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ルミナスの花   作者: 夢乃間
第1部 星見の巫女
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救い手か厄病神か

あらすじ


シェリルは疲労したミユを労って束の間の休息をいれる。そこでシェリルは巫女の責務やミユにのしかかった重荷を聞き、自身と似た境遇のミユに同情した。

すると、2人の元へ青い炎の浮遊体が再び現れ、人の姿に変わった浮遊体はミユの母親であると語った。

「まず、私の正体からお話ししましょう。私の名はフィアラ・・・と言っても、今は村にいる方が本体と言えますが。」


「というと?」


「見て分かる通り、現在の私は死んでおります。では何故、実体を持った私もいるのか。それは星を見る儀式の際、命を落とす間際の時に魂を体から分離させたからです。」


平然とした表情で語るフィアラだが、現実味の無い話にシェリルはおろかミユまでも理解出来ない様子だった。そんな二人を無視するかのようにフィアラは話を続け始める。


「星見の巫女には、代々星を読んでこれから起こる災悪を読み解く役目があります。そして、今日は私の娘であるミユがその役目を継ぐ日なのです。」


「それはミユが必ず継がなきゃいけないのか?霊体になったとはいえ、あんたは長い間巫女を続けていたようだが。」


「霊体といえど限界があります。いつ消えてもおかしくはありません。巫女が完全にいなくなる前に、私の力を継いでいるミユに巫女になってもらうしかないのです。」


フィアラのその言い方は、まるで自分の娘を人柱に仕立て上げようとしている風にシェリルは聞こえた。それはミユも同じだった。さっきまで母として見ていたフィアラが、今では母の姿をした別人に思えていた。


「お母さん・・・私が巫女になったら、私もお母さんみたいになっちゃうの?」


「ええ。」


「でも・・・巫女になれれば、外の世界に行けるって村にいるお母さんから」


「ごめんなさい・・・希望を持たせねば、あなたは巫女になろうとしないと思って。」


心から申し訳ないという表情でミユに触れようとフィアラは手を伸ばすが、その伸ばした手をシェリルによって斬られてしまう。霊体の為、フィアラの腕は再び元に戻るが、睨んでくるシェリルの背後に隠れているミユが流した涙を見て心が痛んだ。


「本当にごめんなさい、ミユ。けど、私は本当にあなたの事を愛しているの!」


「愛しているのなら何故外に出さない!何故娘の意志を無視する!」


「代々続いてきた習わしなの・・・我々星見の巫女がいなければ、この先起こる災悪に対処が出来なくなる。」


「知るか!人間はしぶといんだ。災悪だろうが何だろうが、勝ってみせるさ!」


「シェリル・・・。」


シェリルのコートに顔をうずめるミユ。そんなミユの頭をシェリルは軽く撫で、肩に担ぎ上げてその場から立ち去ろうとする。


「どこへ行くのですか?」


「この娘は巫女になるつもりはないんだ。なら、ここにもう用は無い。」


「そう・・・けど、本当に村に戻ってもいいのかしら?」


「なに?」


「もう一つ、変異体が何故ここにいるのか・・・それは巫女になる者が村に戻らぬようにする為。巫女になれば害は無い者達ですが、このまま村に戻れば、隠れている変異体達は束になって村を襲うでしょう。」


フィアラは手の平から発行する球体を作り出し、それを空中に浮かばせて弾けさせた。眩い光は三人がいる場所を輝かせ、周囲から素早く動く数体の変異体の気配をシェリルは感じ取った。


「くっ、貴様!」


「巫女を継がせるか、村の者を皆殺しに導いた罪人とさせるか・・・あなたに託しましょう、シェリル。」


そう言い残して、フィアラは消えた。フィアラが消えたという事は、村にいるフィアラの実体も死んでしまったという事。このままミユを村に帰せば変異体は村を襲い、最悪の場合は他の地方にまで被害が及ぶ。かといって、このままミユを山の頂上に連れて行って巫女を継がせても、彼女を一生村の中に閉じ込めてしまう。

どちらも選べずにいるシェリルだったが、そんなシェリルの事など知らぬが如く、変異体達は続々とシェリルの元へと近づいてくる。


「・・・くそ!ミユ、しがみついてろ!」


シェリルは全速力で山の頂上へと向かう為走った。向かう途中で変異体が襲い掛かってくるが、シェリルは変異体の足や目だけを斬りつけ、山の頂上へと急いだ。


「シェリル・・・私、巫女にならないといけないのかな?」


「黙ってろ!」


自身の運命を止む無く受け入れようとしているミユにシェリルは怒号を放つ。しかし、ミユを巫女にさせずに、この状況を収める考えが浮かばなかった。


(今は、考えるよりも動け!ここで立ち止まっていてもミユは守れない!)


走り続けていくと、シェリルの向かうその先には山壁が立ち塞がっていた。どうやらルートを間違えてしまったようだ。引き返そうにも、背後からは大勢の変異体の荒々しい息遣いが近づいてきており戻る事は出来ない。

一か八か、シェリルは走るスピードを上げ、山壁を駆け上っていく。足を滑らせたり、走る速さを落とせばその瞬間真下に落ちてしまう。シェリルは体の奥底から力を振り絞り、頂上へと目指して駆け上がっていく。

だが、シェリルも人間。いつまでも全速力で走れるはずもなく、頂上を目前に体力の限界がきてしまう。


「くそ・・・ミユ!」


「なに!?」


「祈れぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


シェリルは山壁を滑り落ちながらも担いでいたミユを頂上へ向かって投げ飛ばした。投げ飛ばされたミユは頂上ギリギリに届き、地面を転がっていった。

運良く頂上へと投げ飛ばせた事に安堵したシェリルは真下へと体を捻らせ、落下地点で口を開いて待っている変異体の群れの中へと突っ込んでいく。


「てめぇら全員、私一人で相手してやる!」

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