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「じゃあ、私こっちだから」
「あぁ」
みんな、銘々の帰り道を進んで行き、僕は最後の一人である中田と交差点で分かれた。
「・・・?」
アパートの前に、人がいる。
泰葉かと思ったら、違った。
「佐崎・・・どうしたんだ?」
「あ、瀬斗!」
佐崎は笑顔で僕に手を振る。
「どうしたんだよ・・・アパートの前で・・・」
「今日、瀬斗の部屋行ってもいい?」
「あ・・・あぁ・・・」
いつもなら、そんなこと聞かないで、急に部屋に押しかけてくるのに・・・。
せっかく、元の佐崎に戻ったかなと思ったら・・・
また上の空?
そう思って佐崎を見ると、ルンルンとした様子で目を輝かせている。
・・・佐崎だ。
僕の視線に気づいた佐崎がにかっと笑う。
やっぱり・・・佐崎だ。
「どうしたんだ?いつもなら、急に押しかけてくるのに・・・」
「ちょっとね、瀬斗に報告」
「・・・?」
佐崎は僕のベットに座っている。
「僕、父さんと会うことにした」
「え?」
確か、佐崎の家は早くに両親が離婚している。
それで、父親って・・・。
「母さんが、急に言い出したんだ。一度だけならって」
「・・・」
「でも、なんだか、会うのが怖くて。今更行って、殴られたりしたらどうしようって思った」
佐崎は僕を見る。
「だけどね、瀬斗が言ってたじゃん。親は子供を信じるものだって。信じなきゃいけない。だから、子供の僕らも、親を信じなきゃいけないと思った。だから、僕は父さんを信じて、会いに行く」
僕は、佐崎の視線を真正面から受けた。
そう。僕も両親を信じていればよかった。
今更だけど、もう遅いけれど、僕は父さんと母さんを信じてあげなきゃいけなかったんだね。
ごめんなさい。
佐崎の姿に、両親が重なる。
ごめんなさい。
「だから、瀬斗には報告しなきゃと思って」
「何で僕に・・・?」
「だって、瀬斗も全部話してくれただろ?」
「そっか・・・そうだな!それは言ってくれなきゃフェアじゃないな」
「フェアって何だよ〜、まじめに話してんのに〜」
「ゴメンゴメン」
僕らは笑いあった。
佐崎の笑顔が、僕を元気にした。
佐崎、
ありがとう。
僕を信じてくれて、
ありがとう。




