したライオにとって目まぐるしい現状を把握出来ないでいた。

ただ、体が須藤に向けての警戒を緩めない為に剣を彼に向けたまま、背後の少女へ問いかける。


「須藤さんは…自分の中に敵を封じ込めて力を削いだの。」


「生贄にでもなるつもりかよ、身勝手だな相変わらず。」


彼からすれば須藤は勝手に現れては消え、また現れたと思えば小言を吐いて捨て、振り回されるだけの存在である。


「おい小僧、文句を言うのは後だ。今は奴を倒す為に全力を出せ。」


ローデンに支えられたままだった魔王モーンがその腕から離れ、宙で留まる須藤を見据えながらライオへ話しかける。


「あれは神も制御出来ぬ存在だ、今の現状だろうと我らが易々とどうにか出来るものか怪しい。」


話ながらも構築する魔法陣を敵の周りへと発生させるモーン。


「魔王か、あんたがもう1人だったなんて、訳分からない、神殿なんて信用出来ないな。」


神託の解釈が全くお門違いなものだった事に今更気づくライオだが、今はそんな事を議論している場面でもない。


「お前は奴にとって天敵だ、倒せ…たとえあの男を殺す事になってもだ、躊躇するな。」


「何だよ、本当に生贄じゃねぇか。」


「ライオ、須藤さんは覚悟の上だから、納得出来ないけど、あの人の思うようにしてあげて。」


現状に全くついて行く事が出来ずに進んでいく話、考える事が苦手な彼は思考することを放棄する事にした。


「もういい、今はあいつを倒せばいんだろ、後の事はお前らでどうにかするだろ。」


「爆ぜろ、エクスプロージョン・フレア。」


須藤の周りに浮かぶ魔法陣が突如光を放ち爆炎を巻き散らかす。


「何が、クライマックスだ、貴様程度で俺を止める事など…っ!」


須藤との意志のせめぎあいに、思考を取られていた所への攻撃、一挙動遅れ魔力による防壁を張り凌ぐ破滅、爆炎に視界を遮られる。

そこへ現れるライオの姿、高く浮いていた須藤へ跳躍だけで接敵し大振りな剣閃で頭上から一撃を加える。


「ぐっ…」


立て続けの攻撃に地面へと叩きつけられる須藤、そこへモーンの作った空気の壁を蹴り飛び込むライオ。


「そう簡単に好き勝手されると思うなよ。」


勢いと共に突き出した剣先は彼の胸の前でピタリと止められる。


「くそっ、届かねぇか…」


「お前ら如きに消されて溜まる…ぐはっ!」


鈍い嗚咽の声をあげ仰け反る須藤、その背後には鋭く尖る岩の突起物が地面から伸びている。しかし、刺さってはいない、薄い魔力の膜がそれを許さない。


「くそっ、クソクソクソ、クソオ゛オ゛オ゛。」


本来なら無限に近いエネルギーを魔力に変え、無敵に近い肉体を得られるはずの破滅の意志だが、 須藤の体では身体強化が使用出来ない。


魔力を循環させる機能が元々作られていないからであり、即席で作ったものでは運用は出来ても循環には耐えられない。


その上、身体は脆弱、思考は思念の奪い合いにより集中も出来ない、魔力への変換を上回る速度での消費も命取りの状況ではどこかしらに脆さも現れる。


そんな中の波状攻撃ではさしもの彼も後手に回る、それでも致命打を入れられない辺り、規格外の存在であるのは間違いない。


「オマエらなどにィ…」


「このまま押し込んでやるよ。」


背後の魔法、前方はライオが力いっぱいに剣を突き立て押し込もうとするが届かない。

後一歩での硬直状態は予想外の一手で均衡を崩す。


「あぐっ、グァァァ。」


ライオの剣先が須藤の心臓を貫いた、苦痛に雄叫びをあげる彼、その肩には1本の矢が刺さっている。


矢の飛んできた先、そこへローデンとリルエラの視線が注がれた。


「僕達の世界はお前なんかに壊せるものじゃない。」


その声の主は弓を放った姿勢で息を乱しながら絞り出すように叫ぶ、ライオを奮い立たせるきっかけになった新兵がそこにいた。


もう少し戦闘の描写を描きたかったですが今はまだ自信なく、簡潔なものになってしまい面白み薄れて申し訳ないm(_ _)m

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