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学校と僕。  作者: 奏良
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「・・・」

葬式から数日後、僕は無言で荷物をまとめていた。

おじさんに頼んで、妹とは別の町に引っ越すことになった。

お互いの町を行き来するのに、車で一時間半かかる。

おじさんは、困ったときには連絡しろ、といっていたが、僕に嫌気が差しているのは見え見えだった。

きっと、もうおじさんと話すこともないと思う。

引越し屋さんが次々と僕の荷物を運んでいく。

この家は売り払われ、二度と帰ってくることはないだろう。

僕はそんなことを思いながら廊下を歩いていた。

その時、妹と・・・泰葉とすれ違った。

その冷たい顔の泰葉が言い放った言葉が、僕は今でも忘れられない。


「・・・人殺し」


僕ははっとして妹を見た。

妹は僕のほうを見向きもせず、自分の部屋に進んでいった。

・・・

僕は何も言えず、立ちすくんでいた。

仲直りなんて・・・できっこない・・・

僕は本当にそう思った。


荷物は引越しやさんに任せ、僕は一人電車に乗っていた。

制服の子達が楽しそうに笑っている。

僕はおじさんとの約束を思い出し、憂鬱になった。

「必ず学校に通う」

それが一人で暮らす条件だった。

後、年に一度民生委員さんが様子を見に来るらしいが、僕には「学校に通う」という条件のほうがつらかった。

まだ、僕は自分がどうしたいのか、どうなのか、全く分からないでいる。

こんな僕が学校に通ってもいいのだろうか?

だが、おじさんとの約束は絶対だ。いくら憂鬱でも通わなくてはいけない。

僕はそう思って自分のひざの上のリュックをぎゅっと力強く握り締めた。

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