お餅を吸い出せ -2-
僕の肩を叩いたのは姉貴だった。
姉貴はちょっとこっちへ来いと言いたいのか、親指で来てほしい方向をクイクイと示した。
もう相当苦しいのか、姉貴の顔は青白くなっている。
姉貴の後ろに続いて行くと、そこは姉貴の部屋だった。
姉貴は入るや否や、服を脱ぎだした。
「な、何してるんだよ。姉貴!」
僕が目を逸らしていると、姉貴は僕の手首を掴んだ。
そして、ブラジャー越しの胸に僕の手を押し付けた。
「う、うわぁ。...やわらかい」
姉貴ってこんなに胸が大きかったのか。
姉貴に欲情するなんて弟として最悪だと思うのだが、僕は思春期真っ盛りなのだった。
思わず鼻血が僕の鼻筋を伝った。
我慢しきれなくなってきた僕は姉貴に襲いかかろうとした。
姉貴が、そんな僕の顔に平手を強く押し付けて制する。
そして自身の喉を指差した。
どうやら、押し倒したかったら喉の餅を取れということらしい。
僕は渋々と掃除機の準備を始めた。
というか皆めっちゃ動けるんだから、自分で掃除機を使って取ればいいのにと思うのだが、きっと緊急事態すぎてそんなことを思いつかないのだろう。
僕は掃除機の電源を入れると、姉貴の口へと近づけていく。
そうすると、部屋の扉がバタンと勢いよく開いた。
開けた人物は全裸だった。
間違いなくその人物は、僕の兄貴だった。
「兄貴...どうしたの?」
兄貴は僕たちに背中を向ける。
そして四つん這いになった。
お尻を僕の方へと突き出した兄貴は、僕の方を振り返り、"さあ好きにしろ"と言わんばかりの表情を浮かべていた。
全然意味が分からなかった。
もうこれはお餅が喉に詰まっているかとか、そういう次元ではないんじゃないだろうか。
姉貴がごそごそと机の引き出しを漁ったかと思えば、すかさず兄貴のお尻の前に座った。
何をしているのだろうと思ったが、姉貴がライターでカチカチと火を付けているのを見て、血の気が引いた。
兄貴のお尻の穴に爆竹が刺さっていた。
火花を鳴らす爆竹。ベッドに逃げ込む僕と姉貴。
そして、ものすごい爆音が部屋の中央で鳴り響いた....
暫くして、恐る恐るベッドから顔だけ這い出して兄貴の方を見た。
お尻が真っ黒焦げになった、全裸の成人男性がうつ伏せで倒れていた。
「うわぁ...」
あまりの悲惨な光景に声が漏れた。
「....ひゅー...ひゅー...ひゅっひゅっひゅっひゅっ」
隣の姉貴を見ると、喉に餅を詰まらせながらも爆笑していた。
そんな姉貴に僕は恐怖を覚えた。
(姉貴はほんとに自分が楽しむためなら滅茶苦茶やるよなぁ)
(そしてよくよく顔を見ると、やっぱり姉弟だから自分の面影があって萎えてきた)
(姉貴も後回しだな)
僕はベッドを出ると、笑い転げている姉貴を置いて、全裸の変態を踏みつけながら部屋を出た。
お餅を吸い出せ -2- -終-