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親父の葬式が終わって早3日、俺は学校で授業を受けている。
最初はクラスメートや先生達から嫌ってほど同情されたり心配もされた。
けどそれも3日も過ぎれば過去の事で話を降ってくる人は少なくなった。
「そんでさ、って新ちゃん話聞いてる?」
「聞いてるめっちゃ聞いてるよバイト先の先輩がエロいって話だろ?」
「ばっっかちげぇよ昨日のアニメの話だって。」
「わりーわりー」
元の生活に戻っても隣の席の米田のマシンガントークは変わらなかった。
井戸端中の奥さんかと毎度ツッコミたくなるのを我慢して適当に相槌を打って聞き流す。
米田とは家が隣で小中一緒で席も隣。高校生となった今でも席は隣の大の仲良し
互いの親にバレないようにエロ本を隠しあったりする大親友だ。
家同士も仲良くて家族ぐるみでキャンプに行ったりもしている。
コイツが女の子だったら最高だったのに。
「ったくよぉ……授業はつまんねーし隣の席の友達は空返事……あーあ、退屈過ぎなぁ……」
そう米田が呟くや教壇にいた国語担当の教師から「暇で悪かったな」と嫌味が飛んで来て米田は罰として音読をする羽目になった。
教室の皆の笑い物になった米田が立ち上がり音読を始めやっと井戸端マシンガントークから解放される。
やる気の無いダルそうな低い声でまるで読経がの様なテンポで読み始めた。
葬式。
葬式といえばついこの間の父親の葬式を思い出す。
父の訃報を聞かされて早退するとリビングに父がいた。
久々に見た父親は最後に会った数年前よりも白髪まみれで弱々しい身体をして布団の上に寝かせられていた。
本当に父親なのかと言いかけたけど、隣にいた喪服姿の母さんの姿を見て言葉を呑み込んだ。
母さんが言うには父親、永井吉継の死因は仕事先での心臓発作だったらしく、死後1日経ってから発見されたらしい。
可哀想だなとは思う。
誰にも助けて貰えず、看取られず一人寂しく死んだのだから。
「……ざまぁみろ。」