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第一話 石垣島

緩く書いてます。宜しくお願い致します。

第一話 石垣島

 いつの頃からか、夏休みに石垣島に行くようになっていた。兵庫県に住んでいるが、実家からは縁を切られて、行く所がないので、縁もゆかりない沖縄に来ていた。

 那覇は、都会過ぎて面白くもないし、石垣島ですら、最近、都会になって、もう今や面白く無くなってしまった。なので、一旦石垣島に行き、黒島に行ったり竹富島とかに行ったりしていたのだ。

 そしてその年も、石垣島に来ていた。空港からバスで繁華街に行く、予約したホテルは二回目だ。こじんまりとしているが、とても綺麗なホテルだった。着いてからいきなりすぐに腹が減ったので、近くの焼肉屋に行った。女の子に色々注文し、ウヰスキーも頼んだ。

 女の子の店員と話しているとアクセントが大阪だ。兵庫県、尼崎とも全然違う。それで、

「大阪どこ?!」と言うと、

「大阪西区」と言う。

「えっ、昔、北堀江に俺住んでたで」と言うと、

「あたし、新町、近いやん」と話が盛り上がって、LINEを教えて貰った。

「明日、竹富島に行くけど、一緒に行かね?!」と言うと、「明日も仕事、それに夜も働いているからしんどい」「じゃあ、休みの日は?!、一週間以上はこっちに居るから」と言うと、「考えとくと」返事が来た。

 沖縄には大阪や東京、名古屋など、他所から来たアルバイトは多い、ダイビングや、自分探しなど、理由は色々だが、みんながみんなのびのびとしている訳でもない。

 普通は、キャバくらの女の子も、現地人の友達と仲良くなって、上手にやってる子もいるが、現地の友人が全然いなくて、金だけ稼いで海に行く子も多い。まあ、そんなのは個人の自由やけど、せっかく南国に来ているのだから、たくさんの友人達に囲まれる方がいいと思うが、人間嫌いで来ているのならしょうがない。ひとりがむしろ快適なのだろう。

 焼肉を食べて、そのままホテルに帰った。呑み足りなかったので、ウヰスキーを飲んだ。ウヰスキーはステンレスのボトルにいつも入れてある。部屋は、クーラーが効いていて、気持ちが良かったので寝ってしまった。

 電話が鳴って目が覚めた。例の焼肉屋の女の子だ。

「お兄さん何してんの?!、呑みに来ない、寝てんの?!」

「今起きたよ」、起きたばっかりだったが、それほど眠くなかったし、誰か知り合いが欲しかったので、行く事にした。

「港の近くだから歩いて来れるわよ、すぐ来て」と笑っていた。「しゃあ、ないなぁ〜すぐに行くよ」

 歩いて七、八分の所にキャバクラビルはあった。

そこの一階だった。「来たでぇ〜」と言うと「いらっしゃい」で迎えてくれた。

「カラオケ歌う?!」

「もちのろん、ハイボールちょうだい」

 この店は、一時間六千円の飲み放題だった。

女の子のドリンクは一杯千円だが、備えつけのボトルのウヰスキーを飲む分なら無料だ。炭酸代は取られるが、まあ、明朗会計である。カラオケを歌い始めた。任しとけの世界である。

 カラオケは得意中の得意だった。すぐに他の客とバトルになるが、ニ曲のバラードで大概参ったかで、やっつけてしまう。大人気ないとは良く言われるが、みんな歌上手いと思われたいのは間違い無くて、上手い奴は、自分でわかっていて、誇示したいのである。しょうがない。

