第42話 魔女学園のA組生徒
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時は昼休み。今日は購買で買った弁当を、友人達と教室で食べている。そして食べ終わった俺は、人気のクリームパンを手にして炎華にある質問をした。
「『学内バイト』?セーラ、バイトしたいの?」
「うん。受付の場所とか、私でも出来そうな仕事があるのかどうか、炎華先輩に教えて貰おうと思って。あ、こちらお納めください。」
俺は着席している炎華の前でしゃがみ、頭を下げながらパンを渡した。情報の対価、そして昨日の礼も兼ねて買ったものだ。菓子パン一つでは返しきれない恩だが、一先ずの手付金として受け取って欲しかった。そう、俺が自主的に買ったのであり、蒼蘭ちゃんが炎華番長にパシられた訳では無い事を留意願いたい。
「ん〜?取り敢えず学園の事務所行けば、募集の用紙は張り出されてるよ。申し込みも事務所で出来るから、先ずは今の募集を見てから考えな?」
炎華はそう言うと、クリームパンを一切れ千切って俺に差し出した。
「あの、これは?」
「あーん」
「いや、これ炎華に買ったやつ……」
「おう、先輩のパンが食えないってか?」
「……頂きます」
炎華の圧……というよりノリに逆らえず、俺はパンを口にした。やはり人気のパンなだけあって美味い。移動販売のメロンパンと同じくらい美味い。
「セーラはすぐにバイト代が欲しい感じ?長いバイトだと、バイト代は纏めて払われる事になるから気をつけなよ?
ほれ、あーん♪」
「あむ……
お金ってよりは、こう……達成感的な……。お仕事を成功させて、自分に自信が持てるようにしたいの。」
「そっか……なら単発の方が良さげだね!
備品倉庫の整理とか、実験の手伝いとか。あとは卒業生からの依頼でポスターのモデルとかもあるからさ。
セーラはモデルとか合いそうじゃない?可愛いしさ!」
「かッ、かわッ!?」
唐突な褒め言葉に、俺は顔から火が出そうになった。
「今は6月だから、ひょっとしたらジューンブライドのポスター撮影とかも有るかもね。蒼蘭ちゃんのウェディングドレスとか、絶対可愛いよ!」
「う、う、ウェディング!?」
聖からの追撃により、更に体温が上昇してしまう。額と胸の谷間が汗ばんでいくのが自分でも分かる。
「いやー、流石に撮影とかはちょっと……」
「えー、セーラは自信を付けたいんじゃ無いの?」
「いやいや、何も撮影に拘る必要は無いでしょ?無いよね!?」
「まぁ、種類はいっぱいあるから、蒼蘭ちゃんの好きなアルバイトに挑戦してみなよ。」
「じゃ、早速今日の放課後に事務所へ行こっか。あーしとひじりんも着いていってあげるからさ☆」
「ありがとう、炎華、聖!」
「良いって事よ。
ほれ、最後のクリームパン。あーんして♪」
俺はパンを差し出す炎華の手首をガッシリと掴み、彼女の手からパンを奪還した。
「最後の一口ぐらいは炎華が食え!」
「あむぐッ!?」
俺はギャルの口にパンをねじ込んだ。
◆
そして放課後、俺たち三人は学園の事務所へ足を運んだ。ここに来るのは外出手続きの時以来だ。俺は早速、張り出されている募集の紙を確認する。
「学食の食器洗い、購買や雑貨屋の商品陳列……掲示板にあるのは中・長期のバイトばっかりね。単発の募集は無さそう……かしら?」
『思い立ったが吉日』とは言うが、そう上手く事は運ばない。まぁ、俺の突発的な思いつきな訳だし、仕方ないと言えばそれまでなのだが。
と言うより、今ある募集は余りにも『普通のアルバイト』過ぎないか?ここは魔女の学園なんだから、もっとこう……魔法的な仕事があっても良いだろうに……。
「待って、セーラ。もしかしたら、張り出されてる意外にも募集があるかもだよ。こう言う時は事務員さんに聞いてみよー♪すみませーん!」
炎華は俺を励ましつつ、職員に声をかける。
「はい、如何されましたか?」
「あーし……じゃなくて、アタシの友達が、単発や短期のアルバイトを探してるんです。掲示板にあるヤツ以外の募集がないか、教えてください。」
「分かりました。少し探してみますね。」
職員さんは大きなファイルを取り出すと、パラパラと用紙をめくりはじめた。
「見た限りだと、今は張り出されているモノ以外にはないですね〜」
「そうですか……ありがとうございました。」
