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星をなぞる線シリーズ  作者: 瀬戸 陽子


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4/5

冬の補助線 【詩小説版】

このシリーズは「線」「距離」「光」をテーマにした短い連作です。

童話版と詩小説版が対になっていて、同じ冬の帰り道を別の角度から描いています。

そっと読んでもらえたら嬉しいです。


【詩小説版】


放課後の校舎の端

自販機のココアが

アルミ越しにてのひらを焼く


白く溶けていく帰り道

先に伸びていく影の

その速さについていけない


見上げれば冬のダイヤモンド


一等星たちが勝手な距離で瞬いている

ベテルギウスとシリウスの間に

誰かが引いた目に見えない補助線


本当は指先でなぞってしまいたい


けれど線を引けば図形は決まってしまう

名前をつけて特別にしてしまったら

この静かな夜は終わってしまうだろうか



駅のホーム 冷たいベンチ

マフラーを二周巻いて黙り込む


吐き出す息はすぐに混ざり合って

境界線なんてどこにも見当たらない


そんな些細なことで僕は少し怯えてる

見上げれば北極星ポラリス

たった一つだけ動かない光


あんなふうに「ここだ」と言い切れたなら

揺れるこの足元も少しは固まるだろうか


「正解」という名で縛ってしまうより

宙ぶらりんなまま君と震えていたい

重ならない二つの孤独が

「カシオペア」の 頼りないダブルを描くように

そこに踏みとどまっている


「友達」という安全な言葉に逃げ込んでいるのは僕だ


「特別」という形にするのが怖いだけなのも僕だ


君を失うくらいなら嘘つきのままでいい


そんな臆病な言い訳を「補助線」と呼んでいただけだ



けれどこの消えそうな線を

必死になぞり続ける指先の熱だけは

ポラリスよりもどの星座よりも

今 僕の中で 一番強く光っている

ただ それだけでいい



明日にはまた別の空へ流れても

結ばないまま離さないでいること

答えを出さないという答えを選んだこと


この冬に僕らが線を引こうとしたこと

消えない 星座のように

胸の奥で 瞬き続けている


次話:星をなぞる線のカーソル

2026/2/09 20:00に更新します

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