ラスボス戦の始まり
俺がログインし直した時は時間にして12時32分だった。
俺は強化されまくったガンナースカイフォートレスの中を歩いていた。
「随分と豪華になったものだ」
最初はショボいキャノン砲と空中機構ぐらいしかなかったが、今ではキャノン砲は大幅に強化され機械兵や魔導砲、ガトリングガン、誘導ミサイル、などが積まれている。
大きさはあまり変わっていないが中は住居区や機械兵工場などでいっぱいだ。
居住区は誰も住んでないがな。
ジャッジメンターは俺だけのクランだ。
集会所を持たず、拠点のガンナースカイフォートレスだけがある。
俺はコアクリタルのところまでやって来た。
そこは大きなモニターや操縦するための機器などが置いてある部屋だ。
別にコアクリタルだけで操縦などは充分なのだが、雰囲気重視で置いてある。
俺は今まで第一の町ウノが見える辺りにガンナースカイフォートレスを浮遊させていた。
今では名物となっているほどだ。
俺は初めて使う、収納機能を使う。
これは都市を移動させる時に使う、コアクリタルに建物などを収納する機能だ。
俺のガンナースカイフォートレスは移動できる要塞なので今まで使ったことはなかった。
ついでに言うとガンナースカイフォートレスはクラン戦で一度もダメージを受けたことがないという最強の要塞として名を轟かせている。
「収納!」
吸い込まれていくように、いや実際周りの物が吸い込まれていく。
あっと言う間に要塞はコアクリタルだけになった。
俺は天駆スキルで空中に立ちながらコアクリタルを持つとインベントリにしまった。
「さて、少しの間だが、セロともお別れだ」
「にゃーん」
ラスボス戦では眼帯もマフラーもその他の封印系をすべて外して戦う、足枷をして勝てるほど邪神は弱くないだろう。
セロは言っては何だが邪魔になる。
なのでインベントリに入ってもらうことにした。
しばしの別れだ。
セロをしまうのはいつぶりかな。
かなり長いこと外に出しっぱなしな気がする。
少なくとも半年以上は頭に乗せていたような。
長い付き合いだな。
俺は神器転移石で邪神殿の前まで転移する。
神殿の前で一時になるのを待つ。
一時なったと同時にメニューから生放送投稿で投稿を開始する。
俺は扉に神殿の扉に触れる。
『この先からは引き返すことが出来ません。
ラスボス邪神ゼレキアス戦では敗北すると存在が抹消されます
中に入りますか?
YES・NO』
メッセージが出現する。
俺はすぐさまYESを押す。
『本当に中に入りますか?
YES・NO』
俺はYESを押す。
『最終警告です。
本当に中に入りますか?
YES・NO』
くどい、俺はYESを押す。
すると扉が開く。
俺は中に入った。
中は邪神殿といった名前から想像できないほどきれいな場所だった。
真っ白い大理石の床に柱、広々としており奥には黒い扉があった。
そして中には四人の人影があった。
GMたちだ。
女のGMで大会やクラン戦の進行役、ギーマ。
男のGMでGMコールなどを対処する、ガム。
男のGMでこちらもGMコールなどに対処する、ゲヘナ。
最後は頬にGMと書かれているのでGMなのだろうが、そいつは見たことないので分からない。女だ。
「ようこそ、邪神殿ラスボスの待つ神殿へ」
ギーマが呟く。
「ここから先は引き返せない。世界の命運は君にかかっている」
ガムが真剣な表情で言った。
「勝とうと負けようと僕は君を忘れないよ」
ゲヘナが複雑そうな表情でセリフを口にする。
「最後の敵がこの扉の先にいる。君が願わくば救世主とならんことを」
最後に女が締めくくった。
そこまでいうと、四人のGMはその場から姿を消した。
演出か、わざわざ姿を現してくれるとは、ありがたい。
テンションが上がるというものだ。
俺はすたすたと歩くと、黒い扉の前まで来る。
黒い扉からは邪気と言えばいいのだろうか、とにかく恐ろしいものを感じる。
殺気や憎悪が混ざったようなそんな混沌とした闇を感じた。
だが、その程度で億する俺ではない。
俺は扉を開く。
中は真っ黒だった。
俺はその名かを進んでいく。
きぃーっと音がして扉が閉まる音がした。
その瞬間、辺りが真っ白になる。
そこは膨大に広い空間だった。
どこまでも広がっており十キロはあるだろうか、十キロ先には白い壁があった。
俺の目の前、五メートル先ほどにそいつは座っていた。
真っ黒い玉座に座っているのは、黒い髪に金と銀の瞳、頭から赤い角を生やし病的な白い肌を持つ、黒い竜の鱗を使ったような鎧を身に着けている、まさに邪神を体現したかのような男だ。
玉座には髑髏が付いている大剣が立てかけてある。
あれで戦うのだろう。
不気味な声で邪神が喋る。
「くっくっく、哀れな。天使の手先よ。お前は何も知らずにここに来たのだな」
「何の事だ?」
天使の手先? 邪神は何を言っている?
「やはりか。お前がこの戦いに勝つことは絶対にない。我を閉じ込めるシステムを我が掌握している限りな」
やはり意味不明だ。それとも何か意味があるのか?
「お前は負ければ、ただデータが消されるだけだと思っているだろうがそれは違う。待っているのはお前の死だ」
今までNPCがシステムの事やデータ何て口に出したことはなかった。やはり何かがおかしい。
それに待っているの死? どういう意味だ。
「さあ、始めようか。天使どもは知らないだろうが我の封印もあと一日もあれば解ける。それまでの退屈しのぎをするとしよう」
「退屈しのぎか、それは無理な相談だな」
「ほう?」
「何故ならお前は俺に殺されるんだからな」
「言うではないか、小僧。その虚勢どこまで持つか楽しみだ」
そこまいうと邪神は椅子から立ち上がる。椅子はその場で粒子になり消えて、大剣が傾く。
それを邪神は拾い上げ、鞘から大剣を抜く。
鞘が地面に落ちた瞬間。
俺はリボルバーを懐から取り出して……引き金を引いた。




