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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』の初陣  作者: 橋本 直
第十八章 『特殊な部隊』の真実

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第91話 補聴器のようなもの

 詰め所を後にした誠は、そのまま廊下を歩いていた。


中途半端な空調の生ぬるい気配にやられながら歩いていた誠が途中の喫煙所と書かれた場所のソファーで『駄目人間』嵯峨がのんびりとタバコをくゆらせているのをみつけた。

挿絵(By みてみん)

「タフだねえ、昨日も相当走りこんだって話じゃないの。その様子はどこかにお出かけ……お使いか何かかい?」 


 いつもの間の抜けた調子で嵯峨がそう尋ねる。相も変わらず緊張感の感じさせない言葉の響きだった。


「まあ一応新入りですから……」 


 急に話しかけられて少し苛立っているように誠は答えた。誠の運命をすべてぶち壊した責任などどこへやらと言うように嵯峨は涼しい顔でタバコをくゆらせている。


「そうカリカリしなさんな。あれであいつ等なりに気を使ってるとこもあるんだぜ。どうせお前さんのことだから、これからも買出しに行くことになるだろうから、その予行練習って所だ。それとこれ」


 そう言うと嵯峨は小さなイヤホンのようなものを取り出した。それはあまりに小型で、もし耳に入れれば周りからは判別不可能だろうというような大きさだった。


「何ですか?これは」 


「最新式の補聴器……まるでつけてないみたいに見えるだろ?」 


 口にタバコをくわえたまま嵯峨はそう言い切った。


「怒りますよ!僕の耳は正常です!」 


 強い口調の誠に、嵯峨は情けないような顔をすると、吸い終ったタバコを灰皿に押し付けた。


「そう怒りなさんなって。正確に言えば、まあ一種のコミュニケーションツールだ。感応式で思ったことが自動的に送信されるようになっている。実際、地球の金持ちの国では歩兵部隊とかじゃあ結構使ってるとこもあるんだそうな。まあ遼州星系の国はコストの関係から導入を見送ったらしいけど」


 誠はそう言う嵯峨の言葉を聞きながら、渡された小さな機械を掌の上で転がしてみた。確かに補聴器に見えなくも無い。そう思いながら嵯峨の心遣いに少し安心をした。 


「ああ、そうですか。ありがとうございます」 


 誠はそういうと左耳にそのイヤホンの小型のようなものをつけた。特に邪魔になることもなく耳にすんなりとそれは収まる。


「なんだか疲れているみたいな顔してるけど……大丈夫か?一応、お前は俺がここに引っ張り込んだんだ。何かあったら相談乗るよ」 


 嵯峨はとってつけたようにそう言った。そして静かにタバコに火をつける。


「いえ!大丈夫です!」


 そう言って誠は一礼するとそのまま階段を駆け下りて『菱川重工豊川』の品ぞろえが豊富なスーパーマーケット『生協』に向かった。


「はい行ってらっしゃい」


 嵯峨はそう言って軽く手を振りにやりと笑った。


「無事にお使いができるといいねえ……」


 その嵯峨の表情にはどこか底意地の悪さを感じさせる雰囲気が漂っていた。しかし、そのことを誠は見逃していた。



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