公王 アーロン
「ほう、お前がアルフレッドか。トールから話は聞いているぞ。」
「は。」
父と共に公王へ謁見する。
公王アーロン・セドリック。
最後の皇帝の遠い親戚にあたり、貴族である。
このセドリック家の反乱によりシャムス帝国は滅び、セラの家族は殺され、セインの父親である剣聖トマスも殺された。
白髪だが、年老いていることを感じさせない威厳がある。
「よくぞ参った。体が弱いと聞いていたが、元気そうだな。」
「は。ようやくお目通りかなった事、嬉しく思います。」
父上は出来るだけ私を公王に会わせないように、病弱という設定にしていたとのことだ。
それに、義将の息子が脅威ではないと印象付けたかったというのもあるだろう。
「此度が初陣との事だったな。無理はせず、後方で見ているが良い。戦場が見える最高の場所を用意してやろう。」
「ありがとうございます。」
……少し違和感を感じる。
いや、そんな物か。
「陛下。息子は初陣ということもありますので、私の陣に組み込もうと考えております。」
「うむ、良いのでは無いか?」
その後は父上も軽く挨拶を済ませ、砦を後にした。
帰り道、父上と話す。
「父上……。いえ、何でもありません。」
「どうした?気になることがあるなら言ってみろ。」
杞憂ならば良いのだが、念の為に伝えておくとしよう。
「公王は本当に勝つ気があるのでしょうか。」
「どういう意味だ?」
周りに自分達の部隊以外いないのを確認し、念の為に小声で話す。
「前回、奇襲を受けた事を陛下はご存知なのですよね?」
「あぁ。俺が直接報告した。その時はかなり怒っていたが。」
ならば、やはり違和感がある。
「……では、少しおかしい気がします。」
「どこがだ?」
「先程の陛下の様子、先の奇襲を警戒している様子は無く初陣である私が訪れた事を喜んでいるようでした。それに、布陣する場所もあちらが指定してきました。」
すると、父上も気が付いたようだ。
「まさか……先の奇襲は陛下が仕組んだ物なのか!?」
「あくまで可能性の話です。しかし、君主たるもの不安を表に出さないのは当たり前。もしかしたらただそう振る舞っているだけかもしれません。」
そう言うと、父上は暫く考えた。
「急いでセラ達の所へ帰るぞ。警戒は怠るな。」
「はい!」
すると、レインが目の前からやってくる。
レインは私達が謁見している間はセラの護衛につけていた。
「トール様!アルフレッド様!緊急事態です!」
「どうした!?」
レインはかなり慌てた様子だ。
「クロウ・レイナン様の兵とセラ様の兵が喧嘩を!セラ様とクロウ様も混ざって乱闘騒ぎです!」
「またあいつか!懲りん奴だな!」
クロウ・レイナンという名は何度か聞いたことがある。
が、詳細は知らない。
「クロウ・レイナン殿とは?」
「……俺の昔からの知り合いで……ライバル……らしい。向こうが勝手に言っているだけだが。」
すると、父上は馬を飛ばした。
「急げ!大事になる前に鎮めるぞ!」
「はい!」
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