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第4話 再び元カノが会いに来たけど、もう振り回されることは無い。

「細川君!」

「……どうしてまた来たんだ?」

「そりゃ……細川君に会いたくなったからに決まってるじゃない。それに、ほら、親の仕事の付き合いもあるでしょ。何か聞いてる?」



 そういえば。

 俺は、父親に言われたことを思い出した。


 昨日の夜——。



「光。最近、五木(いつき)さんところの娘さんとは仲良くしているのか?」

「えーと……うーん、最近はあまり……」



 俺は、別れたことを言い出せないでいた。



「そうか。まあ、光は気にしなくていいんだが……あまり関係が良くなくてな。それに、ちょっと気になる会社とも取引してるようでな……うーん、いや、この件は忘れてくれ」

「なんだよ。気になるんだけど」

「ま、余計なお世話だからな……すまん。聞かなかったことにしておいてくれ」



 これが昨日父と話した内容だ。

 忘れてくれって事は、最終的に父は何も言う必要はないと判断したのだろう。



「俺からは特に言うことは無いよ」

「え? 何も聞いてないの?」

「うん」



 俺から情報を聞き出そうとしてるのか?

 明らかに動揺する絵里。



「そ、そう……。それはそうと、今日はさ、あたしが癒やしてあげるから……」



 絵里は俺に腕を絡ませ、誘惑するように言った。

 前回よりも甘えてくるような気がする。

 しかし、俺は躊躇なく絵里を振り払う。



「ごめん」

「えっ? まさか帰れって言わないよね?」

「絵里の高校の噂さがうちの高校にも流れてきててな。バスケ部の後輩通じて聞いたんだが……」



 絵里の今彼……角田のこと。

 噂は本当だろうか?



「絵里、俺なんか構わずに角田ってやつと仲良くしていればいいんじゃないの?」

「え、なんで……知って……」

「やっぱり噂は正しいのか。もしかして駅で女子に声かけてる奴らと繋がってるのか?」

「そんな怖い顔しないでよ……確かに、角田はバスケ部のキャプテンだったけど……そういうことはしてないと思う……もうその話はやめよ?」



 俺の口調がかわったことに気付いたのか、急に話を終わらす絵里。

 絵里を奪っておきながら、偶然とは言え間接的に小百合にも手を出そうとしていたのか?

 まあ、半分は八つ当たりかも知れないが、腹が立って仕方がない。



「俺もその話はもう聞きたくないな」



 俺は改めて小百合を守ろうと決意する。


 そもそも俺はまだ絵里に未練があるのだろうか?

 考えてみたものの……何も感じない。

 別に絵里がいなくても、会えなくなってもどうでもいいような気さえしてくる。


 ふと我に戻ると、考え込む俺の下半身を絵里が触ろうとしていた。

 俺はさっと反射的にかわす。

 絵里に——いや、好きでもない女性に触られたくない。



「ねえ、今日はいったいどうしたの? 家に上がりたいんだけど」

「ごめん、今日は帰ってくれ。さっきも言ったけど疲れててそんな気分じゃない」



 俺はそれだけを伝えて家の中に入ろうとした。



「そんな……どうして? もしかして恋人でもできた?」

「いや、そういうわけじゃないが、気分じゃないって言っているだろ?」



 俺は少し強めに言った。

 そんな言葉が返ってくると絵里は、思っていなかったようだ。



「ひっ……」

「まあ、そういうわけだから、今日は帰って」

「うぅ……またいつでも……会いたくなったら連絡していいわよ」

「必要ならまたこっちから連絡する」

「うん、待ってる」



 もっとも、俺から連絡することはもう無いだろうけどな。

 俺は脳裏にちらつく小百合のことを考えながら、しょぼくれ、肩を落として帰る絵里を見送った。

 



お読みいただきありがとうございます。

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