星をなぞる線のカーソル
このシリーズは「線」「距離」「光」をテーマにした短い連作です。
今回は外の道から見た帰り道。
小さな揺れが、思いがけない温度を連れてきます。
そっと読んでもらえたら嬉しいです。
白い息が空に溶けていく。
大通りから少し外れた薄暗い一本道。
数歩先にはランドセルを背負った小さい影が並んで歩いている。
「あの星、いちばんひかってるね」
そんな声が聞こえてきて、顔を上げた。
目には静かな光達が優しく灯る
…綺麗
こんな風に星を見あげたのはどれくらい振りだろう。
ほとんど無意識のうちに柄杓の7つ星を結んでいた。
…北極星。
あの頃は気づけなかった光。
モニターやスマホでは感じられない温もり。
いつも足下しか見ていなかった気がする。
子供達はずっと上を見ながら歩いている。
一瞬だけ何かにつまづいてバランスを崩す。
それでもすぐに上を見て星をなぞっている。
その小さな揺れに、自然と歩幅が合っていた
しばらくすると、とある建物の前で影が止まった。
ひとつの影が家の中へ。
大きく手を振っている。
思わず頭の中でファンファーレが鳴り、頬が緩んだ。
それを受け、もうひとつは再び歩き出した。
少しだけ暖かくなったような気がする。
数歩先のひとつのランドセルを眺めながら。
次話(最終話):交わらない線の上で
2026/2/11 20:00に更新します




