レイナン家
「改めて、俺はクロウ・レイナン。レイナン家の当主だ。」
「こいつは家系を辿れば遠い親戚に当たる。エルドニア王家と婚姻同盟を結んでいたレイナン王家の末裔だ。」
話によると今の公国においてもかなり有力な家らしく、前回は勿論、今回の山賊討伐にも勿論招集された。
「そして、クロウは剣聖トマスの一番弟子だ。つまり、俺の兄弟子に当たる。」
「そして、あと一歩早ければ三神将に入れたのにこいつの先祖のせいで俺は三神将になれなかったんだ!」
その発言を聞き、父は呆れながら反論する。
「お前……それはご先祖様達の問題であって俺達はもう関係無いだろう。それに三神将の役職についても公国は廃止している。今は俺達が勝手に名乗ってるだけだ。」
「だとしてもだ!これは先祖から続く因縁だ!そう簡単に許すわけには行かない!それに……。その先は言わなくても分かるよな!?」
私はセラと顔を見合わせる。
どうやらややこしい因縁のような物があるようだ。
「姉上はご存知でしたか?」
「……いえ、全然。」
セラは首を横に振る。
「にしても……なんか仲良さそうに見えるんだけど。」
「ですね。」
先程から言い合ってはいるものの、それは親友どうしの軽い喧嘩のようである。
本人達は気づいているのだろうか。
先程からたまに相手の意思を汲み取って発言していたりする。
「あの時もお前は!」
「だからあれも仕方が無かっただろ!不可抗力だ!クロウ!あの件もお前が臆病だったからだ!俺のアドバイスを聞いてもっと早く行動していればな……。」
その光景を見て、ふと笑ってしまう。
セラも笑っていた。
「ど、どうした、二人して?」
「いえ、父上のそのような姿初めて見たので。」
「私達といる間もそれくらいで良いのに。お父様ったら変に意地張るから。」
そう言うと、父上は少し恥ずかしそうにする。
それを見てクロウは閃いたかの如く攻めまくる。
「なんだなんだ!?お前、家族の前ではかっこつけてるのか!?初陣で漏らしたくせに!あぁ、そう言えばカルラに会う時に言わないでくれって泣いてたな!!」
「お、お前!なんてこと言うんだ!お前こそ当主につく時の演説噛み噛みだったじやねぇか!」
本当に仲良しに見える。
昔からずっとこの調子なのだろう。
「姉上。私達は失礼しておきますか。」
「そうね。二人だけにしておきましょう。」
そして、二人は私達が去った事に気づかぬまま言い合っているのであった。
「おや?君は……。」
天幕を出ると自分達と同じか少し若い程の少女が立っていた。
どうやら私達が出てくるのを待っていたようだ。
「ち、父が失礼しました!」
そのいきなりの発言にセラも私もポカンとしてしまう。
しかし、その発言と腰まで伸びた燃えるような赤い髪から誰なのかは予想がついた。
「もしかして、クロウ殿の?」
「はい。娘のスミアと申します。」
「か……。」
セラの様子がおかしい。
いや、なんとなくこの後の行動は予測がつく。
「かわいい!」
「えぇ!?」
そして、いきなり抱きつく。
確かにクロウ殿とは違い、お淑やかなその様子はその感想を抱いてもおかしくはない。
が、流石に失礼なので引き剥がす。
「姉上、流石に失礼ですよ。申し訳ありません。スミア殿。では失礼します。」
「ええ〜!もうちょっとだけ〜!」
そのままその場を後にする。
出来るだけ印象付けない方が後々楽だ。
あの様子では父親に大切に育てられたのだろう。
クロウ殿にチクられたら何されるかわからん。
「あ、あの!」
が、呼び止められてしまう。
「お、お名前は……。」
「……私はアルフレッドです。」
「私セラ!よろしくね!」
今度こそ、そのままその場を後にした。
まぁ、何事もないだろうが、何事もないことを祈るのみだ。
……そして、初陣では漏らさないようにしよう。
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