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異世界転職: 『流者はつらいよ』  作者: 息忌忠心
【王都編】Ⅲ 百花繚乱の流者 と メグと
25/51

多芸はつらいよ

 うーーーーん。

 ジミュコ師匠ではないが、思わず眉を寄せて唸ってしまう。

 獲得スキルが多すぎて、全然ついてゆけていない。


 暗記するほど読んでも使いどころが想定しにくいし。

 これは真面目に整理が必要かもしれない……。



〇獲得アクティブスキル一覧

【花葉装飾師LV24(マスター)】『剪定鋏』『水拡散』『花葉草』『活力発奮剤』『染色剤』『増香剤』『保水剤』『癒水如雨露』『防虫スプレー』『粘着剤』『金属細工』『迷彩見破』『EX百花繚乱』


【軽業師 LV24(マスター)】『紐』『空中回転』『棒』『球』『柔軟体』『超受身』『動体視力』『超平均』『棒舞踊』『手繋ぎ』『棒紐接合』『超跳躍』『EX受身即転攻』


【蹴球士 LV23】『球』『猛疾駆』『大声』『警笛』『石頭』『超跳躍』『監視』『監視剥がし』『戦線掌握』『旗』『急所打撃』


【脱捨士 LV23】『凝視平気』『柔軟体』『瞬間脱衣』『棒』『扇』『挑発の舞』『棒舞踊』『破廉恥』『目覚打』『鈍足旋風』『冷水噴爆』


【狩猟士 LV12】『足跡鑑定』『糞鑑定』『ナイフ』『獣気検索』『網罠』『隠密』


【警備士 LV9】『大声』『棒』『警笛』『旗』

【裁縫士 LV8】『操紐糸』『紐糸』『操針』『針』

【薬毒士 LV8】『毒見』『葉緑苦汁』『花葉草鑑定』『腹痛薬』

【配達士 LV7】『紙さばき』『迷子防止』『忍び足』

【洗濯士 LV7】『手荒れ防止』『注水』『洗剤』

【皿洗士 LV6】『手荒れ防止』『注水』『洗剤』

浮流士(フローター) LV5】『見られても平気』『天気読み』

【地図士 LV4】『望遠』『迷子防止』

【曲芸士 LV4】『球』『操獣』

占い士(ギャンブラー)LV4】『表情読み』『無表情(ポーカーフェイス)

【保育士 LV4】『球』『痛々飛散』

【物語士 LV2】『語り上手』

【人形士 LV2】『変声』

【香具士 LV2】『香着火』


 あああああ頭がいたい。

 主力は何と言っても職人武具のあるマスターの花葉装飾師と軽業師なのだが。

 LVの低いジョブはシナジーの養分として無視すべきなのか。


 全てのスキルを活かすのは、そんなに難しいのだろうか。

 手にしたものを一つも失いたくないというのは、強欲なことなのだろうか。



*タイガは ねぼうした


 やべっ。間に合うのかコレ?

 俺はメグを送って花屋のバイトを手早く済ませ、ハントの集合地点へと急いだ。

 『活力発奮剤(バーニングスピリッツ)』を飲み干し『迷子防止』『猛疾駆』『超跳躍』をアクティブにし、俺は最短距離を跳び駆ける。

 王都西門、待ってくれ!!


 走る眼前を鳩が低空飛行で横切っていく。

 引き離しても引きちぎっても鳩が纏わりついてくる。

 害鳥駆除スキル……何かのジョブで見た気がするのだが……。

 鳩がヒュンと目の前に滞空して、何かを訴えかけている。

 !!

 脚に小さく巻いた紙を持っている。伝書鳩だ!


『タイガさん。

ストリング・フェスミーダは名前の通り、糸吐きと節の多い手足が武器の虫です。甲殻は相当硬いですが火が弱点です。昼間は出ないとは思いますが、ゴブリンの魅了眼に注意を。色の白いゴブリン・ゴブラナイは”見えない手”で投擲してきます。ご武運を。ジミュコーネ』


 メモは師匠からのアドバイスだった。

 ハンター・センターの仕事も忙しいだろうに、わざわざ調べてくれるなんてありがたい。

 ……問題は集合時刻に間に合うかどうかだ。



「ドナ!ドナ!我らに勝利の栄光を!!」

「「「ドナ!ドナ!我らに聖なる祝福を!!」」」

「乗り込め―!!」

「おぉぉおおお!!」


 …………暑苦しいまでの意気が、西門広場に溢れ返っていた。

 王都西門からハンターが雪崩れ出て、次々に荷馬車に乗り込んでゆく。


 今日のハントは王都の西、『グロッテの森』で商工会が募集した『ストリング・フェスミーダ』という大型の怪虫狩りだ。


 つい先日、隣国のイスタンベール王国で狩り損ねたのが一匹飛来し、グロッテの森に住みついてしまったのだという。何とかして巣作りの前にしとめたい。

 そこで『勇者選抜の儀』に名乗りを上げていた商工会青年会が、勢いづけに森へ乗り込んで行くのだという。でもって俺は、金で雇われた傭兵の身だ。


 ハンマーの手入れをしながら筋骨隆々の男が、脂ぎった顔で目配せをする。


「俺たちの誰が勇者に選ばれて、姫のハート射止めても恨みっこなしだぞ」

「おうっ、望む所だ!」


 ……あれ?もしかしてこいつら全員、俺のライバル??



 冒険の歴書を開くと、思わぬ変化が表示されていた。


『トピックス:蹴球師がLV24(マスター)になりました。職人武具(マスターウェポン)と付加スキルを選択できます』


 このタイミングで職人武具か。間が悪い事このうえない。

 ドラゴン版の説明によれば、当該ジョブから具象化可能な具を一つ選び、アクティブスキルを固着できるのだという。

 花葉装飾師と軽業師で選択ができなかったのは、すでに選択固着済みのマスタージョブを受領したからなのだろう。


 で。だ。どの武具とスキルを選ぶかが問題だ。

〇蹴球士の武具一覧

 『球☆☆』『警笛☆』『旗☆☆☆☆』

〇蹴球士のアクティブスキル一覧

 『猛疾駆★★★』『大声★』『石頭』『超跳躍★★★★』『監視★★★』『監視剥がし(マークリムーバー)★★』『戦線掌握★★』『急所打撃★』『残像★★★』


 走力系パッシブを中心とした基礎修行ばかりしていたせいで、アクティブスキルの理解が浅すぎる。特に高レベル帯のスキルは名前だけでもそそられるものがあるが、使ったことがないものばかりでツライ。

 機が巡ってきたら、今日の狩りで試してみることにしよう。


 加えて他のジョブとのスキルの重複も気になる。同じスキルを他のジョブで職人武具に乗せられるなら、蹴球師ではユーニークなものを選びたい。


 一方、武具は『球』か『旗』の二択で決まりかと思ったのだが、『警笛』も捨てきれずにいた。

 というのも、笛を口に咥えた状態でよいなら、職人武具を二つ同時に使えそうな気がするからだ。

 

 ここは今すぐ焦って決めてしまうのではなく、ジミュコ師匠のアドバイスを聞くべきだ。保留、保留っと。



 荷馬車が車輪を軋ませて、ゆっくりと停車した。

 商工会の職人連中とともに荷台を飛び出せば、そこはジメジメと薄暗いグロッテの森の隅端だった。


 大小のシダが所せましと生えた薄気味の悪さに、武者震いが止まらない。

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