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異世界転職: 『流者はつらいよ』  作者: 息忌忠心
【王都編】Ⅱ つぼみの流者 と ジミュコーネ
15/51

異母兄弟はつらいよ

「あなた流者ですか?」


 眼鏡の奥で、ジミ子さんの目が真剣さを帯びている。

 あまりにも突然ふられた話題に、とっさの返答ができない。


「その……記憶喪失なんで分からないですが、流者だったらどうして減衰しないんですか? そういう特別な力がある?」


「流者にそんな能力はありません」


 残念。チート能力とかはないのか。


「……記憶にないかも知れませんが、現チグリガルド国王(・・)流者(・・)だからです」


 だから何だというのだ?

 いや待てよ。


「国王っていつごろチグリガルドに来たんですか?」


「うーん。前回だからかれこれ20~21年前ですね」


「国王の名前は??」


 いってぇぇぇぇ。

 ジミュコさんにグーで鉄拳制裁をうけた。


「おととい『チグリガルド死ね!』って叫んで衛兵に捕まったばかりでしょう? 記憶喪失にもほどがあります!」


 あああああ、そうだった。


「……でも国王の本名は一応調べてみます」


 やっぱり名前あるんじゃないですか。殴られ損ですか。


「しかし国王なのに本名も知られていないんですか?」


「前回の勇者選抜の儀が途中で終了したので、私が知らないだけです。勇者でもないのに王妃に婿入りできたのは、花の品種改良の才能と、その商売で成したの財力のおかげだそうですから」


 年数的には合わないから違うだろうが、いや待てよ。

「一年って何日でしたっけ?」


「……288日ですよ」


 それなら合わなくもないか……。

 ん?ってことはジミュコさんは22で……17才くらいなのか?


「タイガさん今『国王』が自分の『別世界(・・・)での父親』なのではないかって考えてたりします?」


「え? いや、ジミュコさんの年齢とボディ・サイズの関係を……」

 サッと防御態勢をとったが、鉄拳パンチは飛んでこない。


「イヤかもしれませんが、今だけは逸らさないでください」

 ちっ、バレてるか。どういう洞察力してんだ?この人。


 彼女は、ゆーっくりと拳を流し、俺の額に当てて止める。

「アナタの記憶が戻らなかったとしても、断定する方法があるのです」


「そんな方法があるんですか?」


「歴書が『血縁』を忘れることは決してありませんから」




 冒険の歴書には血縁を記すページが存在するらしい。

 血縁の濃さによる減衰システムがある以上、当然といえば当然だ。

 けれどもそのページはロックがかけられていて、法的手続きなしには開示できないのだという。


「……その方法はやめておきます」

 16年もなしで過ごしてきた親父なんてものが、今さら発生しても困る。おそらく、こういうことが起こるからロックされているのだ。


 それに姫と異母兄妹とかはもっと嫌だ。

 姫は俺がこの世界で生きる希望の源なのに……。


「もしリリベル姫と異母兄妹だったら俺、すごく困ります」


「大丈夫。困る人が王都中に溢れますから、あなただけ一人じゃありません」


 それって慰めのつもりですか???



 ジミュコーネさんはソファを立ち、狭い部屋の中をウロウロし始める。


「先生なんとかして下さい、お願いします!」


「可能性というだけなら、他にも無いわけではないのですが」


「先生、もったいぶらずに!」


「①姫を含めた王家の隠されし能力。②発見されたばかりで未公開の、譲渡に係る新職スキル。それを姫が持っていた。③タイガさんの特殊能力。④悪夢の卵(デビル・エッグ)戦に向かったのは、姫の影武者だった。……あまり期待はできませんが、潰せる可能性から潰してみますか?」


「はい、よろしくお願いします!」


「よろしいです。まずは④の影武者の可能性から。これは冒険の歴書の導入・譲渡の履歴ページを見れば、すぐに分かります」


 俺は速攻で歴書をジミュコーネ先生へ提出した。


「うーーーーーーーん」

 俺の歴書を見るなり、先生は顔色も変えずに低く唸った。


〇就業ジョブ一覧 (CAP999)

 花葉装飾師 LV24(マスター)

 狩猟士 LV5

 浮流士(フローター) LV4(↑1)

 警備士 LV3

 皿洗士 LV1

 保育士 LV1

 洗濯士 LV1


予備職(リザーブ)

 蹴球士LV20 (new)

 薬毒士 LV2 (new↑1)

 配達士 LV1 (new)

 脱捨士 LV1 (new)

 物語士 LV1 (new)


『トピックス:物語士LV1を獲得しました』


「ひとつ確認できました。姫との異母兄妹の線はありませんね」


「待ってください先生。……わかった!花葉装飾師がLV24だからですね?」


「そう。無茶な修行をしたとしてもLV16から一日でLV24になるのは無理です」


 だよな。LV16の癒水如雨露(ヒーリングジョウロ)と勘違いされているが、俺が使ったのはLV24の職人武具(マスターウエポン)だ。


「この蹴球士、newマークということは導入したばかりですね?」


「夕方に中央広場のジョブ販売所で買って入れたばかりです…がLV20??」


 若干興奮していたせいで、導入後のLVまで確認していなかった。

 

「もしかしたら、もしかするかもです……」



 :P*+o/.P‘*o,+L+.:,o#$’(

 ジミュコ先生は俺の歴書を捲って驚嘆の声を上げた。

 二階の隣家から床ドンする音が鳴り響く。


「なんですかこの文字化け? どうして導入・削除・受領・譲渡の履歴が読めないのですか?」


 ……それって。

「あ・な・た・が・壊したんでしょうが!?」


 ジミュコ先生は何かを思い出すように天井を見上げた

「ええええええええ!?」


 天井がドンドンうるさく返事をしてくる。

 先生がこんなに感情を露わにするところを、初めて見た気がする。


「コホン。歴書の不具合により影武者説は確認できませんでしたが、あなたは信じられないほどの幸運に恵まれたかも知れません」


 もしかしたら、もしかして……チートきたか?

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