俺は職員さんにペコリとお辞儀をした。無いものはしょうがない。また出直すとするか。
「あ、居た。やっほー、そこのお三方。」
その時、入り口の方で少し眠そうな声が聞こえた。声の主は俺たちを見つけると、軽く手を振りながら近づいてきた。
「貴女は確か……生徒会の『奏 雷葉』さんよね?」
「お、瑠璃海ちゃんは雷葉の事覚えてくれてたんだ。」
雷葉の眠そうな顔が、少し朗らかなものになった。
「ところで、『お三方』って私達の事?」
「そうそう、生徒会長からのお使いでさ。貴女達三人を連れて来るように言われたの。」
はて……生徒会から呼び出しを受ける様な事なぞ、した覚えが無いが……。
「アルバイト、探してるんでしょ?丁度、瑠璃海ちゃん達をご指名の募集があるの。」
「え、私達を?個人を指名する募集なんてあるの?」
「まぁ、それは行ってからのお楽しみって事で。ほいじゃ、早速行ってみよー。」
雷葉の声色は低血圧気味だが、何処となくご機嫌な口調で俺たちを案内した。
◆
そして雷葉に連れられて、再びのA組校舎へと足を踏み入れた。とは言え、前回足を踏み入れたのは闘技場とその周辺だけで、本格的にお邪魔するのは今回が初だ。
やはりこの校舎だけは色々と特別で、中世ヨーロッパ風の建物のデザインが印象的だ。その一方で季節の割に湿度が低くて過ごしやすい。恐らく魔法技術による空調の類だろう。
案内された『学生生活総合センター』もまた、一般校舎の事務所とは大きく違っていた。
まず目につくのは、広い木造の部屋とそこに置かれた調度品だ。
木の質感が目立つカウンターテーブル。
壁を大きく占拠している、コルクが剥き出しの掲示板。
天井にはカフェで回っているようなプロペラが設置されていた。
何というか、『ファンタジー世界の冒険者ギルド』を連想させる内観だ。
他には職員たちの仕事風景も印象的だ。
例えばこの部屋にコピー機はなく、彼女らは白紙の紙束に原本を置いている。更にその上に魔法陣が書かれたスクロールを置いて魔力を流し込むと、瞬時に白紙だった用紙に原本の内容が写されていた。他にもパソコンを使う職員は極小数で、ほとんどが魔法や羽ペンによる手書きで書類を作成している。
最後に、掲示板に張り出されている学内バイトの募集用紙だ。
例えば、魔法薬配合実験の助手。
例えば、魔術道具試作品の使用感を確かめる為のモニターやテスター。
例えば、山奥の廃墟から掘り起こされた古い魔導書の復元作業。
「おお……おおおお!!」
俺は感動の余り、声を漏らしてしまった。
そうそう、こういうのだよ!魔法の学校なんだから、学内バイトだってこうあるべきだろ!
「凄いよ、炎華、聖!本当に『魔法の世界のお仕事』って感じのがたくさんある!」
興奮でつい大声を出してしまったが、どうか許していただきたい。だって『魔法の世界』、言うなれば絵本や小説の世界に迷い込んだ感覚を味わったのだ。こんなもの、心が踊らないわけがないだろう。
……だが俺は直ぐに、自分の迂闊さを自覚した。
「ねぇ、あの子って……」
「蒼蘭ちゃん!貴女、『瑠璃海 蒼蘭』ちゃんよね!?」
蒼蘭ちゃんの歓声を聞いたA組上級生のお姉様方が、次々にこちらへ寄ってきたのだ。
「近くで見るとすっごく可愛い!笑顔が素敵な子よね!」
「この前の試合、しっかり見てたよ。凄い子が入って来ちゃったね!」
「あー、本当にお人形さんみたい!」
あれよあれよという間に囲まれてしまった。身長148cmの蒼蘭ちゃんに合わせて、上級生達は中腰で話しかけてくる。そのさりげない心配りと優しいお姉さんスマイルにより、俺の心臓は鼓動を早める。
「あ、えっと……は、はじめまして!瑠璃海 蒼蘭です!まだまだふつつか者で新米の魔女ですが、どうぞよろしくお願いします!」
だが、こんな状況とは言え挨拶は大事である。ましてや彼女らは先輩、しかも特進クラスの生徒だ。一般クラスの下級生に気前良く声をかけたのに、アワアワ言っているだけでは心象が悪くなるだろう。当然挨拶だけでなく、最後に満面の『蒼蘭スマイル』も添えて、だ。
……が、ある意味でそれが裏目に出てしまった。
「キャー、やっぱり可愛い!」
突如として、一人の上級生が蒼蘭ちゃんを抱きしめたのだ。
「あわわわわわわわわわ!!」
「ちょっと!私にも抱っこさせてよ!
