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魔女学園のTS生徒〜被検体の俺は美少女の皮を着せられ、魔女学園(女子校)へ編入する事に〜  作者: 海神 アリア
第3章 聖なる乙女の光と闇

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第3章7話 【急募】バ先にシスターが来店した時の接客方法①

今回も看板メイドさん達のお仕事回です。

蒼蘭ちゃんが前回に引き続き、お仕事で助けを求めているようですが……きっと蒼蘭ちゃんなら大丈夫です!

 ◆◆◆

「はい。一部のメニューが、テイクアウトの対象となっています。それ以外にも、お土産用のお菓子も販売しておりますよ」


 姉貴への営業スマイルから打って変わり、私は新しくやって来た聖女姿のお嬢様と子供達を満面の笑みでお出迎えした。


「では、この子達とお茶をした後に、お土産用のドライフルーツパウンドケーキを5つ、カステラを5つください」


「畏まりました。それでは席までご案内致します」


 私はシスターと子供達を席にご案内した。


「ねえ、ねえ、青いおねーさん」


 突然、シスターの連れである男の子に声をかけられた。


「何でしょうか、お客様?」


「おねーさんもシスター14(フォーティーン)みたいに、魔法が使えるの?」


 そう尋ねる少年の瞳は、眩い程にキラキラと輝いていた。そのような目を向けられてしまっては……応えない訳にはいかないな。


「勿論です。私は『水の魔女-蒼蘭(せいら)』、以後お見知り置きを、可愛らしいお客様方♪」


 私は小さめの『ウォーター・ボール』を出現させ、宙に浮かせた。


「わぁ、水の魔法だ!」


「おねーさん、このお水、飲めるの!?」


「はい、飲めますよ。よろしければ、お一ついかが?」


 私は氷の入ったグラスに浮遊させた水を注いだ。ここは『魔女の家』、当然ながら魔法を駆使したサービスも取り行っている。そして私は懐からタロットカードを取り出し、コースター代わりにしてグラスを上に置いた。これは私なりに考えた、雰囲気作りの一環だ。


「さぁ、どうぞ」


「いただきまーす!」


 少年はグラスを傾けて、クピクピと飲み始めた。


「ちゃんと飲める!

 ……でも、本当にただの水なんだ」


 口にした瞬間は興奮気味だったが、やはり味の無い水で子供心を掴むのは難しい。


「お姉さん、ジュースとかコーラは魔法で出せないの?」


 男の子より少し年上の少女が、不思議そうに、そして若干不満そうに尋ねてきた。


「私が使えるのはお水の魔法なので……ジュースとかの甘い物は出せませんね」


「なーんだ、残念」


(ぐはぁっ!)


 幼い子の発する落胆の声が、私の心臓に突き刺さる。


「いけませんね、いけませんよ。メイドさんを困らせるのは良くありません」


 少女の言葉を、すかさずシスターが嗜めた。


「すみません、セイラさん。ですが、この子に悪気は無いのです」


「いえいえ、全然気にしておりません!

