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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』の初陣  作者: 橋本 直
第十三章 過去と現在

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第70話 意外な一面

 誠の不用意な言葉に意外にもパーラは傷ついていないようだった。にこやかにほほ笑むとそのまま話を続けた。

挿絵(By みてみん)

「『人工的』ねえ……初対面の人はそう思うかもしれないけど私はそうは思わないわよ。あの娘、意外とパチンコが好きだったりするのよ」


「パチンコ……ですか?」


 思わず声が裏返る。誠はあの氷のような表情でパチンコ屋の開店を待っている姿を思いえがいて少し驚愕した。冷静沈着なカウラが無表情でパチンコを打っている姿は誠には想像もつかなかった。


「まあ、うちに配属された当初はかなりの依存症だったのよ。それこそ給料全部つぎ込んじゃうぐらいのひどいもの。だけど今はクバルカ中佐の『荒療治(あらりょうじ)』で、まあ週に一回程度に収まってるけど……結構勝ってるみたいよ。この前も私とパーラにプレゼントくれたし」


 パーラは何気なく『依存症』などと言う言葉を口にした。


「そんなに……あの堅そうなベルガー大尉がパチンコ依存症だったなんて想像もつかないですけど……ギャンブル依存症は隊長だけで充分でしょ」


 正直、誠にはあの真面目そうなカウラがそんな過去を持っていたなどとは想像もつかなかった。


「人は見かけによらないものよ。カウラちゃん『パチンコの無い生活は想像できない』とか言ってたわよね」


 島田とじゃれあうのに飽きて振り向いてきたサラの言葉が誠のカウラ感の崩壊に追い打ちをかけた。そして以外にもあの無表情なカウラにそんな一面があることを知って誠はなぜか親近感を覚えている自分を見つけた。


「そんな『パチンコの無い生活は想像できない』って言ってるんですよね。パチンコチェーンがあるんですか『ゲルパルト』には」


 好奇心に駆られて誠はそう言った。パチンコ屋だらけの東和共和国ならいざ知らず、外惑星のドイツ文化圏のゲルパルト連邦共和国にパチンコ屋が存在するのが想像もつかなかった。


「ああ、私達の『製造プラント』は大戦末期に敵対する『連合軍』に接収されたから。私もサラも、当然カウラちゃんも、前の戦争では中立だった『東和共和国』で『ロールアウト』したのよ。だから出身国や国籍は『東和共和国』よ。カウラちゃんが『ロールアウト』した施設の周りには、当然ながら『パチンコ屋』が周りにいっぱいあったでしょうね。あの子は後期覚醒体だから施設を出たら何もかも珍しかったんでしょ?そこにたまたまパチンコ屋があったら……それこそ生活を投げうってはまり込むのも無理は無いわよ」


 パーラが言う『ロールアウト』の意味が『出荷』という意味らしいことは分かった。そして、カウラの出荷先がどうやら『パチンコ屋』の近くだったことは想像がついた。


「でもパーラさんはパチンコやらないですよね?」


 ギャンブル依存症の気配の無さそうなパーラに誠はそう問いかけた。


「ギャンブルなんて胴元が儲かるようにできてるもの。初期覚醒体の私やサラはそこら辺の教育はちゃんと受けてから『ロールアウト』したの。でも後期覚醒体のカウラがどんな教育を受けて『ロールアウト』したかは知らないし、今はカウラの唯一の趣味なんだから。邪魔しちゃだめよ」


 パーラはあくまで常識人だ。誠の確信はさらに深まった。




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