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初陣に向けて

「おう、二人共よく来たな。」

「お疲れ様です。父上。」

 

 父の部屋へと招かれた私達二人は軽く汗を流した後に向かった。

 父上の部屋にはセインとフレンが待っており、二人は予め話を聞いたようであった。

 つまり、二人にも関係のある話ということだ。

 

「二人に来てもらったのは他でもない、初陣についてだ。」

「……戦があるのですか?」

 

 父上は頷く。

 

「二年前の山賊が見つかった。上は再度討伐作戦を進めるつもりのようだ。」

「……お父様、今度は大丈夫なの?」

 

 セラの不安も尤もだ。

 あれから何者かに狙われることは無かったが、今度の戦が前回と同じように各領主が集まるようなものならば同じような危険が生じる。

 本来ならば犯人探しをするべきなのだが、あまりに勘繰りすぎてセラの存在が気づかれるわけには行かない。 

 だから未だに犯人は不明なのだ。

 

「あぁ。今回はそれも警戒して、前回の三倍は兵を連れて行くつもりだ。」

「三倍……。」

 

 それだけ連れて行くならば、問題無いだろう。

 ここの兵は精鋭だ。

 予め襲撃があるかもしれないと警戒しておけば大丈夫だろう。

 

「それに、今度はセインとフレンもついてきてもらう。」

「待って下さい!」

 

 すると、セラが声を上げる。

 だが、言いたい事はわかる。

 思いは同じだ。

 

「フレンが前線に出るのは無理があります!」

「私も姉上と同じ思いです。あまり無理をさせるのは……。」

「……お前達の思いは分かっている。俺も同じ気持ちだ。だが、これはフレンの希望だ。」

 

 フレンの方をみると、フレンは静かに頷いた。

 

「問題はありません。私は姫の護衛に徹しますので。それに……。」

 

 フレンが扉の方を見る。

 すると、誰かが入ってくる。

 黒い髪を一つに結い、所謂ポニーテールの形にし、戦装束に身を包んだレインがそこにはいた。


「レイン!?その格好は……。」

「私が、母の代わりに前線で戦います。」

 

 レインがそう口にする。

 が、彼女が戦っている姿など見たことが無い。

 

「ねぇ、レイン?無理はしないでも……。」

「セラ様。私もこのエルドニア家の複雑な事情は把握しております。私も母に鍛えられましたので心配は無用です。」

 

 だが、心配だ。

 いくら猛将のフレンに育てられたと言っても不安だ。

 レインの元に歩み寄り、しっかりと目を見て話す。

 彼女は人見知りというか、自分の意思を主張するのが苦手な女性だ。

 もしかしたら今回も、無理につきあわされているのかもしれない。

 

「……レイン。」

「ひゃ、ひゃい!」

 

 今、返事が変だったような気がしたが……。

 それに目を合わせてくれない。

 心なしか顔も赤い気がする。

 まぁ、別に良いか。

 

「嫌な事は嫌といった方が良いぞ。無理はするな。お前の為になることを第一に考えろ。俺達の為とかそんなのは気にするな。」

「……わ、私は自分の意志で、参加すると決めたので……。」

 

 相変わらず目を合わせてはくれない。

 すると、セラが間に割って入って来た。

 

「はい!そこまで!レインが良いって言うならこの話は終わり!レインは私の陣ね!私が守ってあげるから!それで良し!終わりー!さっさと離れてー!」

「あ、姉上?」

 

 レインと無理やり引き剥がされる。

 急にどうしたのか分からないが、姉上が守ると言ったし、問題は無いだろう。

 フレンもいるしな。

 

「さて、山賊討伐がお前達の初陣となるわけだが、それに備えて模擬戦をしてもらう。」

「模擬戦ですか?先程もやっておりましたが?」

 

 すると、父上は笑ってみせた。

 

「そうだな、今回の模擬戦は演習だ。二人にはそれぞれ部隊を率いて演習を行ってもらう。今からな。」

「い、今からてすか!?」


 急過ぎる。

 が、それに意味があるのだろう。

 何はともあれ、やるしか無いのだろう。

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