 ……確かに、ジュースを好きなだけ出せる魔法があったら素敵だもんね?」


 私は少女に目線を合わせて微笑みかける。


「うん。私、オレンジジュースが大好きなの!」


「そっかー、私もオレンジジュース、大好きよ」


 少女との無邪気な問答を経れば分かる。この子には一切の悪気は無い。逆の立場なら私だって、水を出す魔法よりジュースを出す魔法の方が嬉しい。


「ジュースは出せないけど、私はお水より素敵な魔法を見せてあげるわよ?」


 いつのまにか私の隣にはアディラ嬢が立っていた。


「お姉さんも魔法使いなの?」


「でも、オレンジのおねーさんはメイドさんじゃないよ?」


「ふふん、良いから見てなさい。何も無い手のひらを、ギュッと握りしめたら……ほら、綺麗な宝石の出来上がり!」


 アディラ嬢の手には、橙色のガーネットが握られていた。


「わぁ、凄い!宝石を出す魔法だなんて、素敵!」


「どうやったの、どうやって出したの?オレンジのおねーさん!?」


「私は『オレンジのおねーさん』ではなくってよ。私は『柘榴石(ガーネット)の魔女』、アディラ・ナヴァラトナ。私の名前を記憶に刻んで帰りなさい」


 子供達の心を鷲掴みにしたアディラ嬢は、得意げに自己紹介をした。


「さて、お近づきの印に……貴方達には私が作り出した、この綺麗な石を差し上げましょう」


 アディラ嬢は、子供達二人へ自分が作った柘榴石を渡そうとした。


「待ってください、ナヴァラトナさん」


 菊梨花が令嬢を制止させる。


「何よ、キリカ?」


「忘れたのですか?シスター14は児童養護施設の職員、そしてこの子達はその施設で暮らしています。

 もし()()()()()()に綺麗な石を渡してしまったら、施設の子供達の間で喧嘩になってしまうのでは?」


「あっ……」


 菊梨花の指摘に、アディラ嬢はハッとした表情になった。もしかしたら、私も同じ表情をしていたかもしれない。だって菊梨花に言われるまで、その発想が思い浮かばなかったからだ。確かにシスターとお出かけしたメンバーだけが綺麗な石をお土産に貰ったとあれば、子供達視点では不公平に感じる可能性が高い。そういう不和は、避けた方が良いに決まっている。


『シスター14』と呼ばれた聖女は、菊梨花の意図を察したようだ。立ち上がり、令嬢と帯刀少女に深々とお辞儀をした。


「ナヴァラトナさんのお気持ちは大変嬉しいのですが……そちらのキリカさんの仰る通り、宝石を受け取ったのが二人だけとなってしまうと、どうしても子供達に不公平感を与えてしまいます。それはいけません。それに、この様な高価なもの……いえ、『高価に見える物』は尚更受け取れません。どうか、気持ちだけ受け取らせてください」


 ここまで懇切丁寧に断られてしまえば、流石のアディラ嬢とて引き下がるしかない。


「ま、まぁ、確かに?ここに居ない子供達の事も考えたら……最適解ではなかったかもしれないわね」


「御理解頂き、感謝致します」


「気にしないでください、シスター14。元はと言えば、ナヴァラトナさんの『対抗心』が発端なのですから」


「なッ……誰が誰に対抗しているですって!?」


「ナヴァラトナさんが、瑠璃海さんと彼女のお姉さんに、ですよ」


「誰がこんな愛玩動物を意識するっていうのよ!?誰があんな、あんな…………」


 アディラ嬢は言葉に詰まっている。

 あー、成程?お姉ちゃんへの悪口や揶揄い文句は思い浮かばないと?まぁ、魔女学園の皆様に対しての外面は保たれている(当社比)からな。側から見れば『ちょっと』妹への愛情が強めの天才研究者だもんな。だが甘いぞ、アディラ嬢よ。もっと本質を見抜く瞳を養うのだ。さすれば、沙織お姉ちゃんが沙織お姉ちゃん(へんたいまほうつかい)だと、キミも気づく筈だぞ。


