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魔王との邂逅

眩い光に一瞬瞬きをした後、須藤の目の前には薄暗い長い廊下、外では雷鳴が轟く場所へと転移していた。


「魔城か、思っていた通りの雰囲気だ。」


「そうでございますか、古い建物で御座いますからな、趣がありますでしょう。」


雷雲が晴れることなく雷鳴を轟かせる魔城、人類と魔族の生活圏を2分する為に魔王モーンが作り出した天然の要塞城である。


「魔王様は俺が来ることを知っているのか?」


「お連れするかもという事は伝えておりますが、私より須藤様の方が余程お分かりになるのでわ?」


確かに須藤は魔王の存在を感じていた、リルエラやライオとは格の違う存在感、紋章の感応をなしにしても廊下の奥に魔王と呼ばれる者がいる事を肌で感じていた。


その存在感に、自分の様な矮小な存在が認知されるのかというのが先の質問が口から出た理由である。


「気づいてくれているならそれでいんだが、不躾に現れたのは此方だからな。」


「大丈夫で御座いますよ。魔王様は貴方達御三方が来るのを神託の日から首を長くし待っている筈ですから。」


相手から感じる存在の違和感に、『本当にそうか?』とゼントルの言葉を疑問に思う須藤。

ただ、会えばそれも解決するだろうと魔王の居る場所へゼントルと共に歩みを進める。


廊下の先には立派な紋様が描かれた巨大な扉、そんな扉をゼントルが軽々と開く、その先にいるであろう城の主に緊張隠せず息を飲む須藤。


(これは、犯罪集団のアジトへ乗り込んだ時より緊張するな)


扉の先にから距離を開けて伸びる赤い絨毯、それを眺め先の玉座へ視線をあげる、しかし、そこに居るべき者の姿は存在しなかった。


「んっ?」


「須藤様、魔王様は自室であります、此方の奥へお越しください。」


緊張感を顕に対面を果たそうとした須藤の面持ちが和らぐ、透かしをくらってしまえば何処か気恥しさが込み上げ、ゼントルに連れられ玉座横の扉へと入る頃には切迫感等失せてしまっていた。


「ゼントル、その者が言っておった者か。」


「左様です、報告の不法入国者の須藤様です。」


「間違いではないが…、その言い回しの後に様呼びはどうなんだ、ゼントルさん。」


犯罪者を連れてきましたと言っている様なものいいのゼントル、そんな報告をしていながら相手が歓迎する筈がないと須藤は頭を悩ます。


「気にするな、ゼントルの態度は今に始まった事ではない、我も別にお前を処罰する気もない。」


須藤の心持ちを察したのか、威圧的な視線をしながらもフォローを入れる魔王に、瞬間的な緊張が解ける。


「確認するまでは私には分かりませんからな、間違った報告はしておりますまい。」


「掴みどころが無さすぎるとただの嫌がらせとしか思えなくなりますよ。」


場の異様な空気の発端は愉快そうに片眼鏡の位置を直し微笑んでいる。

そんな彼に須藤は肩を落とし皮肉を言うが、その言葉も彼にとっては意にも返さないのだろう。


「まぁ、よい。座りたまえ、話をしようじゃないか、お前の目的をじっくり聞かして貰おう。」


目的も何も、神の気まぐれに付き合っているような須藤には答える解答は皆無なのだ。


「申し訳ないが目的は無い。どうして欲しいか程度なら予想はつくのだけどね。」


須藤は施されたソファーへと腰掛け、ソファーに横になり優雅に寛ぐ魔王へと視線を合わせてから問いに答える。


「神に翻弄されていると言う事か、外の世界の者よ、お前は神の戯言をどう捉える。」


何気なく口にしている魔王だが、須藤からすれば疑問が湧き上がる言葉の並び、しかし、質問に答えるしかない強制力の様な者を感じ取る。


「何かを伝えたいのかもしれないな、それとも俺の善意を試したいのかだ、救えを言われても俺を召喚した理由が未だ見えて来ない。」


「あれは神だからな、道は示せても干渉しすぎる事も答えを出す事もしない。」


「そう考えると俺みたいなのを呼んだのは狙っていたのだろうね。」


(正解を調べ検討し導き出すのが探偵、神が本当に狙って俺を呼んだのかは分からないが組み立てたパズルを思い浮かべるに可能性は高いだろう)


「魔王様、俺にも質問させてくれないかな、貴方の知っている事を聞けば俺が召喚された答えが出てきそうなんだ。」


魔王のこれまでの言動、そこから推測される彼の情報量の多さが答えに繋がると須藤は質問し始める。

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