再会
「アルフレッド様。セラ樣。本日はトール様より許可を頂きましたので……。」
「ついにか!?」
父上達が出陣した翌日、ついにセインから許可が出る。
私はこれを待ち望んでいた。
「はい。本日は乗馬訓練です。」
「やった!」
「そんなに嬉しいの?」
セラはそこまで嬉しそうでは無かった。
因みに今日の訓練には母上がついてきており、何事かと思ったが、どうやら心配なのだろう。
「セイン。あまり無茶はさせないでね。私はまだ早いと言ったんたけど……。落馬でもしたらと思うと……。」
「勿論です。今日は慣れさせるくらいで良いかと思っております。」
セインが母上と話しながら進んでいく。
すると、馬が多数飼育されている牧場についた。
「アルフレッド樣。好きな馬をお選び下さい。皆、気性が大人しい馬なのでご安心を。」
牧場の馬は三歳馬ではないのは見てわかった。
現役を引退している位の歳の馬だ。
「……ん?」
その中に若い馬がいた。
どこか気になったのだ。
「あの仔馬は?」
「あぁ、あちらはまだ親離れ出来ていない馬ですね。まだ若いので気性も荒いはずです。親の方は乗れますが、あちらは乗らない方がよろしいかと。」
その話を聞きながらも気になってしまう。
その馬をじっと見つめていると向こうの馬も気付いたようだった。
「お?」
すると、一目散にこちらへ駆け寄ってきた。
柵にぶつかるのでは無いかという程の勢いで、駆け寄って来てこちらに顔を出す。
その行動に見覚えがある気がした。
「……まさか。」
「どうされました?どうやらこの子はアルフレッド様の事を気に入られたようですが。」
私は手を出した。
「アル!噛まれるわよ!」
「大丈夫ですよ。母上。」
手を差し出すとその馬は撫でてくれと言わんばかりに頭を差し出してくる。
そして、撫でてやった。
これは、昔。
そう、アルフレッドとなる前の私があの馬とよくやっていた触れ合いだ。
「……お前、トップコスモスか?」
そう言うとその馬が頷いたように見えた。
そして、尻尾を高く振り、辺りを駆け回ってみせた。
これは馬の喜んでいる仕草だ。
どうやら、本当にそうらしい。
昔から馬の気持ちは何となくわかるのだ。
「アルフレッド様?」
「……セイン。俺はこの馬に乗る。鞍を用意してくれ。大丈夫だ。信じてくれ。」
そんな唐突な発言を許してくれるとは思わないので、信じてくれとしか言えない。
そして、その発言に母上が流石に慌てて止めに入る。
「駄目よ!もっと大人しい子にしなさい!」
「母様。大丈夫よ。」
すると、セラが母上を止めに入る。
「アルが馬に関して大丈夫と言ったら大丈夫なの。」
「……そう?」
母上は何故かセラには甘い。
というか、家族やセイン、フレンまでもがセラには甘いのだ。
理由は分からないが、何かがあるのは分かる。
だが、敢えて詮索はしない。
今は馬だ。
「分かりました。では、お任せしましょう。無理はしないでくださいね。」
「勿論!」
勿論、無理はする。
この体格まで成長したのなら無理は無い筈だ。
久々に馬に乗れるのだ。
それもあのトップコスモスに。
せめて、楽しむとしよう。
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