「ねぇ、シスター14。本当にこの石、貰っちゃダメなの?」


 女の子の方は残念そうに、シスターとアディラ嬢を交互に見ている。


「期待させてごめんなさいね。私がどんな魔法を使えるかを、見て欲しかっただけなの」


 アディラ嬢は気不味そうな表情で、女の子に謝った。


「……分かった。でも、石を貰わない代わりに、もっと色々な魔法の事を知りたい!私、シスターみたいな凄い魔女になりたいの!」


「でしたら、お嬢様方のお願い、このボクが叶えましょう」


そこに現れたのは我がお師匠様扮する、男装執事のロイ君だ。


「こちらはタネも仕掛けもないシルクハット。どうぞ、お客様も中を調べてくださいな」


執事の少女に差し出された帽子を、子供達は入念に確認した。


「ではでは、このシルクハットにこの杖で魔法をかけましょう。1、2、3!」


取り出した小さな杖でシルクハットを叩くと、中からは虹色に輝く光の蝶が羽ばたいた。


「素敵!綺麗な蝶々さん!」


「その通り!そして蝶々さんに魔法をかけると…えいっ!」


再びロイ君が杖を振ると、極彩の蝶は光の粒子となって弾け飛び、何と包装された飴玉が幾つもテーブルに降ってきたのだ。


「石の代わりに美味しいキャンディを、どうぞ召し上がれ♪」


「わぁい、いただきまーす!」


少年は包み紙を取って、飴玉を一つ口の中に入れた。


「美味しい!それに、これだけあれば、皆へのお土産にもなるよね、シスター14!」


「そうですね。ロイさん、お代は払いますので、こちらのキャンディもお土産に頂きますわ」


「キャンディのお代なら気にしないでください。こちらは、ちょっとしたサービスですので」


「それでは、お言葉に甘えさせて頂きます」


少女執事の申し出を、シスターは丁重に受け取った。


「なら、次はアタシの出番だな」


 一連の流れを見ていた音の魔術師が、アディラ嬢の側から姿を現す。


「面白そうな事してるじゃんかよ。『魔法のお披露目大会』、この風歌ちゃんも混ぜてくれよ!」


 そう言うと、風歌は店内にあるオルガンの前に座った。そして、彼女はクラシカルな旋律を奏で始める。風歌がギター以外の楽器にも精通している事は、ショッピングモールでの演奏で把握済みだ。だが、何度聞いても風歌の演奏には引き込まれてしまう。木造の喫茶店に合致する落ち着いた曲調も、オルガンを弾いている時の風歌の穏やかな表情も、この空間にいる者全てを惹きつけていた。そう、誇張抜きにして、他のA組生徒も、一般のお客様も、風歌の演奏へ静かに耳を傾けていたのだ。やがて音の魔女が曲を弾き終えると、喫茶店に居た人達は一斉に拍手喝采を送った。当然私も、そしてシスター14と連れの子供達も、だ。


「とっても素敵な音色だったわ、オルガンのお姉さん!それに、聞いていると心がリラックスする演奏だったわ!」


「なんだか、おねーさんのオルガン聞いてたら、ぼくも元気が出てきたよ!」


「そっか、そっか、それは良かった!ならキミ達も今日から、アタシのファンだな!」


「うん!!」


 子供達の満面の笑みを引き出した風歌もまた、満足気な笑みを浮かべていた。『人を笑顔にする魔法』、絵本の中に居る魔女が目の前に現れたのだ。目を輝かせない子供なんて居ないだろうさ。


 ◆◆◆

 突如として始まった、子供達への『魔法お披露目大会』は店員だけでなく、客であるA組生徒も交えて盛り上がりを見せていた。菊梨花が手持ちのボールペンをグニャグニャにして見せたり、子供達が見学可能な距離で炎華が自分の火炎魔法で焼きバナナと焼きマシュマロを作ったり、その光景に触発された他のA組生徒が喫茶店の営業を妨害しない範囲内で、多種多様な魔法を用いて子供達を持て成している。


「よーし、私もリベンジです!私、水を出すだけのメイドではありませんので!」


 私は三人のお客様の前でタロットカードをシャッフルする。そしてカードを一枚選んで頂き、私が後ろを向いている間、シスターと子供達は絵柄と数字を確認する。


「水のおねーさん、ぼくたちカード覚えたよ!」


「ありがとうございます。それでは二つに分けたカードの束の、左側の束にお乗せ下さい」


「乗っけた!」


「そして右手の束を合わせて、お呪いをかけると……ほら、選んだカードが一番上に!」


 私は手のひらでタロットの束を撫で、カードを捲り、子供達が引いた『審判』のカードが一番上に現れた事を示した。


「わぁ、本当だ!」


「20番のカードが一番上に来てるわ!」


「ふっふっふ……どうですか?私の魔法も、捨てた物ではないでしょう?」


「なーにが『魔法』よ!?こんなの、タネも仕掛けもある『手品』でしょうが!」


 自慢気に胸を張る私の脇を、財閥令嬢が小突いた。彼女の仰る通り、今のは『客にカードを見せている間に、手元でトリックの準備をする』といった、単なるミスディレクションである。


