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6章 6話 特殊任務

 いよいよ当日となった日曜日の朝。

 近所のスーパーの開店を待って、食材の買い出しに行くことになっている。

 料理を担当する美志緒先輩の食材選びに、俺は荷物持ちとして同行するのだ。

 俺達が出ている間に、桃音さんと伊織が飾り付けを進めるという手筈だ。


 美志緒先輩を迎えに行くために外に出る。

 迎えに行くと言っても、隣の部屋なんだけど。

 ドアに鍵をかけていると、カレンとばったり会った。

 なんというタイミングの悪さ。


「猛丸、どこか行くの?」

「これからちょっと用事があるんだ」

「そうなんだ。私もついていっていい?」

「いや、カレンの知らないやつもいるし」

「私全然気にしないよ」


 食い下がるカレン。

 そうだよな、カレンはそう言うよな。

 どう言い逃れようか考えていると、カレンが眉を潜めた。


「昨日のこととは別に、何か隠してる?」

「いやいや、何も隠してないって。いい加減信じてくれよ」


 また押し問答が始まりそうになったとき、アパートの階段の方から火々野が現れた。


「神城センパイ、あたしと出かけようぜ」

「響と? どこに?」

「近所の公園だよ。オモチが遊びに来るんだって」

「オモチが? 行きたい!」


 火々野の誘いに、カレンは歓喜する。


「オモチどうなってるかな? もしかしたらすごく大きくなってるかもよ」


 両手を大きく広げるジェスチャーで表現するカレンに、火々野は呆れ顔だ。


「そんなわけねーだろ」

「もし、そうなってたら、オモチに乗って散歩しようね」


 楽しそうに話すカレンにつられ、火々野も笑みを零す。


「先にアパート前で待っててよ。あたしも準備して行くから」

「うん、分かった」


 カレンは階段へと駆けていった。


「助かったよ」


 火々野に礼を言うと、


「百瀬センパイが手を回してくれたんだ」

「桃音さんが?」

「あの人、オモチの飼い主さんに連絡取ったんだ。こっちの方に散歩に来て、あたしと神城センパイと遊ばないかって言ったんだって。神城センパイをオモチと遊ばせれば、歓迎会の準備をしやすいだろうって」


 桃音さんの言っていた特殊任務とは、このことだったのか。

 確かに、火々野が適任だな。


「カレンはオモチと遊べて、ラッキーだったな」

「いや、歓迎会のこと抜きにしても、オモチと遊ぶときは神城センパイも誘おうと思ってたぜ」

「そうなのか?」


 火々野は頬をかきながら、少し照れくさそうに言う。


「神城センパイの魔法がなかったら、ここまでオモチと仲良くなれてなかったと思うし。オモチを喋れるようにしたときは、突然でびっくりしたけど、なんだかんだで楽しかったしな」


 火々野にとってオモチのことは、悲しい思い出になったかも知れないと心配していた。

 オモチにもよろしく言われてるし、何かあったら側にいなければと考えていたが、火々野は俺達が思っている以上に強いようだ。


「神城センパイが待ってるし、そろそろ行くわ。疑われたら、意味ねーし」


 火々野はそう言い残し、アパート前へと急いだ。

ラノベを書き始めたきっかけは、自分も人を感動させる小説を書きたい、と思ったからだったな。

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