演習 軍議
「さて、改めて今回の演習の確認を致しましょう。」
セインと共に地図を見る。
戦場は林が至る所にあるが、平野部も多い地形だ。
「まず、我々は領民兵が五百。編成は全て騎馬となっております。アルフレッド様が鍛えた部隊ですね。」
「それに対して姉上の部隊は正規兵が千。編成は全て歩兵か。どう見る?」
セラの部隊は現在平野部に展開している。
セインは暫く考えた後、口を開いた。
「不利ですね。向こうにはフレン殿もついています。我々指導役は演習に口を挟めないとはいえ、総大将の指示で戦う事は出来ます。領民兵では相手にならないでしょう。」
「……お前なら止められるか?」
するとセインは少し笑い、答えた。
「ええ、フレン殿とは暫く戦っていないので、楽しみですね。」
流石は剣聖の息子。
意外と好戦的だな。
「しかし、それでは有力な手駒を一つ失う事になるな。フレンの訓練を受けた姉上は個人の武で言えばかなりの物だ。セインをここで使うのは勿体無い気がするな。」
「そうですね。セラ様は今は三神将に並ばないとしても、私や今のフレン殿と良い勝負をするでしょう。もう少し鍛えれば三神将になれる程の腕前です。」
暫く考える。
やはり、この戦力差には違和感がある。
「……父上は、恐らく武力が足りないお前は頭を使って戦えと、そう言いたいのだろう。ならば、それ相応の策を考えなければ。」
「はい。こちらの長所は騎馬隊の機動力、突破力。それをいかに使うかですね。」
そこで、ふと思いだす。
正直、今の演習には関係のない事だが。
「そういえば、レインはどうしてるんだ?まさか演習には参加していないよな?」
「あぁ、それについてですが……。」
すると、天幕に一人入ってくる。
レインだ。
「レイン!?どうした?」
「此度の演習、若様の陣に入るようにご命令を受けましたので。」
そういうことだったのか。
だが、これで手駒は増えた。
「三神将の方々には遠く及ばずとも、アルフレッド様をお守りすることくらいは容易いです。恐らく、セラ様には敵いませんが……。」
「よく来てくれた!いやぁ!これで大分楽になるぞ!ありがとな!」
そう言いながらレインの手を握る。
「ア、アルフレッド様!?」
レインはというと顔を真っ赤にしている。
恥ずかしいのだろうか。
「アルフレッド様。策はどうするんですか?」
「ん?そうだったな。」
セインの声で元の場所に戻る。
私は地図を再度見る。
レインが一人来てくれただけだが、正直大変助かる。
私が組んでいた策はもう一人、部隊指揮官が必要だったのだ。
「セインさん。ありがとうございます。」
「いえいえ、ですが、アルフレッド様には人の心を読む力もつけさせなくてはなりませんね。……あなたのためにもね。」
何やら二人がこそこそ話をしているが、今は気にしない。
そんな事を気にしている暇は無い。
「よし、あらかた作戦を立てた。聞いてくれ。こういう策で行こうと思う。」
そして、二人に作戦を説明した。
「成る程。これなら……。でも、セインさんが……。」
「いえ、これくらいなら何とかなりますよ。それよりも、アルフレッド様が少々危険な気がするのですが。」
やはり、そう言われるか。
だが、それは予想済みだ。
「いや、従来の戦に則った戦い方では姉上達には勝てん。少々強引かもしれないがこれで行くぞ。」
この作戦で勝てることを今は祈るのみだ。
後は、臨機応変に動くことが肝心だな。
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