「あはは、アディラお嬢様は手厳しい……」


「待って。折角なら、このまま私に魔法を披露させてよ。蒼蘭ちゃん、カードを一枚借りても良い?」


 私は側に歩み寄った聖に頷くと、彼女は先ほどの『手品』で用いた『審判』のカードを徐に手で破いた。


「え、ビリビリにしちゃうの?」


「勿体無いよ?」


 子供達の不安気な声に、聖は優しく微笑んだ。


「大丈夫よ。ラッパを持った天使のカード、『審判』は再起と復活を示しているの。だから私の魔法で……あっという間に元通り!」


 聖が物体修復魔法の『リペア』で、破いたカードを欠ける事無く、一切のキズもシワも残さず、綺麗な状態へ元通りにしてみせたのだ。


「すごい、すごい!青いおねーさんと、メガネのおねーさんのカードマジックだ!」


 少年の喜ぶ声と、少女からの拍手。聖の魔法も子供達の心を鷲掴みにしたようだ。そして、引率のシスターもまた、何やら琴線に触れた様だ。


「成程……もしや、最初に『手品』を見せたのは、後に披露する『魔法』への伏線、という事でしょうか?」


「あはは……バレてしまいましたか。その通り、当店が誇る癒しメイドの『聖』、僭越ながら私が彼女の前座を務めさせて頂いた次第です」


 聖の魔法が持つ日常生活における利便性は今更語るまでもない。が、こうしたパフォーマンスの場には少々不向きだ。普通の接客をしていれば怪我人が出る事は稀だし、お客様の前でいきなり皿やコップを叩き割って魔法で修復する、というのは流石にダメだ。いくら食器が直っても、ぶち壊された景観や雰囲気は修繕不可能だ。


 故に事前に打ち合わせしておいた。私がカードの手品を披露した後に、聖が『本物の魔法』を披露する流れだ。重要なのはあくまで私は前座、メインが聖であるという構図だ。このバイトが始まって以来、度々魔法を披露する事もあったが、これにより聖も問題なくお披露目会に参加できる様になっている。


 私と聖は互いに目配せして、お客様にお辞儀をする。こうした余興も、魔女メイドのお仕事の内だ。子供達とシスターから送られる拍手の中、聖は心なしか嬉しそうだった。


 ◆◆◆

 さて、魔法を用いた余興も仕事の内だが、『本来の業務』を疎かにしてはいけない。故に、私は一人黙々とアイスココアを啜る雷葉に小声で話かけた。


「雷葉は、何か魔法を見せたりしないの?」


「お店の中で電気をバチバチさせたら危ないじゃん。それに、こういうのは雷葉がやるより、フウがやった方がウケが良いから」


「雷葉の魔法も十分凄いと思うけど……まぁ、安全面を配慮するならそうだよね」


 他のお客様には聞かれていないだろうし、メイドさんモードは一旦止めて、雷葉には友達口調で話している。そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、聞かないこともあるからだ。端的に言えば情報収集、具体的には『シスター14』と呼ばれる少女についてだ。


「ところで……あの『シスター14』って女の子と、菊梨花やアディラは知り合いなの?」


「んー、『知り合い』って言って良いのかは微妙なトコだよね。雷葉達とはここ数日知り合った人だから、悪魔討伐のバイト中に」


 ふむふむ……生徒会メンバーも知らなかったって事は、彼女は暁虹学園の生徒ではないのか。それに、子供達のシスターに対する懐きっぷりをみるに、学生ではなく本当にシスターを生業にしているっぽいな。


「もしかして、一緒に戦ったの?まさか、あのシスター14は回復系の魔法使いじゃなくて、ゴリゴリの『武闘派聖女』だったりとか!?」


 私だって数日間、喫茶店で情報収集がてら出没した悪魔の事は把握している。素早い動きと電撃が厄介なグレムリン、個々の力は大した事ないが数の暴力で疲弊させに来るコボルト、空中を飛び回りながら槍や鎌で攻撃してくるインプなど、中々に強力な悪魔達が暴れていると言う情報を耳にした。ならば、シスター14が雷葉達と共闘したと仮定すると、かの聖女も強力な悪魔達を退けられる実力の持ち主という事になる。


「『武闘派聖女』って……ククク……」


「いやいや、ゲームとかでそういうキャラいるじゃん!」


「ごめんごめん。確かによくいるけど、シスター14がいきなりゴツい鉄の手甲(てっこう)装備して悪魔殴ってるの想像しちゃって……フフフ……」


 雷葉に釣られて私もニヤけてしまった。確かに、華奢な見た目に品方向性な性格をしたシスター14には、それこそゴリゴリの肉弾戦など合うわけがない。大真面目な気持ちで質問したつもりが、我ながら少しおバカな字面の質問をしてしまった。


