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幽霊島

 リュージョンの装備を整え、ついでに私も軽めの鎌を買い、店を出た。

 リュージョンは魔法師だった。獣人にしては珍しいが、汎用キャラは伸ばせば伸びるので無理な選択ではない。

 初級魔法は一通り使えるとのことだったので、魔法師用の魔法威力+3%が付与されたローブを買ってあげた。バートにはフライパンとまな板だ。別に嫌がらせじゃないよ。本人がこれが良いっていうから。


 二人を連れて島に戻る。移動ポータルに驚いていたが、使える人は限られるものの、転移魔法は存在するので何とか説明できた。


「こんな島があったとはな、船乗りが時々幻のように現れたり、消える島の噂をしていたが、この島のことじゃないよな」

「へ、へぇそんな島あるんだね」


 バートによると、真っ直ぐ進んでいたのに、いつの間にか航路が変わっていて、船の後ろに島が現れて消える、という幽霊島の噂話が船乗りの間で有名なんだそうだ。不気味なので、船乗りはその海域を避けて航海しているとか。


 家に着くと二人は目をまん丸にして驚いていた。中に入ると更に驚いていた。

 取り敢えず、二人にそれぞれ好きな部屋を選んで貰う。三階には私の部屋があるので、二階か、一階だが、一階は共有スペースが多いので二階から選んで貰う。

 部屋に入るとフレンチカントリーな内装にバートが弱音を吐いた。


「こんなお貴族様な部屋落ち着かねぇ」


 と言うのでガイドを呼び出して、内装を変えた。ガイドに色々見せてもらいながら、一番シンプルでシックな部屋に収まった。各部屋にシャワーブースとシステムトイレ、簡易キッチンが付いている。その使い方も説明する。


「奴隷が住む部屋じゃねぇ」


 バートが疲れはてたようにぼやいた。分かるよバート、驚くよね。

 一緒に住むことになる二人には隠し事はできないし、する必要もないので、ガイドに挨拶をして貰ってこれまでの経緯をかいつまんで説明すると、二人はもう驚くのも馬鹿らしくなったのか、真顔になっていた。


 リュージョンは和室が気に入ったらしく、畳の部屋にしっぽが揺れていた。


「床に寝転がれるのが良いです」


 うんうん、リュージョンが嬉しいと、私も嬉しい。ちゃんと上がりかまちも付いていて、そこで履き物を脱ぐ事を説明する。ベッドも撰べるがリュージョンは布団が気に入ったらしく、布団に落ち着いた。

 私も和室ちょっといいなと思った。どこか空き部屋を和室に改装しようかな。まだ春も浅いので、炬燵はいいよね。





 二人の部屋が決まったところで、もう一度一階に降り、キッチンやダイニング、浴場やトイレ、ランドリールームの案内と使い方の説明をする。お風呂は私が使っていない時は自由に使っていいと話すと、二人とも尻込みしていた。


 そろそろ日が暮れるので、夕食の支度をしようと、キッチンに向かう。冷蔵庫の食材を物色していると、バートが寄って来た。


「俺に作らせてくれないか?」


 と言うので、任せることにした。私はまだお粥がいいので、材料を渡す。米を見るのが初めてらしいバートに、米の研ぎ方と炊き方を見せる。

 二人の食事についてはバートに一任する。あるもので作って欲しいと頼む。そう言えば、とボスドロップのレシピを渡すとバートが嬉しそうにしていた。


 鍋やフライパンを取り出し、準備しているバートの手伝いをする。リュージョンも野菜を洗ったりと手伝ってくれる。訊けば、リュージョンも野菜炒めや簡単なスープくらいは作れるそうだ。


 出来上がった料理を見て、今度は私が驚いた。鶏胸肉を薄く延ばして固まりのチーズとハムを巻き、パン粉を付けた後、バターで揚げ焼きにした後、トマトソースを添えた、コルドンブルー。キャベツで作ったサラダもあった。酵母はないのでパンは作れないが小麦粉と塩と水とで平焼きの発酵させないパンを焼いていた。

 ありもので作ったとは思えない出来だ。バートによると、主に作ったわけではないので、賄いなんだそうだが、それでも豪華だ。リュージョンのしっぽもぶんぶん揺れている。


 二人とも主と同じ食卓は囲めない、と遠慮したが、私も平民だから、と一緒に食事を摂ることにした。私は自分の作ったお粥を食べながら、明日からは私も同じものが食べたい、とリクエストした。

 明日は島を案内することにして、食材ダンジョンの事を話すとバートの瞳が輝いた。俺も是非行きたいと言い出した。膝は大丈夫なのか尋ねると、日常生活には問題なく初級ダンジョンくらいなら付いていけるだろうとの事だ。


「以前の主に上級ダンジョンに連れて行かれて、そこでシルバーウルフに囲まれたんだが、俺を囮にしてそいつらは逃げたんだ」

「酷い事をするものね、その以前の主と言う人は」

「奴隷の扱いなんて大体そんなものさ」


 そこから命からがら逃げ出せたが、膝の靭帯を痛め主に回復魔法を掛けて貰ったが、完全には治らず走るのは難しいのだとか。

 そこでまた奴隷として売られて下働きとして働いていたところ、貴族の娘を死なせてしまい牢に入っていたのだと。本当にごめんバート。


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