神様が喚んだ女子高生
いつもの帰り道、悪友たちと買い食いして中身の無いお喋りに興じる。
ごく普通の女子高生の私、なんの取柄もない。
容姿10人並み、成績中の下、人波に溶け込み消えちゃうようなモブ人間。
一応趣味はあるよ、お嫁さんになるための料理とお菓子は任せて!
掃除は苦手だけどね。
なんの刺激も無いループ生活に不満はないよ。
「映えるー!」とか言ってカラフルなだけの美味くもないファーストフードを食べる。
「自撮り棒おk!マイ達も入ってよ!」
キャイキャイとかしましく、いつメン達とポーズをとる。
「あ、だめー!有寄りのナシ!」
「わたしもー、半目だもん」
「りょ!もっかい行くよ!」
パシャリ!!
うっ!眩しい間違ってフラッシュつけちゃった!
「ごめん!誤射ったみたい。もっかい・・・あれ?」
さっきまでカフェにいたのに、ここどこよ!?
つーか声でないんだけど!
叫びたいのに音が出ない、気持ち悪っ!
悪友達も見当たらない、なんだっけこれ上下に格子模様のような線が並行してる。
《そうだ!3DモデリングのXYZ軸みたい》
無限に広がり先端不明の空間に眩暈がして、よろけてグルンと回転した。
移動しようと藻掻いても足場が無くて空回る、もはや上下がわからなくなった。
《だーれーかー、くっそー誰でもいいよ。何とかしてよー》
怠くなり段々眠くなってきて、そのままの体制でうつらとした時だった。
「うん、いいねキミ。その図太さは評価するよ合格あげちゃう」
は、誰だ偉そうに?
ふよふよと私と向き合って浮いてるソレは「私」だった。
鏡?
「鏡じゃないですよー姿を借りて話してます、いちおう神様って呼ばれてます」
は?中二病かよ。
「中二病ってなんですか?・・・ほうほうキミの世界にいる完全無敵な痛い人ですか」
自称神様は勝手に私の頭を読んでいる、なにしてんのよ。プライバシーの侵害じゃないのよ!
わーった!神だって認めるから、この状態何とかしてよ!
「ああ、すまなかった。象るのに夢中で」
神がパチンと手を叩くと空間が安定したのか、足が地に着いた。
「てか、ここどこよ!?あ、声が出た!やったー!」
「やれ、大声でやかましい」
いつの間に出したのか、アンティークな茶器が目の前にあった。
テーブルもないそこに紅茶と菓子がある、漫画のお貴族様のティーセットみたいだ。
カップを突いたり振り回すが下に落ちない、なんだこのデタラメ空間。
「キミを召喚した理由を話しましょう、まあ茶でもどうぞ」
神は私とそっくりな姿で優雅に茶を飲みはじめた、なんだコレむず痒い。