表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダークネス・スレイヤーズ~キスから始まる冒険譚~  作者: 電脳筆師


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/9

9.魔力の検証(後編)

「――キスリンク」


 リゼットの声が、森の中に静かに響いた。

 レオンは呆れたように眉をひそめる。


「……なんだその名前」


 リゼットは肩をすくめた。


「分かりやすいでしょ」


 エリシアは小さく俯きながらも、こくりと頷く。


「……た、確かに」


 レオンはため息をついた。


「まあ……分かりやすいけどさ」


 リゼットは満足そうに笑う。


「で、このキスリンク、まだまだ分からないことが多い」


 エリシアが顔を上げる。


「検証、続けるんですね」


「当然」


 リゼットは即答した。


「ここからが本番よ」


 ⸻


「まずは時間ね」


 リゼットは指を立てる。


「さっきは一瞬だけだった、なので次はキスの時間を少し長くやってみる」


 レオンが顔をしかめる。


「……お前な」


 エリシアは一歩下がる。


「え、えっと……」


 リゼットはエリシアを見る。


「エリシアからやるわよ、神聖魔法の方が変化分かりやすいでしょ」


 エリシアは一瞬迷った。

 だが、小さく頷く。


「……はい」


 レオンが息を吐く。


「分かった」


 再び距離を詰める。

 今度は――少しだけ長く。

 唇が重なる。

 一瞬ではない。

 数秒間、エリシアの体に明確に魔力が流れ込む。


「……っ」


 エリシアの口から思わず息が漏れる。

 魔力が膨れ上がる。

 やがてレオンが離れた。

 エリシアはふらりとよろめく。


「おい、大丈夫か!」


 レオンが支える。

 エリシアは目を閉じ、ゆっくりと息を整えた。


「……はい」


 だが頬は赤く、呼吸も少し荒い。


「さっきより……ずっと強いです」


 リゼットが頷く。


「やっぱりね、時間が長いほど、供給量が増えてる」


 レオンが眉をひそめる。


「……でも、今ちょっと危なかったぞ」


 エリシアは小さく頷く。


「少し……体がついていけていない感じがします」


 リゼットが指を立てる。


「はい、これ重要、供給される側にも限界がある」


 レオンは腕を組む。


「無理にやると危ないってことか」


「そういうこと」


 ⸻


「じゃあ次」


 リゼットが言う。


「私でも同じことやる」


 レオンがため息をつく。


「はいはい……」


 再びキス。

 今度はリゼット。

 同じように数秒。

 そして離れる。


「……ふぅ」


 軽く息を吐く。

 エリシアほどではない。

 だが確かに魔力は増えている。


「こっちも同じね、でも――」


 リゼットは少し考える。


「エリシアより安定してる」


 レオンが首を傾げる。


「どういうことだ?」


 リゼットは言った。


「アンタとの相性、私とエリシアで違う」


 エリシアが驚く。


「相性……?」


 リゼットは頷く。


「私は安定してる、エリシアは爆発的」


 エリシアは自分の手を見つめた。

 まだ微かに震えている。


「……確かに、さっきの力は……少し怖かったです」


 レオンは黙る。

 その言葉が胸に刺さる。

 だがエリシアは顔を上げた。


「でも、嫌じゃありません」


 レオンが目を見開く。

 エリシアは微笑む。


「守るための力ですから」


 リゼットが小さく笑った。


「ほんと、エリシアらしいわね」


 ⸻


「で、最後」


 リゼットが言う。


「これ試したい」


 レオンが嫌な予感を覚える。


「……何だ?」


 リゼットはニヤリと笑う。


「連続」


「連続?」


「そう」


 リゼットは指を動かす。


「エリシア、私の順番でやる」


 エリシアが驚く。


「えっ!?」


 レオンは頭を抱えた。


「ちょっと待て、何する気だ」


 リゼットは当然のように言う。


「決まってるでしょ、流れを繋ぐのよ」


 その目は真剣だった。


「アンタの魔力、一人に流すだけじゃない、私達の魔力を繋げられるかもしれない」


 レオンは息を吐く。


「……分かった」


 エリシアの前に立つ、一度キス、すぐに離れる。

 そして――リゼットへ、もう一度キス。

 その瞬間だった。

 リゼットの表情が変わる。


「……!」


 空気が震える。

 エリシアも感じた。


「これ……!」


 三人の間で、魔力が繋がる感覚。

 流れが切れていない。


「やっぱり……!」


 リゼットが笑う。


「繋がってる!」


 レオンが息を呑む。


「なんだ、これ……」


 エリシアが呟く。


「三人の魔力が……」


「一つになりかけています」


 リゼットの目が輝く。


「面白いじゃない、これ、ちゃんと使えれば――」


 言いかけて止まる。

 そして笑う。


「とんでもないことになるわよ」


 森の風が吹く。

 三人はまだ知らない。

 この力が、どれほどの可能性を持つのかを。

 だが確かに、一つだけ分かっていた。

 この力は――三人で使うものだ。

 その先にあるものは。

 まだ、誰にも分からない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