反撃の狼煙
「姫様!」
「アル様!」
その後、フレンとレインが残党軍の救援のお陰で合流した。
後は父上とセインだけだ。
果たして今どこで戦っているのだろうか。
……というかアル様ってなんだ?
はじめて言われたぞ。
……まぁ良いや。
「今、トール殿とセイン殿を救助する為、部隊を散り散りに展開させています。これでますます混乱するでしょうな。それに、敵は全軍が事態を把握していないようで統率が取れていない。」
すると、ジェームズは配下の者に指示を出す。
「これから向こう側の内通者に蜂起するように狼煙を上げます。もう明るくなってきてるので見える頃でしょう。」
「内通者?」
セラの言葉にジェームズは頷いた。
「はい。公国となり、その配下となった後も反抗的な心を持つ領主は多数おりました。その者等と連絡を取りあっているのです。」
「それにしてもあなたが山賊の頭領だったとは……。前回の手強さも納得ですね。」
すると、ふとフレンが口を開いた。
そうか、二人は顔見知りなのか。
「……こちらもお前達がまさか皇帝陛下の娘を守っていたとは思わなかったがな。あと、勘違いするな。我々のリーダーは儂ではない。」
「では、誰なんですか?」
思わず聞いてしまう。
今はそれどころでは無いが、かなりの知恵を持つ人物のはず。
どうしても気になってしまった。
「……儂の娘だ。歳はアルフレッド殿より少し行ってる位だがかなり頭が良い。帝国が滅んだ際、我々は最後まで抗おうとしたが、幼いながらも逃げ延び、潜伏し、再興の時を待つように言ってきたんだ。」
「……凄いですね。」
そうとしか言いようが無い。
もはや天才と言っても良いのでは無いか。
恐らく自分とセインの間位の年齢なのだろう。
「あぁ。儂が一番驚いている。取り敢えず儂はこの事をあいつに伝えてくる。皆はゆっくりしていてくれ。」
「……私も行きましょう。ご挨拶はしておきたいです。アルも来て。」
すると、セラが口を開いた。
立場を明かした以上それ相応の振る舞いはしなければならないしな。
「勿論です、姉上。」
「畏まりました。では、こちらです。」
ジェームズの案内で進んでいく。
この山は坑道のようにトンネルが掘り進められ複雑に入り組んでいる。
が、ジェームズは迷うこと無く進んでいく。
目印のようなものは無かった。
恐らく、完璧に把握しているのだろう。
兵達も同様に違い無い。
「さて、着きました。こちらです。」
扉を開けると、そこには幹部らしき人物が数名と真ん中には腰まで伸びた綺麗な金髪を持つ女性がいた。
幹部の者等は老練である。
「あら、親父様。偵察は……って誰?その人達?」
「こら、シャイン。失礼だぞ。この方は亡き皇帝陛下のご息女であられるぞ。」
その言葉を聞き、シャインと呼ばれた女性はセラに近づき顔をよく見る。
セラは微動だにしない。
堂々と構えているように見えるが、あれは違う。
かなり緊張しているな。
「……ふぅん。あなたが……ね。」
「おい!失礼だぞ!シャイン!」
その様子にジェームズは怒る。
「まぁまぁ、私にとっては皇帝の娘とかどーでも良い事だしね。」
その言葉にジェームズはいよいよブチギレる。
ジェームズはかなりの忠誠心を持っているし、当然だろう。
「シャイン!言って良い事と悪い事があるぞ!謝罪せよ!」
「敬意を払って戦に勝てるならいくらでもしてやるわ。頭を下げて公国を潰せるなら何でもする。私にとって重要なのはその事象が、公国を潰すのに使えるかどうかだけ。」
その言葉を聞き、少し考える。
恐らくこの女性は、シャインは公国によって何かを失ったのだろう。
だから、ここまでの恨みを抱いている。
「ねえ、皇女様。あなたは公国を潰せる?」
「……えぇ。必ずや。」
その返答にシャインは納得の行かない様子だった。
セラを壁まで追い詰め、所謂壁ドンの形になってしまう。
その様子に、いよいよセラは萎縮してしまう。
「……私は潰せるかどうかを聞いているの。頑張るとかやって見せるって言葉は必要ないの。分かる?」
「勝算はあります。」
割って入る。
こういう問答になってはセラは弱い。
ここは自分が適任だろう。
「公国のやり方には不満を抱いているものは多い。皇帝陛下に忠義を尽くそうとした者は未だに多くの不満を抱え、革命に参加した者達も公王アーロンのやり方に納得はしていない。我々が蜂起すれば賛同する者が出て、アーロンを嫌い、帝国も嫌いな者は独立するでしょう。」
「……ふぅん。」
シャインは黙々と聞いている。
「群雄割拠の時代となれば、公国を潰すのは容易です。」
「……君、名前は?」
「アルフレッド・エルドニアと申します。」
答えると、シャインは手を出してきた。
「私はシャイン・ゼニア。君、面白いね。これからもよろしく。」
「ええ、こちらこそ。」
シャインと握手を交わす。
どうやら認めてもらえたようだ。
これで、取敢えずは一安心だな。
後は父上達を助け出さなければ。
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