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表紙 作:ありま氷炎 様

挿絵(By みてみん)

 スポットライトがステージを照らしている。マイク越しに歌うボーカル。その両側で弾いているギターとベース。そして奥の方にドラム。


 彼らはステージの天井に設置されたスポットライトに、煌々と照らされていた。


 一方で、ステージの向かいには生徒たちが整列していた。少しずつ列を乱しながら、ステージにいるバンドに歓声を挙げている。


「ちょっと瑠璃、揺れてるんですけどー?」


 薄暗いステージ袖にて、女性が私に言った。私の名前は瑠璃(るり)。そして私に言った彼女の名前は沙織(さおり)


 私は両手両足を床に付け、馬のような状態になっていた。そんな私の背中に、沙織は座っていた。非力である私が彼女の体重を支えるのは容易ではない。仕方なく震えてしまう私に、沙織は叱ったのだった。


「ははは。沙織、鬼畜ぅー」


 そばにいた沙織の取り巻きが、笑うように言った。この二人が、常日頃から私をいじめている。本当は三人であったが、事故によって亡くなってしまった。去年頃のことだ。


 そんな悲しい出来事があったにも関わらず、この二人は相も変わらずに私をいじめていた。本当に、クズな奴らだったのだ。


 いや、クズなのはこの二人だけではない。去年、亡くなった生徒はもう一人いる。その生徒は、校舎の屋上から転落死した。警察によると、自殺であった。


 去年は二人も生徒が亡くなった。はっきり言って異常である。にも関わらずに文化祭を開催している。よく、こんなにもワイワイと騒げているものだ。二人も生徒が亡くなっているというのに。


「ありがとーぅ!」


 ステージから声が響く。ヴォーカルの声だ。演奏も止んだ。すると生徒たちから盛大な拍手と歓声が響く。それを一身に浴びながら、バンドの方々が撤退していく。


「すいません、次のバンドの方々の準備がまだ出来ていないそうです」


 恐らく文化祭スタッフの生徒が、沙織に報告した。


「えぇー。ふざけんなよなー。繋ぎどうしよー」


 沙織はその報告を聞いて愚痴る。彼女はこれでも、文化祭実行委員の一人で、この前夜祭の司会進行を務めていた。


「あ、そうだ」


 沙織は私を見て、ニヤリと口を歪ませる。


「あんたさー、ちょっと5分くらい繋いできてよ」


 沙織はそう言いながら、私から降りた。そして無理やり私を立たせる。


「ええ、嫌よそんなの」


 私は思わず拒否した。すると沙織は、私の胸倉を掴む。そして顔を思い切り寄せた。


「ねえ、私の言うことが聞けないの」


 低い、冷徹な声だった。私は恐怖のあまり、押し黙ってしまう。


「あの動画、晒しちゃうよ」


 沙織の言う動画とは、私を無理やり辱しめた内容のものだった。あんなものが晒されてしまったら、私は本当に終わってしまう。だからこそ、彼女に服従するしかないのだった。


「そうだ。きらきら星なら歌えるじゃない。あんた上手いでしょ。それでも歌ってきなさいよ。あ、伴奏も付けられるかも。ねぇー、ちょっとー!」


 沙織はすぐに伴奏になるギターとベースの人員を確保した。そりゃあ、先ほどまでバンドの演奏をしていた二人なら、きらきら星くらい弾けるだろう。


「あはは。沙織マジ鬼畜なんですけど!」


 取り巻きが爆笑している。私はもう、ステージに立ってきらきら星を歌うしかなさそうだ。


 高校生にもなって、まるで幼稚園のお遊戯のように、歌うしかないらしい。

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