魔女の館
ここか、いかにもな店だな。その店は裏路地の入りくねった先にあった。
木製の扉に魔女の館と書いてある。
中に入ると、暗く、ろうそくの光だけが中を照らしていた。
「ようこそ、いらっしゃいませ」
出迎えてくれたのはNPCの売り子だった。
どうやらこの店の主はNPCに任せているか、出かけていてNPCに任せている様だな。どうせなら店の主に案内してほしかったんだが。
鑑定スキル持ってないんだよな。見ただけでは性能が分からない。
そう思っていたが、中の品を見渡してみると律儀に紙が張ってあり性能が書いてあった。
NPCは基本的に売るだけで品の説明はしないからな、たぶんこの店の主はいつもNPCに売り子を任せているのだろう。
逆にいえば人の目を気にせずじっくり品定めできるといったところか。
ぐるりと店の中を回ってみる。
どうやらここでは呪いのアクセサリーを専門に扱っている様だ。
結構値段が高いな。弱い効果の物でも三万Gぐらいする。
その代わりデザインは俺の好きな物ばっかりだ。
特にこの呪われた十字架のピアスなど、十字架なのに呪われているというのがたまらないな。性能も申し分ない。
『呪われた十字架のピアス
真っ黒い十字架のピアス。聖なる力を失い、闇の力を宿している。という設定。
戦いが始まると毎秒HPが1%ずつへる(最大HP1まで)
影人形スキルが装備できる』
『影人形 影を操ることが出来るようになる』
他にも俺が気になる品があった。
『反逆の逆十字架のピアス
銀色の逆十字架のピアス。神に反逆し、神を殺さんとする証。という設定。
HPとMPが回復できなくなる。
悪意の腕スキルが装備できる』
『悪意の腕 二本の黒い腕を異空間から出現させる。操ることが出来る』
『魔眼封印の眼帯
魔眼を封印する紋章が書かれた眼帯。呪いの魔眼は暴走するため封印しておかなければならない。という設定。付けている物には見えなくする効果がある。ただし鏡など見ればみることができる。
アーツが使用できなくなる。
経験値が1.2倍になる。レアドロップ率が1.2倍になる。』
『混沌の巻き布
黒と白の包帯。その力は闇と光の力封じ、混沌の力を増大させる。という設定。
対で一セット。
全属性の耐性が大幅に下がる。
防御力が大幅に下がる。
精神力が大幅に下がる。
スタミナ回復速度が上がる』
『魔界の髑髏の首輪
正面には髑髏があり、ちぎれた鎖がついている首輪。邪神により送り付けられたもので真の力が封印される。外すことが出来ない。という設定。実際には外すことが可能。
選んだステータスが1になる。(必ず3つは選ばなければならない)
選んだステータス以外のステータスが選んだステータスの数に応じて上がる』
完璧だ。完璧な。品揃えだ。
俺は20万GをNPCに払い購入する。
おつりはなしだ。
ピッタリ20万Gだった。
運がいいな。
後は葉巻を吸う時の椅子を用意しようと思ったが、その金はなくなってしまった。
気分がいい、俺は狩りにでも出かけようかと帰ろうとしたところで、ブラックボードを見つける。
書置きが出来るというやつだ。
『ご来店ありがとうございました。
デメリットが激しい品しかないですが買ってくれるとうれしいです。
by、マジョリナ。
来店者数:0』
と書いてある。
俺は来店者数を1に書き換えて書置きを残した。
『貴様の品は俺の役に立った。byガンマ』
というか来店者数が0って悲しいな。
俺が初の客だったのか。
俺は店を後にして、狩りに出かけるのだった。