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決意

 あれから数年経ち、この世界についてそれなりに理解した頃。

 最近はあの不思議な夢は見ていない。

 元の世界で言えば小学校中学年位だろうか。

 今更だが分かったことがある。

 

「はっ!」

 

 世界情勢についても少しずつ理解してきていたが、やはり戦があるのだ。

 つまり、人を殺さねばならない。

 あの予知夢や夢でも薄々感じてはいたが、訓練を始めてからより実感するようになった。

 しかし、私は日本人として戦争は反対だし、人も殺したくは無かった。

 

「さ、アルフレッド様。」

 

 セインが手本を見せ、こちらに木剣を渡してくる。

 子供でも使えるような小さい物だ。

 

「……セイン。やっぱり僕は……。」

「……アルフレッド様。」

 

 私が躊躇うと、セインは膝を付き目線を合わせてくれる。

 セインの教育は優しい物では無かったが、厳しく指導するわけでは無く、同じ目線で話してくれる。

 

「貴方様が心優しきお方だということは分かっております。動物を愛する、命を大事にするお方だと。ですが、もし敵が攻めて来てセラ様や動物達を殺そうとしたら?」

 

 動物達。

 つまりは馬達か。

 セインの言う事は理解出来る。

 だが、どうしても剣を握りたくはなかった。

 

「……あちらをご覧下さい。」

 

 それを見かねたセインが指差す方にはフレンと共に稽古するセラの姿が。

 幼いながらも刀を振り、鍛えている。

 

「セラ様はアルフレッド様を守る為、アルフレッド様の守りたい全てを守る為、鍛えています。ですがもしセラ様がいなかったら?貴方の守りたい物を守れるのは、貴方だけです。」


 実は武術の稽古を本気で取り組まないのには他にも理由があった。

 予知夢の未来は恐らくクーデターか何かだろう。

 ならば、戦から程遠い生活をしておけばあの未来にはたどり着かないはずと思ってのことだ。

 だが、今後の事を考えて木剣を受け取る。

 自衛のため、護身術程度には学んでおいた方が良いからな。

 

「……そうです。守りたい物は自分で守る。お父上もそうされてきたのですよ。」

「最低限。何かを守れるだけの力は身につけておきたい。それだけだ。」

 

 そう言うとセインは笑ってみせた。

 

「それで良いのです。……この後は軍略についてお教え致します。武を極めるだけが守る力ではありません。アルフレッド様はそちらを伸ばすのがよろしいかもしれません。」

「分かった。」

 

 その後はセインと共に訓練に勤しんだ。ここ最近は中々に忙しく自分で調べ物をする時間が作れない。

 先祖返りの呪いについても何もわからないままだ。

 まぁ、セインの教育のお陰で知りたいことは少しずつ知ることが出来ている。

 別に徐々にで良いのだ。

 

「セイン!フレン!」

 

 訓練を続けていると、セイン達を呼ぶ声が聞こえた。

 声のする方を見ると母上がいた。

 

「食事の用意ができたから程々にね!」

「カルラ樣。またご自身で作られたのですか?」

 

 本来は使用人が作るのだが、母上は頑なに作らせない。

 生まれてからというもの母上の手料理しか食べたことが無いのだ。

 

「だって好きなんだもん。別に良いでしょ?」

「しかし、シェフが仕事が無いと嘆いています。程々に……。」

 

 すると、母上は腕を組み、不満をあらわにする。

 父によれば昔は宿酒場の娘だったらしい。

 それの名残だろうか。

 だが、母上もそこまで子供ではない。

 暫く考えると口を開いた。

 

「……まぁ、分かったわ。」

「ありがとうございます。」

「皿洗い位の仕事なら任せてあげても良いわね。」

 

 その言葉にセインもフレンも肩を落とす。

 まぁ、ここまで譲歩してくれただけでも良い方だ。

 母上はかなり頑固な方だから。

 何はともあれ平和な今が幸せに感じる。

 今この時を大事にしたいと強くそう思った。

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