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0、火葬

 父親が死んだ。

 そう実感したのは葬式が終わり遺体を火葬場で焼いてもらい骨壷に入れた後だった。

 久々に再開した父親の亡骸を前に悲しくなるのかと思ったがそんな事は全然無かった。

 寧ろ清々した。

 俺は父親、永井吉継の事が大嫌いだった。


 アイツは海外で仕事だといい一年の殆どを家の外で過ごして帰ってくる事なんて無かった。

 たまに帰ってきたと思えば母さんに2言3言行ってまた仕事に戻っていた。

 そんな父親のせいで近所からは変な目で見られたし、学校では浮気されて捨てられた子供だとか散々虐められた。

 小学生の内は悔しくてそんな筈ないと言い返したり喧嘩したりもした。

 だけど毎日言われ続け次第に反抗する気も起きなくなった。

 他の家の父親ならと何度思った事か。

 例えば親友の米田の父親は超のつくバカ親らしくテストの成績がちょっと良ければ褒めてくれて、休日は良く遊びに連れていってくれたらしい。

 奥さんとも仲良くて隣の家から良く笑い声が絶えなかった。

 そんな米田の家が羨ましくて堪らなかった。


 俺の家には父親なんて存在しない。


 そう心の中に蓋をして生活してきたのだ。

 実際、父親が海外での仕事をしていたのか本当に浮気してたのかは分からない。



 ただひとつ言えるのは俺は父親の事が大嫌いだった。

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