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2050年 第一次魔法戦争  作者: 望月陽介
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第5話 異変

「行くぞっ」

大きな翼を両手で持ち上げる。彼の背には黒い羽が生えている。下から見ると、大きな体験をくわえたカラスが突撃してくるように錯覚する。

 俺は拳を固める。

「俺も力を貸すぜ」

「そんなことできるのか?」

サイは、消える。すると、俺の拳がクリスタルのように大きく、より硬くなる。

「これが俺の特性、マジックチェインだ」

特性?

「一度使うと、魔力を解除するまではもう使えない。この一撃で決めろ!」

どこからか声がする。俺の拳からだ。拳にサイが宿っている。

 クロウは、浮いているし、空も飛べる。あれも特性か?

 気が付くと、もうクロウは近い。重力の加速が乗ったその破壊的な攻撃が来る。

「オープン・ザ・ダーク」

俺は跳躍する。俺の拳と大剣が交わる。中指と薬指の間の部分に剣が引っかかる。

「お前にこの技は止められない」

泣いてるのか?

「家族を失った辛さ。突然のお別れ。お前にこの苦しみはわかんねえだろう?!」

腕の骨が折れそうだ。

「人のことを悪人扱いしやがって。俺はな、魔族の味方をするのはあいつらに賛同してるからじゃないんだよ」

レイヤ!おいレイヤ!

「利害が一致しているだけなんだよ。お前らみたいに適当に未来を決めてねえんだよ」

適当……。

「じゃあな。」

悪い、もうダメだ。というサイの声。

 手のクリスタルが割れる。俺のただの拳があらわになる。

 手は切れない。見えない魔装があるから。

 俺は、ぶん殴る。お前を。





 昼休みになる。俺は自室に入り、ベッドに寝転がる。

 たった一回、白刃取りして、木刀を振っただけなのに疲れていた。自分の部屋に似ている屋上の模様を見つめていると変な気分になる。この部屋は何の変哲もない、この模様も何もおかしくないのに、今の俺は政府の指示で訓練をしている。学校も行かず、故郷から離れた場所で。

 日差しが強い。ただの秋の一日。まだ暑いし紅葉も始まらない。ただの一日が俺にはひどく長く感じる。やはり初めてのことというのは、疲れるのだろうか。

 バッグの中のスマホを起動する。不在着信アリ1件。電話の主は弟だった。今日は学校だと思われたが、11時に着信がある。かけなおしてみる。

「どうしたの、ソラ。」

「あ、大丈夫?大変じゃない?」

三つ下の弟は今日も元気だ。

「大丈夫だよ。あれ、学校は?」

思い出したように言う。

「今日休み。振替休日」

あーなるほど。

「レイくん、テレビ見てる?」

テレビ?この部屋にはテレビがある。しかし、昨日は到着早々寝てしまったし、今日も見る暇はなかった。

「見てないけど」

「なんか、変な番組ばっかりやってる」

変な番組?

「まずね、魔獣対戦なんとかってアニメと、森にすむ謎の生物を探せとか。」

「魔獣?森にすむ生物って妖精のこと?」

「分かんない。ニュースでも、その生き物が人間を攻撃した、とか。専門家を呼んで議論している番組とか。」

まあ、未知の生物が人間を攻撃したのは紛れもない衝撃だ。それを踏まえ、メディアが騒いでいるのも自然といえば、自然だ。

「一番変なのがね、戦隊ものやヒーローもののアニメが全部終わったこと。急にだよ」

なんだって?

 日本には、昔からそういうアニメが放送を続けている。それが急に終わっただと?何か放送しているとまずいことでもあるのか。

 そういった報道規制が多ければ多いほど、俺は政府や偉い人が裏で暗躍しているとしか思えないし、俺達が知らない何かを知っているのではないかと言う疑念がわく。そもそも、そのアニメのファンは何も思わないのだろうか。

俺は急いでパソコンを起動し、『ヒーローアニメ』と検索する。出てきたたくさんの文字を読む。「ヒーローアニメが突然休止?理由を徹底考察」「ヒーローアニメの代わりの番組、案外面白くね?」「ヒーローアニメのファンの問い合わせ相次ぐ」「アニメよりも放送しなければいけないと思った。放送関係者」などが出てきた。

「もしかして、その時間にやっている番組が、そのドキュメントとか?」

「そう、全部。妖精とかについての番組」

俺の中で、疑念という風船がどんどん大きくなっていく。そもそも、なぜ日本の高校生が訓練なんかに呼び出されるのだ。法律や憲法はどうなるんだ。

 俺は、大きな何かの存在を、感じていた。国や、世界のバランスを変えられる何かを。日常に存在し、息をひそめつつも世界をコントロールするなにかのような。都市伝説のような……。

 とりあえず、訓練の後が、より楽しみになった。



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