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第23話「歪み」
署内。
空気が変わっていた。
「神城はまだか?」
「予測は?」
「動けないのか?」
ざわつきが止まらない。
(完全に依存だな)
若手が言う。
「神城さんがいれば……」
その瞬間。
「黙れ」
氷室の一声で静まる。
だが、空気は戻らない。
(遅い)
氷室がこちらを見る。
「どう思う」
「腐ってる」
即答。
沈黙。
「お前のせいでもある」
「知ってる」
(だから問題なんだ)
「自分で考えなくなってる」
氷室が低く言う。
「……修正する」
(できるか?)
若手が口を開く。
「どうすればいいですか」
(やっと聞いたか)
「考えろ」
即答。
「ヒントは?」
「ない」
沈黙。
困惑。
(いい状態だ)
「分からないなら動け」
「止まるな」
「外してもいい」
若手が戸惑う。
「責任は……」
「気にするな」
一言で切る。
「今のままの方が危険だ」
氷室が言う。
「……現場で試せ」
無線が鳴る。
「連続窃盗、発生」
氷室が動く。
「全員、出動」
若手たちが走る。
さっきより速い。
だがまだ迷いがある。
(中途半端だな)
氷室が隣で言う。
「変わると思うか」
少しだけ考える。
「壊さないと無理だ」
氷室が小さく笑う。
「もう壊れてる」
(その通りだ)
現場へ向かう背中を見ながら思う。
(ここが分岐点だ)
(立て直すか、崩れるか)
そして――
(試してやる)




