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予選

 武闘大会予選当日となった。

 待っていたぞこの日を! といってもニュースがあってから一週間後なのでそんなにまっていないが。

 本戦の出場人数は16人。予選は六回戦わなければならない。

 単純に考えて1000人以上が出場していることになる。

 シードなどもあるだろうが俺は六回だ。

 全部蹴散らすがな。

 ルールは一対一のアイテム無し。

 時間は五分だ。

 場外かHPが0になると負けになる。

 他にも色々ルールがあったが見ていない。

 まぁ、基本だけ収めていればいいだろう。

 開始時間になるまで、街をぶらぶらする。

 特に面白いものは見れなかった。

 強いて言えばパジャマ姿のキャラクターがいたことぐらいだろうか。

 枕を背負っていたが、まさかあれで戦うのか?

 

「早いがそろそろ向かうか」


 闘技場につくとそこは人でごった返していた。

 俺が近づくとみんながススッと離れていく。

 強者のオーラを皆感じ取っているのだろう。

 「うわぁ、痛い奴だ」とか「いい子は見てはいけません!」とか「ザ・厨二だ……」なんて声が聞こえる気もするが気のせいに違いない。

 ここにいる奴らは開始前まで仲のいい奴らと話したり、仲間同士で賭け事をしている奴らだ。待機室には一人でしか入れない。なので外で話し合ってるのだろう。

 一対一だからな。当然だ。

 待機室は別個の空間になっていて、入り口は一つだが入れば一人の空間だ。

 待機室は五つあって、列になっていたので俺はその中の一つに並ぶ。

 1000人以上いるからな、列になるのも分かる。

 早めに来てよかったな。ギリギリに来て待機室に入れず時間遅れで負けになるやつもいるだろう。

 俺は待機室内ではWIKIを読んで時間がくるのを待っていた。

 ぴこーんと音が鳴る。


『試合十分前です』


 ぴこーんと音が鳴る。

 

『試合五分前です』


 待機室にいれば時間になった時自動的に予選の相手とマッチングする。

 予選は観客などはいない。

 コロシアムで一対一だ。

 時間になった。その瞬間俺はコロシアム内にワープした。

 周りはコロシアム、目の前には一人の男。

 生産職だろうか、クワを背負っている。

 麦藁帽子もかぶっているし、農民という感じだ。


「ザ・厨二ですやん、ワロタ」

 

 などと呟いている。

 俺は


「戦闘力たったの5か。雑魚が」


 と言っておいた。

 

『試合を始めます。

 3、2、1、スタート!』

 

 その瞬間に決着は付いた。 

 時間にして0.7秒。

 ホルダーから銃を抜き、撃つ。

 それだけだ。

 眼球に命中し、農民のHPが砕け散った。


『試合終了!

 勝者、ガンマ』


「ふっ」


「何が起こったか分からねぇ、ワロタ」

 

 次の瞬間には待機室に戻っていた。

 呆気なかったな。実に呆気なかった。

 だが、こんなものか。

 所詮は予選一回戦の相手という事だろう。

 五分後次の戦いがやって来た。

 相手は釣りざおを背負っている。

 漁師? いや釣り師か。

 たぶん釣り竿で相手を引っ掛けたりして、攻撃するんだろう。


『試合終了!

 勝者、ガンマ』


 まぁ、一発で終わったけどな。

 農民と同じだ。

 次の相手は普通の剣士だった。

 何やら俺を見て


「銃使ってる奴っていたのか」


 なんて言っていた。

 珍しかったんだろう。

 最初に訓練所で二人の銃使いに会って以降は一回も銃使いに会っていない。

 強いて言えば教官ぐらいだ。

 さて普通の剣士だが、普通に一発で終わった。

 

「は?」


 と呟いていたので


「それが貴様の実力という事だ」


 と返しておいた。

 四戦目は魔法使いの女が相手だった。

 ちっこい相手だったが、別にどうってことはない。

 魔法の詠唱が終わる前に片づけた。

 こいつも一撃だ。

 五回戦の相手は弓使いだった。

 弓は最初から矢が装填されているわけではないので、必然的に俺に軍配が上がる。

 最初から弓が装填されていても、負ける気はしないがな。

 一撃で終わらせたし。

 最後の六人目はパジャマをきた男だった。

 枕を背負っている。まさか街中で見かけたこいつが相手とは。


「ザ・厨二だ……」


 と言っていたので、


「その姿に相応しく、眠らせてやろう。永遠にな」


 と言っておいた。我ながらかっこいいセリフだ。

 決着は一秒未満で付いた。

 いつものパターンだ。

 一撃必殺。

 眼球に撃って終わり。

 

「つよすぎぃ!」


「眠れ、永遠に……」


 こうして俺の予選は終わった。

 本戦は明日だ。

 今日は英気を養うという事で終わりにしよう。

 そう思って闘技場の待機室から出る。

 そこは人で溢れまくっていた。

 出口が人の山でふさがってやがる。

 闘技場の中ではログアウトが出来ない。

 とりあえず外にでるか。


「悪いが、通してもらおう」


 俺が通ろうとすると必然的に道があく。これが俺の強者の力だよ。

 だが俺の前を塞ぐ影があった。

 

「ちょっとまったー!」

 

 何故かマイクを持った小柄な女だ。

 そういや予選で当たった魔法使いがこんな顔だった気がする。


「私、パパラッチっていいます! ザ・厨二さんですよね! インタビューさせてくれませんか?」


 パパラッチは確かカメラマンとかそんな意味だったか。

 というかザ・厨二って今日何回か言われたな。


「別にいいが、俺はザ・厨二などという名前ではない。ガンマだ」


 これも強者の定めか。悪い気はしない。


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