白
辺りは白い。
白い空虚な世界。
色が無いみたいだ、もしくは色が見えないのかもしれない。
空がある。ゆったりと白い雲が流れていく。
時は進んでいるようだ。
何も無い、白い世界は動き続けている。
その中心で僕は今生きている。
その中心に立っている。
先が見えない日々は黒く、何も見えない。
その日々の先に何かがいる。暗くて見えないけど。
その「何か」は問う。
何がしたいか?どんな夢があるか?どんなものが好きか?大事なものは何か?大切にしなければいけないものは何か?楽しいか?幸せか?、と。
僕は答える。
わからない、と。
白い世界に僕は立っている。
だが見えるものはどれも黒く、1歩先も見えない。
どうしてなんだろうと考える気力さえ湧かない。
大事なものは簡単に手放せてしまう。それが本当に大事なものなのかと考えたらきっとそうでは無い。
決して楽しい訳では無い。かと言ってつまらない訳でもない。幸せという訳でもない、しかし不幸せでもない。
平凡なんだ。この日々が平凡過ぎて何も見えなくなってしまった。
胸に手をあてた。
少し前ここに居た人はどこへ行ったんだろう。
ここじゃない、どこか遠くへ行ってしまったのだろうか。
何故戻ってきてくれないのか、嫌いになってしまったのだろうか。わからない。
涙を流した。
何故出てきたのかはわからない。
ただ、心の奥底に怒りがあるような気がした。
きっと誰に対してもない、自分自身への怒りなのだろう。
涙は止まらなかった。
白い世界は続く。黒い辺りは変わらない。
きっと自分以外には色がある。
その世界には「楽しい」も「幸せ」もあるのかもしれない。
この意味もわからない世界から出られない憎しみが、絶えず続く僕の毎日だ。