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第4話「組織より早く、殺人を止める」

「死体が出た」


氷室の声は短い。


現場は雑居ビルの一室。


規制線の内側に入ると、血の匂いが鼻についた。


床に倒れている男。


胸部を一突き。


致命傷。


(抵抗がない)


室内は荒れていない。


物取りの形跡も薄い。


《スキル“犯罪解析プロファイリング”が起動しています》


情報が一気に繋がる。


・犯人は顔見知り

・侵入は自然

・会話あり

・凶器は持参


「招き入れてるな」


「根拠は?」


氷室が即座に聞く。


「警戒していない。争った跡がない」


氷室は無言で頷く。


「続けろ」


(もう使う気だな)


「刺した後、すぐ離脱してる」


「凶器がないからか?」


「違う」


首を振る。


「持ち帰ってる。“次でも使う”」


一瞬、空気が止まる。


「連続か」


「同一犯だ」


氷室の視線が鋭くなる。


「次は?」


(そこを聞くか)


「明日の夜」


「場所は?」


「半径2km圏内」


即答。


「外したら?」


「外さない」


短く答える。


沈黙。


そして――


「いいだろう」


氷室は無線を取る。


「周辺未解決事件を洗え。類似性優先」


指示が飛ぶ。


組織が動き出す。


だが――


(それでも遅い)


「俺は先に行く」


「待て」


氷室の声。


「単独行動は認めない」


「認める必要はない」


歩き出す。


「お前――」


その言葉を遮る。


「次は止める」


振り返らずに言う。


「殺人は“起きる前”にしか止められない」


静寂。


背後で、氷室が呟く。


「……化け物か」


外に出る。


夜の街。


(場所はもう見えてる)


次の現場。


次の被害者。


すべて繋がっている。


(間に合う)


確信だった。

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