木神 奈紀
教室に入ると俺の机に座ってる奴がいたので俺はそいつに無言でチョップをお見舞いした。
「痛えな何すんだよ! せっかく人が黄昏てたのによ!」
「そういうのは他所でやれ! ここ俺の机!」
こいつは平崎 周平。俺と下の名前が漢字まで一緒だったからなんだか仲良くなった。ちなみに俺の名前は葉木 周平。よく苗字がダサいとか変とか言われる。気にしないけど自然と涙が出てくる。
「ああ、写美 姫華と友達になれたら幸せなのに…」
「何やってんの?」
「お前の真似」
もう1発チョップをお見舞してやる。すると頭を手で抑えて泣き出した。
「弱っ!!」
こいつは泣き虫なのだ。高校生にもなって。
「また周平が周平を泣かせてる」
そんな俺達の会話に1人の女子が入ってきた。俺らの話によく割って入ってくる木神 奈紀だ。苗字が木神で写美 姫華が有名になってから髪の長さが彼女と同じくらいなのでキッカとかよばれたりする。他には奈紀とか。背中まで伸びる髪は黒く染めた姫華のように美しい。
「こいつが悪いぞ7割」
「3割悪いなら3割謝りなさいよ」
「わりぃ」
仲がいい女子NO.1だがこれといって特別な感情が芽生えてるわけでもない。
「そういえばさ」
俺はスマホを取り出し写美 姫華からのDMを二人に見せた。
「すごくない?」
ドヤ顔で言うと2人は笑った。
「どうせ偽垢だろ?嘘乙だよ」
周平が馬鹿にするから俺は姫華のフォロワーの数を見せた。すると、周平は本物かよと言わんばかりの表情を見せた。一方、奈紀の目はなぜか輝いていた。
やはり写美 姫華は皆の憧れである。見た人の目を輝かせるのだ。いつ見ても可愛い。
「お前もがんばれよ髪質は姫華様と張ってる」
「ありがたいけど髪質だけ?ねえ?」
俺はこういう脅しには屈しないと決めている。
「うん」
俺の即答に反応した皆のアイドルである奈紀様の腹パンが飛んできた。
「女子でも腹パンはダメだろ…」
やはり女子の腹パンでも入れば痛い。そんな俺を見て周平が言った。
「周平どんまい。皆のアイドルである奈紀様にひどいことを言いやがる」
そんな周平は全力で嘘をついていますと言わんばかりの大量の汗をかいていた。
2秒後平崎の周平は金的をくらってその日を保健室で過ごした。なので放課後俺は保健室に周平を迎えに行った。
そんな帰り道。死にそうな顔で周平が言ってきた。
「そこの公園寄っていい?」
「大便か?」
きっと大便だろう。
「いや熊狩ってくる」
「漏れる前に行ってこい」
「だから森に住む凶悪な狼を…ちょっと聞いてけよ!」
俺は無視して公園のベンチに向かおうとして足を止めた。どうやら先客がいた。
そこに座る背中まで伸びる美しい黒髪の持ち主は今日周平コンビを殺そうとした殺人未遂で指名手配中の私服姿の奈紀様だ。
「何やってんだあの殺人未遂鬼」
木の裏に隠れ様子を見てみると、自撮りしているのがわかった。
自撮りを終えると次はスマホとにらめっこをしだした。そこで周平が帰ってきた。
「何やってんだ葉木の周平。お前は不審者か?周平の名を汚すな」
「いや待て俺はどちらかといえば探偵だ。あそこで殺人未遂鬼が証拠隠滅を図ろうと…」
「あれみんなのアイドル奈紀じゃん。私服ってことは一回家に帰ってまた来たのか。変なやつ」
それから一時影で見ていると奈紀は立ち上がった。それと同時に俺のスマホにミーサの通知が来た。
写美 姫華が画像を投稿しました。
スマホにはそう表示されていた。
「姫華の投稿きたぞ!」
俺は写美 姫華が投稿すると通知が来るように設定している。もちろんすぐに見るためだ。
そして写真を見た俺は驚いた。奈紀私服が姫華の私服と同じなのだ。姫華にピントがあっているためか背景はちょっとぼやけているが、場所はここの公園であることは間違いない。ただあいつは金髪じゃない。しかも顔も違う。
すると周平が隣でつぶやいた。
「あれは加工か?SNS女王って加工もありなのか?」
「いいからあいつ追うぞ!」
俺は周平の手を引き奈紀を追いかけた。
あ、ちなみにホモじゃないからね! 手を引きっていうのは表現の一種で…
最後のはギャグを追い求めるあまり取ってしまった最悪な行為なのでまねしないように