ほら、ムギュー♪」
「はうわわわわわわわわわ!」
先輩魔女の柔らかい身体に触れた途端、顔が、体温が、瞬く間に熱くなる。頭を撫でられたり、頬を指で突かれたり、その手つきは小動物を愛でる時のそれだ。そして年下である筈の彼女らの瞳には、慌てふためく愛らしい美少女が映っていた。生徒達は、自分が触れている者が年下の少女だと信じて疑っていない。(まぁ、肉体面ではその通りなのだが。)
この倒錯的な状況はマズい。怪しく甘い香りを放つ背徳の奈落に、心が引き摺り込まれそうだ。
「あー、センパイ達、ちょっといいッスか?」
すると、部屋の奥の方から新しい声が聞こえてきた。
「この娘、会長が用があるって事で呼んだんですよ。なんで、ボチボチ放して貰いたいなーって。」
助け舟を出してくれたのは、いつもギターを肌身離さず持っている、『魔女』と呼ぶにはあまりに現代っ子な少女。生徒会庶務を勤める『奏 風歌』だ。
「会長のお客さんだったの?そうとは知らず、悪い事しちゃったわね。」
「ごめんね、邪魔しちゃって。でも、いつでも遊びに来て良いからね♪」
先輩達は快く蒼蘭ちゃんを解放してくれた。
「えっと……先輩方、さようならです。」
部屋を去っていく生徒たちに、俺は挨拶と手を振ってお別れをした。彼女らが去った後、改めて風歌に礼を言った。
「良いって事よ!それにしても、転校生ちゃんは凄い人気者じゃん!」
ギタリスト魔女の言葉に、炎華がすかさず賛同する。
「いやー、これはセーラのファンクラブが出来るのも時間の問題かもね☆」
炎華もケラケラと笑いながら、汗だくになった蒼蘭ちゃんの背中をパンパンと叩いた。アイドルじゃあるまいし、そんなモノが出来るとは思えないが……。
そんなやり取りをしていると、雷葉が風歌に歩み寄った。
「フウ、言われた通り連れて来た。」
「おー、我が妹よ。お疲れ様。」
「なら雷葉を撫でて。労いは行動でも示すべき。」
「分かった、分かった。ちょっとだけな?」
苦笑しつつも妹の髪を撫でる風歌と、飼い猫の様に満足気な表情を浮かべる雷葉。見ただけで分かる、仲の良い姉妹だ。
果たして俺と姉貴は、ここまで仲が良かっただろうか……?
……いや、今は余計な事を考えるな。折角気分を持ち直せたんだ。
「ほら、こっちこっち。会議室で、みんな待ってるからさ。」
そして風歌に手を引かれながら、奥の部屋へ案内された。
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部屋の中には既に先客が三人いた。
一人目は生徒会副会長の菊梨花。二人目は分厚い眼鏡をかけた生徒会役員。彼女は初めて会う人だ。入室した俺たちに気づいた副会長が声をかけてきた。
「瑠璃海さん、白百合さん、それに葡萄染さんではないですか。なんだか最近、貴女達とは縁がある気がしますね。」
「あはは……私も転校初日から、菊梨花…というより生徒会の役員さんと接する機会がこんなにあるとは思わなかったよ。ちょっと、自分でも驚いてるかな。」
「いえいえ、『縁』とは何事にも代えがたいものです。育ての親の受け売りですが、お互いこの縁を大切にしましょう。」
菊梨花は柔らかく微笑みかける。相変わらず礼儀正しい子だ。
そして最後の先客は……
「随分と先輩達に気に入られていたじゃない、『蒼石の魔女』さん?貴女もやっと、愛玩動物としての自覚が出てきたようね?」
不敵に、そしてやや高飛車な笑みを浮かべるオレンジ髪の少女。『柘榴石の魔女』ことアディラ・ナヴァラトナ嬢だ。
「……見ていたの?」
先程の光景が思い起こされ、羞恥心から体温が再び上昇する。
「ええ、しっかりとね。お姉さん達に愛される貴女、顔を真っ赤にして慌てふためく貴女、それでも笑顔を振り撒く事を欠かさない貴女……。
やっぱり貴女は『学園のマスコット』が相応しいわ、セイラ。いっその事、ぬいぐるみでも作ってみたらどうかしら?案外売れるのではなくって?」
嫌味ったらしい笑みを浮かべながら、ここぞとばかりに揶揄って来る。
「それと、何やら募集の張り紙を見てピョンピョン飛び跳ねながら興奮していたわね。
身の程を弁えなさい、青ウサギ。貴女が目を輝かせていたお仕事は、ほぼ全てが『A組の生徒』を対象にした物よ。魔法により重きを置いた仕事は、私達特進クラスの特権なの。セイラは精々、遊園地で子供達に風船でも配っているのがお似合いだわ。」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ……!」
確かにアディラの言う通り、俺はついテンションが上がって精神年齢低めのリアクションを取った。それは否定できない。
