希望
「姉上!もうすぐです!」
山賊の勢力域までもう少し。
兵達は足止めをするべく散発的に抵抗してもらっている。
つまり、今は自分達のみだ。
「っ!アル!前!」
セラの声で前を見る。
すると、そこには山賊の勢力域に武装した者達がいた。
そして、武器を構えている。
武装が追撃してくる者達とは違う。
恐らく山賊だろう。
だがまだ距離はある。
「姫!」
「フレン!レインもか!」
すると、後方よりフレンとレインの二人がやって来る。
後方の敵を蹴散らし来てくれたようだ。
それに数も少ないが兵達も合流している。
「二人共、山賊と共闘するつもりをしているが、今の所向こうはその気は無いらしい。すまんが、交渉する時間を稼いでくれ。」
「分かりました!」
フレンとレインは互いに兵を引き連れ戻っていく。
あの二人ならば十分な時間を稼いでくれるだろう。
そのまま山賊の元へと駆け寄る。
「止まれ!どういう事情か知らんがこれより先に進めば敵の敵だとしても容赦はしないぞ!」
「待ってくれ!どうか話を聞いてくれ!」
だが、話を聞いてくれる様子は無い。
武器を構え、こちらに敵意を剥き出しにしている。
「待て!武器を下げろ。」
すると、敵の中から一人の男が出てくる。
白髪で、右目に眼帯を付けている。
その風貌から歴戦の猛者だということが感じ取れる。
「お前達、何故追われている?」
「それは……。」
少し考える。
やっと話し合いの場を得られたのだ。
下手を打つわけには行かない。
「我が父は義将トール・エルドニアだ。恐らく新体制に移行した国家で邪魔だったから消されようとしているんだろう。猛将フレン、忠将トマスの息子セインも一緒だ。」
「……つまり、三神将の一味が国から追われているという事か。」
男は暫く考えた。
「……我々は山賊として活動しているが、実はシャムス帝国の残党、帝国の再興を志し公国にゲリラ的抵抗を続けている組織だ。帝国が滅ぶ要因を作った貴様らを助ける筋合いは無いな。」
「帝国の残党?」
その話が本当ならばもしかしたら……。
「待ってくれ。再興の目処はあるのか?皇帝の一族がいないんじゃ再興は不可能だろう?」
「そんな事は百も承知だ。だが、公国に従う事は許されん。ただ奴等に一泡吹かせてやりたいんだ。」
ならば、行ける。
セラの方を見る。
セラも何を言うか分かっているのか頷いてくれた。
「なら、武器を収めろ。」
「……は?」
男は少しキレ気味で反応する。
それもそうだろう。
話を聞いていないのかと思われても仕方が無い。
「ここにいるのは最後の皇帝の娘、セラフィーナ・シャムス様であるぞ!」
そう言うとセラは馬を降りて前へと出る。
兜を取り、その綺麗な銀髪を見せる。
「ま、まさか……。いや、しかしその銀髪、間違い無い……。という事は……三神将は姫を助ける為に……。」
男は驚きつつも考えた後、すぐに味方に指示を出した。
「全軍、出陣せよ!姫をお救いするぞ!我々の最後の希望だ!必ずやお救いせよ!」
「ははっ!」
その号令を聞くと戸惑いつつもすぐさま行動を開始する。
流石はこれまでゲリラ活動を続けていた部隊、展開が早い。
「我々は偵察で訪れていたにすぎない。拠点へ案内する。そして、援軍を編成させよう。」
「ありがとうございます。私はアルフレッドと申します。」
すると、男は思い出したかのように自己紹介を始めた。
「儂はジェームズ。ジェームズ・ザニアという。拠点へ戻ったら詳しく話を聞かせてくれ。」
「ジェームズ、よろしくお願いしますね。」
セラが頭を下げる。
すると、ジェームズは慌てる。
それもそうだろう。
皇帝の娘に頭を下げられたのだから。
「ひ、姫様!よして下さい!そのような事……。」
「いえ、どうかお願いします。父と、私の友人達を助けてぐださい。」
すると、ジェームズは深く頷いた。
「ええ、必ずや。その為にもまずは姫を安全な場所へお連れいたします。さ、こちらへ。」
取り敢えず、窮地は脱せたか。
どうなることかと思ったが何とかなってよかった。
この後、どうなるかは分からないが覚悟は決めておいたほうが良さそうだ。
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