帰還
あの後、セラも乗馬訓練をした。
セラも最初こそ中々に手間取っていたものの、すぐに慣れたようだった。
異世界競馬計画も中々順調に案を練れている。
そして、その後日も乗馬訓練も兼ねた技術指導や、その他訓練を重ね、レインとも遊び、数日がたった頃。
父上達が帰還した。
皆が揃って出迎えたが、それは歓喜に満ち溢れた帰還では無かった。
「フレン!」
父上達が城門を過ぎ、後続の荷車にフレンが横たわっていた。
フレンは馬に乗って出陣した筈だ。
それに、フレンは意識が無い様だった。
「セラ。安心しろ。命に別条はない。重傷なのは間違い無いがな。」
私も駆け寄った。
フレンは眠っているようだったが右目には包帯を巻き、血が滲んだ布をかぶって眠っている。
私は布をめくった。
「っ!」
「そんな……。」
私とセラは驚愕した。
フレンの右腕が肩から先、丸ごと無かったのだ。
体中に傷がある。
「父上!一体何が!?」
「……後で話す。レインにはまだ告げるな。流石に酷だ。まずフレンにちゃんとした治療を受けさせる。」
その他に重症者は見当たらない。
とにかく、フレンを医者に見せることが先決だ。
「さて、留守の間ご苦労だったなセイン。」
「ありがとうございます。」
屋敷に戻り、家臣一同が集まる。
家臣と言ってもそんなに数は居ないのだが。
フレンは医者に見てもらっている。
「さて、皆が聞きたがっているであろう、今回の山賊討伐で起こったことを説明する。」
父上はお茶を飲みつつ説明する。
疲れているだろうに、それほど急ぐものなのか。
「まず、山賊の討伐は失敗した。」
場がどよめく。
それもそうだ。
合計一万の軍が負けたというのだ。
驚くのも無理はない。
「敵が拠点としていた山は要塞化されており、多大な被害を生んだ。我々は後方だったから被害は無かったがな。」
ただの山賊の統率力とは思えない。
まさか敗残兵等が山賊にでもなったのだろうか。
「要塞化されていると分かってから、数日使いしっかりと態勢を整え再度攻撃したが、今度はもぬけの殻。奴等に大した被害を与える事無く逃がしてしまった。」
「では、フレン殿の怪我は?」
父上の発言を遮って待ち切れずに質問してしまう。
だが、誰も咎めることは無い。
皆気になっていたのだ。
あの猛将フレンが重傷を負ったのだ。
気にならない訳が無い。
「……帰還途中、我等の隊が急襲を受けた。その殿をフレン一人が務めたのだ。」
「山賊が撤退する部隊を急襲……。」
討伐対象とされている山賊が撤退する部隊をわざわざ襲うだろうか。
もう逃げられるのにわざわざ喧嘩を売る理由がわからない。
思わず口に出してしまった。
「そこは俺も違和感を感じているんだが、分からん。因みに敵は全て死んだ。五十近くいたが全てフレンが討ち取ったようだ。」
「……トール様。それについて報告が……。」
声のする方を見ると、フレンがいた。
医者に支えられながらだが、しっかりと立てている。
「フレン!休んでなきゃ駄目でしょ!」
セラが慌ててフレンを支えに走っていく。
「申し訳ありません。ですが、これだけは伝えなくてはなりません。」
「……聞かせろ。」
父上は食いつき気味に聞く。
「先の急襲、山賊ではありません。友軍の何者かの可能性が高いです。」
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