「話戻すけど、シスター14は『悪魔に呼び寄せられたモノ』を追い払ってくれたんだ。結構な数……ざっと20匹くらいかな?あっという間だったよ」


「『呼び寄せられたモノ』って、どういうこと?」


「雷葉も授業で習っただけで、そこまで詳しくないんだけど……悪魔とか幽霊とかっていうのは、人間の『怒り』とか『不安』、『絶望』見たいな負の感情に呼び寄せられる事が多いんだって。それで、最近起きている『異世界から来た悪魔』のせいで、人々が抱えている負の感情に『地球に住んでいた弱い悪魔や幽霊』が呼び寄せられちゃったって訳。後は、異世界悪魔が自前で持っている闇系の魔力に釣られたって仮説もある。まぁ、あくまでも先生や魔法機関のお役人さん達の仮説だけど」


 なるほど、『人々の不安』か……。多くの人間は魔法を認識できないが、不審人物の出没やら街の破壊やらが起きているんだ。巷では()()()()()()()()()って事は漠然と思っている訳だ。


「あれ……つまり、この地球にも悪魔とか幽霊が普通に存在しているって事?私達の普段の生活の裏で、幽霊達は人目のつかない場所で暮らしていたって事なの?」


「多分だけど、そういう事じゃないかな?と言っても、地球人の悪魔は今の今まで見かけなかったし、きっと地球の幽霊や悪魔は大人しい子達なんだよ」


「私と違って、子供の頃から魔女だった雷葉達も見なかったって事?」


「うん。だから今回、地元のオカルト的存在に会えたのはちょっぴり新発見。錫宮(すずみや)ちゃんはちょい苦手っぽいから、次来るときはお手柔らかにして欲しいけど」


「ふむふむ……ありがとう、雷葉。色々と勉強になったし、参考になったよ」


「ううん、礼には及ばない。本当に面倒くさい事は嫌だけど、頼られる事自体は嫌いじゃないから。それに、瑠璃海ちゃんと色々とお話ししたかった所だったし」


「え、私とお話し?」


「フウの言葉じゃないけど、雷葉も面白い事や面白い人が好き。春頃にやって来た謎の編入生が、異世界絡みの事件で次々に活躍する……こんなの、面白くない訳がない。それと、瑠璃海ちゃんもゲームとかする人だって分かったのは、個人的に嬉しい収穫」


 普段眠そうでマイペースな少女から、微笑み混じりにこんな言葉をかけられるとは……ちょっと照れ臭いな。でも、正直嬉しい。


「私も、雷葉とお話しできて良かったよ。それじゃ、そろそろお仕事に戻るね」


「うん、頑張って」


 取り止めのない会話を終えて、私は厨房へ足を運ぶ。理由は二つ。一つ目の理由は、シスターが注文したお持ち帰りの商品が用意出来た頃だからだ。そして二つ目の理由。お師匠様から以下の指令(オーダー)が入ったからだ。


『謎のシスターについて、本人に探りを入れるように』


 ……まぁ、分かってはいた事だ。謎の聖女、『シスター14』。雷葉からの話を聞くまでもなく、彼女からは何か途轍もない雰囲気を感じていた。彼女が敵なのか味方なのか、その判断材料を少しでも見出す必要がある。味方なら恐らく心強い存在だろう。だが、その逆なら……?


 いや、変に考え過ぎれば、『情報収集』のお仕事に支障が出る。私はすぐさま、看板メイドの仮面を被り、オーナーの元へ向かった。

【回答】

お客様が姉でもシスターでも、真心込めた接客を心掛けましょう。


『魔女の家』では、こうしたメルヘンチックなお持て成しも行われています。絵本の中の喫茶店、そんな光景が皆様の瞼に浮かんだのであれば幸いです。


とは言え、いつまでもメルヘン気分ではいられそうにありません。謎の聖女に対して、愛らしい美少女メイドの仮面を被り、蒼蘭ちゃんは次なるお仕事に臨みます。…….まぁ、既に『愛らしい美少女の皮』は被っている訳ですが。


次回は連休前の木曜日、投稿予定です。

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