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第五話 弁護士事務所

第五話 弁護士事務所

 水曜日が来た。

予約は十二時三十分だったので、容子を起こすのは十一時半ぢゃないと間に合わないだろう。

 バイクに乗って容子の寮に行く、ピンポンピンポン鳴らすが、予想通り反応はない。

 なので、二、三分待って、鳴らすのを繰り返した。可哀想だが、本人のためだ。三回くらい鳴らすとやって眠い顔で出て来た。

 すっぴんを隠そうとするが、もう既にバレて要る。美人ではない。でも身体はえろいのでちゃらだ。

 とにかくコイツを外に連れ出さなければならない。

中に入ると、「シャワー浴びる」とだけ言ってシャワールームに入った。予想通りの寝起きの悪さだが、今日はしょうがない、ただでさえ、地元の弁護士事務所が少ないのに、予約をキャンセルすると、次から有料だし、行きづらい、印象も悪くなる。

 しょうがないので、コーヒーを沸かして、冷蔵庫を開けて、トーストまで焼いてやった。

 シャワーから出て来ると容子は、「流石、トーストまで焼いてくれてるやん、プロのヒモ?!」と笑っていた。

「うるせえ、早く食って着替えろ」と言うと、えろいパンツのトロの部分をちらっと観せて喜んでいた。

「予約しているんやから、ちゃんとする時はちゃんとしろよ」と言うと、「そうね、うん、わかった」と言い、意外と素直だった。そう言う所で男は騙されてしまうのだろう。とにかく急かして着替えさせて、外に連れ出した。

 バイクで十五分くらいなので、弁護士事務所もそんな遠くないが、中に入ると意外と混んでいた。

 どこでもそうだが、少しだけ早く行く方が得である。必ず時間守らないやつがいるので、飛ばして先に早くやって貰える事がある。しかし、自分の前のやつが、五分、十分遅れると、逆に遅くなる。今回は早めに名前を呼んで貰えた。

 眠そうだったが、容子は、ちゃんとまともな会話をし出した。まあ、元看護師だからか、脳みそはちゃんとはしている。阿保ではないみたいだ。

 容子は事の顛末を弁護士に説明し出した。

弁護士は、相手がまともに話を聞けそうな人なら、裁判所に申立てなんかするより、お母さんに立て替えて貰う事を提案して来た。

 容子は相手のお母さんと仲が良いので、三十万だけは、母親に立て替えさせて、残りのサラ金は、任意整理をさせたらどうだの話になった。

 借りてる所が変な所でなく、ちゃんとした法定金利の所なので、過払い請求は難しいが、金額も五、六社の三百万くらいなら、利息無しで、五年から七年で返済出来るだろうから、破産なんかせずに、払う事を提案して来た。

 まだ三十一、二歳なら破産しない方が良いだろうし、石垣島に帰って地道に働いて生活するなら、社会復帰出来るだろう。

 それで、早速、容子は元彼氏のお母さんに電話して、今、弁護士事務所から電話している事と、内容を母親に伝えた。

「お母さん、隆に電話して、債務整理をするように言ってくれる?!石垣島に今いるから。それと私のお金三十万はお母さんが立て替えて!!、債務整理をこっちでするなら、弁護士紹介するから、隆に、もう逃げるなって言ってくれる?!」 、

 容子はさっきの眠った顔からシャキッと切り替わっている。

「やるなぁ〜 いざと言う時はやっぱり女は強いなぁ〜」と言うと、

「手伝ってね」、

「はぁ?!、俺が?!もう、来週帰るぞ」と言うと、

「いやらしい事してあげるから」

「阿保!!もうやってるやん」と言うと、爆笑していた。

 それから、容子の寮に帰って、早速ヤった。笑笑

 で、その隆君って人は、三十一歳。元は真面目なのでちゃんと話は出来るみたいだ。夕方お母さんから電話があって、容子を喫茶店まで送って行った。

 自分が立ち会っても良かったのだが、アカの他人が行って、ややこしくなって、まとまるものも、まとまらなくなると、せっかく弁護士事務所まで行ったのが、無駄になるのでホテルに帰って待機していた。

 結局、十万円はすぐに手渡しで、残り二十万円は、来週振り込んで貰えるようになった。

 そのかわり最初の弁護士代は、その中から払って欲しいと言う事だった。それと最期に、隆を助けて欲しいとの親心で、立て替えてくれたのだった。

 任意整理が始まったら、残りの弁護士代と借金は、隆が全て貰う事で話は落ち着きそうだった。

「隆来るかな〜」と言うと、「来て貰わな困る」と、容子は既に頼もしくなっていた。

 結局、今週の土曜日の午後、隆に会って一緒に弁護士事務所に行く事になった。

「俺も隆に会うんかよ」と言うと、

「大丈夫気が弱いから」、

「いやいや、子供ぢゃないんやから、俺要らんだろ?!」と言うと、睨まれたので、「しゃあないなぁ〜、もう日曜日には尼に帰るからな」と言うと、

「来月、あなたに会いに行くわ、自分家の事もあるから」と言う。

 まー最近、彼女いなかったし、大阪で会っても良いけどなぁ〜と思いながら、「今日は同伴でもするか?!」で夕方に会うことにした。

 夕方、キャバくらに行く前に、居酒屋寄った。

海ぶどうや刺身を食べた。食べ物は美味い。

「隆に連絡付いた?!」と言うと、

「一応、那覇にいるのがわかったから、土曜日の話し合いには間に合うわよ」と言うと、もうお母さんから十万円、回収しているので、容子は機嫌が良かった。「来週振り込んで貰えるのかよ」と言うと、「大丈夫よ、お金返って来なかったら、本当に隆を訴えるし、借金も助けてあげないから」と言う。

「まだ未練あんの?!」と言うと、「全くない!!」と言う。「お母さんには、色々こっちに来てからお世話になったから、お礼みたいなものかな、残りのお金も返してくれそうだし」

「しかし、隆は大丈夫かな?!」

「大丈夫よ、そんな馬鹿ぢゃないから。城ちゃん、あなた頼りにしてるわよ、隆を助けてあげてね」、

「えーっ、しゃあないなぁ〜、まあ俺も任意整理の時に、先輩に助けて貰った経験あるから、まとめてあげるよ」と言うと、「ぢゃあ、ここは私が払ってあげる」と言って払ってくれた。それから例のキャバくら行って、歌を歌いまくった。

 それから土曜日の午後がやって来た。


 つづく

 

 

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