「上手いわねぇ〜、モテるでしょう」

「歌で何回もイカしてるから」笑笑

「石垣島にいる間に一度デートしてよ」

「明日同伴してくれたら、日曜日開けてあげる、それと、もう一つお願いがあるの」

「えっ、何?!」

「お金を回収してくんない?!」

「笑笑、俺は、そっち側の人間ぢゃないよ、どうしたの?!」

「前の彼氏が、お金返してくれへんねん」

「いくら?!」

「三十万!!」

「結構あるなぁ〜 、裁判所に申し立てしたら?!」

「うん、やり方わかんない」

「明日同伴する前に、弁護士事務所に電話しよう、予約制かも知れないから、明日は電話だけしてみるか?!動かないと回収は出来ないよ」

「そうね、わかった明日早めに電話する」

「つーか、予約とっておくわ、来週、昼間、何曜日空いてる?!」

「水曜日なら」

「わかった水曜日の昼から予約とっておくよ」

「ありがとう、でも明日同伴もしてね」

「わかったよ」笑笑

 早速次の日の朝、電話した。

田舎の弁護士事務所だから暇かと思ったらそうでもない。舐めていたが、忙しそうである。

「知り合いの女の子が、お金を貸していて、回収不能で困っている、裁判所への対応などのアドバイスをお願いしたい」と言うと、

「一回目は無料、二回目からは、三十分、五千円になります」と言われた。今回は無料で済みそうだが、状況あまり知らないし、はっきり言って自分は垢の他人なので、予約取ってあげれば十分ぢゃね?!と思っていた。予約も終わって、彼女に電話した。

 居酒屋で同伴する事になった。彼女はそんな綺麗ではないが、男好きのするタイプだ。

 二十五歳、岩田容子、元看護師、色々家庭が複雑で、雑い男としか付き合えなかったらしい。

 ついでにここで、自分の紹介もしておくが、四四歳、山木城、普通の会社員であるが、童顔なので、三六歳で通用する。と、思う。

 居酒屋で色々な話をした。彼女の両親が離婚して、父親に育てられた事、弟がいる事、弟はまだ高校生で手が掛かる事、親父は、自分勝手だが、家族には迷惑をかけない真面目な人など、男好きする雰囲気もあいまって、話の聞き役に徹した。

「しかし、なんで石垣なんかに来たの?!」

「なんか嫌になったの、全てが」

「どこ行っても一緒やろ?!、自然は良いけど、田舎の人がみんな優しいわけでは無いっしょ?!」

「うん、でも前の職場よりまし、海もあるし」

 確かに石垣島の海は綺麗だ。手放しで海が綺麗に心の中に染み入って来るのだ。二日も居れば、心が優しくなれる。

 だが、石垣島の人がみんな優しい訳では無い。

 女の人は、おばあを筆頭に小さい子供まで優しいが、男連中は、偶に感に触る奴がいる。

 プライド高くて、観光客が嫌いな人もいるのだろう。時々レンタカーでもぼったくられる。良心的な店と、可愛い気の無い店が、極端なのもわかって来る。

 なので、今年が最後だ。四年も連続で来ているので、来年からは、別の街に行く。ルーレットでも作って決めてやろうと思う。

 それよりも今は、三十万の借金回収の話をしなければならない。彼女に話を聞くと、これまたクズなのである。

 元々は会社員で真面目だったらしいが、ある日を境に仕事をサボり出したらしい。どうも職場で裏切り行為にあって、ひとりだけ理不尽な処分を受けてしまったらしい。

 当然、会社を辞めてからは、働かず、酒ばっかり飲んでいるらしい。それで借金が嵩み、三十万払ってやったらしい。もちろん一度も返して貰えず滞っていると言う訳だ。

 元々、真面目な人ので、お金はすぐには返ってくると思っていたらしいが、しまいにギャンブルに手を出して、凄い金額になってるらしい。しかし、彼女にも生活があるので、そんな事も言っていられない。

 とりあえず、弁護士のアポは取れたので、何とかなるだろう。適当にやってあげたら、どうせ一週間後には帰るのだから、自分には関係ない話である。

 同伴が無事終わって、すぐの日曜日、デートする事になった。そんな美人でもないが、若い女の子なので、一発やったらもう終わりだ。そのつもりでデートするが、普通の女の子なので、凄い気が楽なのである。

 それで、ついつい気を許し、自分自身の事もベラベラ喋り、思っていた以上に情が湧いてしまったのである。バイクで彼女の寮まで行って呼び出すと、眠そうな目をしながら出て来た。まるで自分の彼女みたいな感覚になってしまっていたのである。

「後ろに乗って!」と言うと、

「うん、私バイク好きよ、何処に連れて行くの?!」

「パイナップル畑!!」

「いいわねぇ〜、一度中で食べて見たかったの」と言う。

「それから、海に行こう」と言うと、

「パイナップル畑は帰りでいいわ、先に海に連れて行って」

 と言う。

 一番遠いビーチまで行こうと思いながら、近くのビーチも覗く、パッとしなかったので、やっぱり定番のサンセットビーチに行く事になった。


 続く。

 

 

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