が、そこまで言わなくても良くないか!?それに、何か言い返さないと無限に嫌味を言われ兼ねない。言われっぱなしというのはちょっと……いや、大分嫌だ。
「わ、私だって、ちゃんとご指名を受けてこの校舎に来たんだから!今日この場に置いては、私とアディラ嬢は同じ立場なんじゃないの!?そこまで偉そうにされる言われはないわ!」
「同じ立場ですって!?私と愛玩動物風情が!?」
「その愛玩動物の青ウサギちゃんに、余裕ぶっこいて一撃喰らったのは何処のお嬢様よ!?」
「こんの……言わせて置けば!」
こちらに詰め寄ろうとしたアディラを、菊梨花が鞘入りの刀を前に出して遮る。
「今のは先に噛み付いたナヴァラトナさんが悪いです。それに、瑠璃海さんの言う通り、今の私達は協力関係。そこを履き違えられては困りますよ。」
「うぐッ……!」
副会長の指摘に、悪役令嬢はたじろいだ。
そして俺の方には風歌が歩み寄って、肩をポンと叩いた。
「ウチのお嬢を許してやってくれ、蒼蘭。アイツ、アンタとの演習以降、アンタに対抗意識バリバリ燃やしてたんだぜ?さっきはそれが行き過ぎただけさ。」
「なっ!?風歌!」
途端に財閥令嬢は顔を真っ赤にする。
それを見た雷葉は自前のノートパソコンを開いて、ある画面を見せてきた。
『アディラ嬢は仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしますか?』
「これは……?」
「某ゲームのパロディ画面。雷葉が暇つぶしに作った。『はい』か『いいえ』か選んで。」
「うーん……じゃ、『はい』で。」
選択肢をクリックすると、『おめでとう、アディラ嬢は仲間になった!』の文字と花火のエフェクトが映し出された。
「おお!もしかして、演習試合で映してたエフェクトも雷葉が作ったの?」
「うん。雷葉、パソコン関係は色々できる。」
「凄いじゃん!」
「いや貴女達!?私を尻目に何を和気藹々としてるのかしら!?」
「あー、待て待てお嬢。そろそろ止めないと、こっちの先輩も歯止めが効かなくなるぞ。」
風歌がアディラを嗜める。一同が静かになると、部屋に響き渡る『鉛筆の音』が一際目立つ様になる。
「ああ、良い!凄く良いわ!高飛車なご令嬢と可愛い転校生の組み合わせ!やっぱり『魔女×魔女=無限の組み合わせ』の方程式に間違いは無いわね!」
先程見かけた、眼鏡をかけた生徒会役員。彼女はいつのまにか取り出したスケッチブックに、俺とアディラの絵を描いていたのだ!
「どちら様で!?」
「『ティスル師匠』……またみんなを題材にした同人誌を描くんですか?」
ここで意外な人物が口を開く。なんと、聖は鉛筆を走らせている彼女と面識があるようだ!
「おお!我が心の弟子、聖氏ではごさらぬか!久しぶりですな!
貴殿のお友達は学園に新しい風を運んでくれましたぞ!これで私の創作活動も捗りまする!
フッフッフ、新作が出来たら聖氏には真っ先に……」
「それは嬉しいですけど、そろそろ会長を呼んで来た方がいいんじゃないですか?」
ティスル師匠と呼ばれた彼女は手を止めて、周囲を見渡した。そしてそこにいる全員、取り分け生徒会メンバーを待たせていた事に気づいた彼女は苦笑いをしながら謝罪する。
「いやー、失敬失敬!またしても自分の世界に入り込んでおりました。」
「では、お願いしますね。」
副会長が改めてお願いをすると、彼女はスケッチブックをカバンに仕舞う。そして、眼鏡を外して瞼を閉じ、座ったままの姿勢で少しふらついた後……
ゴンッッッ!!
勢いよく机に頭をぶつけたのだ!
「え、ちょ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫だよ、蒼蘭ちゃん。いつもの事だから気にしないで。」
「本当に大丈夫なの!?」
「本当に大丈夫さ、瑠璃海君。驚かせてすまないね。」
「!?」
俺は起き上がる『ティスル師匠』を見た。先程のオタク口調とは打って変わり、如何にも『頼り甲斐のある先輩』といった声色と口調となった。その声は、以前の全校集会でも聞いた事がある。
「もしかして……貴女が『言葉生徒会長』なんですか!?」
「ああ、私が生徒会長の『言葉 字実』だ。先程のティスルは私のもう一人の人格でね。できれば、彼女とも仲良くして欲しい。」
自己紹介を終えた生徒会会長は、絶賛困惑中の転校生に手を差し伸べる。
「では改めまして、よろしくだ、瑠璃海君!」
「あ、あはは……こちらこそ、よろしくお願いします!」
何というか……A組には色々と濃いメンツが揃っているんだな……。