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慟哭『二十二世紀の猿蟹合戦』

作者: きょうかちゃん

西暦二千六十年、人工知能が搭載されているロボットが実用化され、過去、人間がやっていた労働のほとんどをロボットが担うようになっていた。


ガッシャ―ン!柿がたわわに実る果樹園に大きな音が響き渡った。人工知能制御の全自動柿取り機モンキッキ三号に収穫作業を任せて、事務仕事していた果樹園の経営者、猿のエテ吉が慌てて音がしたほうに向かうと、一匹の蟹が倒れているではないか。近寄って確認すると甲羅が割れ大量の泡を吹いて死んでいることは明らかだった。


もしやモンキッキ三号が何かしでかしたのではないか、心配になったエテ吉はモンキッキ三号に残された行動ログをチェックしてみると、果樹園の脇を通りかかった蟹に熟していない硬い柿を投げつけていた。ご先祖様が抗争を繰り広げていた蟹であるとはいえ抗争は何年も前に終結しており、エテ吉自身、蟹に対する悪感情は持っていない、しかし、この蟹殺しが明るみになっては猿と蟹の関係が悪化してしまうだろう。


困ったエテ吉はすぐさまメーカーに連絡を取り、蟹を殺したモンキッキ三号を調べさせた。メーカーから派遣された技術者が欠陥なし、そして営業マンがこう話し始めた。


「欠陥はありませんでしたから事故ということで処理させていただきます。自動運転の機械が起こした事故ですからお客様が刑事責任を問われることはありませんよ、民事責任については、弊社が適切に対応しますので、ご心配なく!」


営業マンの話を聞いてほっと胸をなでおろす一方で、蟹一匹の尊い命が失われて誰も刑事責任を問われない事実に愕然としたエテ吉であった。もし、あなたがエテ吉だったらどうするだろうか、自分の持ち物が他者を傷つけても、なんら刑事責任を問われない社会、刑事責任を問われる以上に大きな罪の意識を抱えながら生きていくことになるのではないだろうか、

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