交わらない線の上で
このシリーズは「線」「距離」「光」をテーマにした短い連作の最終話です。
童話版と詩小説版が対になっていて、同じ冬の帰り道を別の角度から描いています。
冬の街灯が凍る夜。
足音と星だけが、静かに響きます。
そっと読んでもらえたら嬉しいです。
冬の夜は、街灯の光まで凍えていて、
歩くたびに、靴音が静かに響く。
一人で空を見上げ、そっと息を吐く。
それはすぐに空へ溶けて北風に溶けて混ざる。
それを見ていたら、なんだか少しだけ、気持ちが軽くなった。
答えを出せないままのことが、
ずっと心のどこかで引っかかっていた。
名前をつけられない関係も、
どこかで“ちゃんとしなきゃ”って。
でも、目に映るのは小さな光たち。
星はどれも勝手な距離で光っていた。
近づこうともしないし、離れようともしない。
ただ、夜の中で静かにまたたいている。
その光を見ていたら、
急に思ったんだ。
無理に形にしなくてもいいのかもしれない。
背伸びしなくても、ちゃんと光っている瞬間はある。
誰かと並んで歩ける日もあれば、
一人で帰る夜もある。
言いかけてやめた言葉が胸に残る日もあれば、
何も言えないまま終わる日もある。
雨空で光は見えなくても、その上ではきらめいているはず。
だから、
その全部が“だめ”なんじゃなくて、
ただの“今”なんだと思えた。
線を引けない自分も、
答えを出せない気持ちも、
冬の空みたいに静かにそこにあるだけで、
それでいいのかもしれない。
星座になれなくても、
光は光のままだ。
目に見える形じゃない、今っていう時間が大切なんだ。
そう思ったら、
胸の奥で、
小さく何かがほどけた気がする。
そのまま北極星を眺める。
気がつくと、ひとつ光が流れていた。
最後まで読んでくださり、
ありがとうございました。
「線」「距離」「光」をめぐる小さな連作、
星をなぞる線シリーズは、これでひと区切りです。
どこか一行でも、読んだ方の中に
そっと残っていたら嬉しいです。
また別の夜に、
別の光を見つけてもらえますように。




