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挨拶回り

「いらっしゃいませってガンマさん!?」


 店に入るとアスールではなく他のプレイヤーが売り子をしていた。

 アスールが雇っているプレイヤーだ。

 名前はメイで、何故かメイド服で店番をやっているプレイヤーだ。

 俺が昔、マジョリナの店を宣伝する時に大道芸をやったときにサクラとして来ていたひとりである。

 

「久しぶりだな。ラスボスに挑む前に挨拶回りに来た。具体的にはアスールに会いに来た」


「おお。店長に。店長も愛されてますなぁ。てんちょー! ガンマさんがお越しですよー! それも店長に会いに来るために来たんですってー!」


 そういいながら店の奥に入っていくメイ。

 玉座に座りながら店の客の邪魔にならないように、端に位置取りセロを愛でて待つ。といっても俺が来た時点で営業妨害物だろうが。


「いやっふー! 生ガンマさんだ! ガンマさん御用達ってマジだったんだ! 通ってよかったぁ!」

 

 という女性プレイヤーの声が聞こえたから満更妨害ではないのかも知れない。

 少し待つとアスールがやって来た。

 相変わらず青を基調とした服を着ている。

 何か顔が少し赤い気がするが、気のせいか。


「や、やあ、ガンマさん。ラスボスに挑むんだってね。というか私に会いに来たって何故に?」


「単なる挨拶回りだ。このデータで遊ぶのも最後になるかもしれないからな。仲のいいフレンドに挨拶をしていこうと思っただけだ」


「なるほどー、仲のいいフレンドだと思われてたんだ。これはうれしいねぇ。ところで他には誰に挨拶するつもりなの?」


にへへ、と笑った後にアスールが尋ねてきた。


「マジョリナとパパラッチだ」


「少なっ! というか女の子だけとは……」


そこから他愛無い話をする。

他愛無い話だったが一時間ほども掛かってしまった。


「そろそろ俺は行こう、昼からラスボスに挑みたいからな」


「行っちゃうんだねぇ」


「ほれ、受け取れ」


 セロを愛でていたアスールが名残惜しそうに言うので俺は映画館のチケットを渡した。

 これは映画館の席を必ず取れるという優れもののチケットだ。イベントで手に入れた余り物だ。

 

「午後1時からラスボスに挑む。映画館で俺の勇士を見ておくんだな」


「オッケー! 掲示版にも書いとくよ! もちろん生で見ておくからね!」


俺はアスールに別れのあいさつを済ませると、次はマジョリナの店である魔女の館に向かった。

 魔女の館は初期の裏通りの店から場所が移転していない。

 今では俺のネームバリューで隠れた名店として繁盛している。中に入るとプレイヤーがいたが、マジョリナは留守の様だった。

 サインを中のプレイヤーにせがまれたので、書いた後、ラスボスに挑戦すると言って店を出た。

 

「転移、マジョリナ」


 最初からマジョリナを直に指定すればよかったのだ。

 俺は暗い森に転移した。

 そこでマジョリナはキノコを採取していた。ちなみに俺が転移した場所はマジョリナのすぐ後ろだ。音もなく転移したので、マジョリナは気づいていない。


「ふんふんふふーん、ふふんふーん、ふふふふふーん」


 何かのアニソンだろうか。鼻歌を歌っていたので声をかけた。


「おい、マジョリナ」


「うへぇ! ってガンマさんじゃないですか! 何様で!」


 驚いた猫の様な反応をした後、俺に尋ねてきた。


「ラスボスに挑戦しようと思ってな最後になるかもしれないから、仲のいいフレンドに挨拶しに来た」


 俺の肩に乗っていたセロが「にゃー」とマジョリナの使い魔であるほーちゃんに挨拶する。「ほーほー」とほーちゃんの方からも挨拶が帰って来た。

 

「おお、私仲のいいフレンドって思われてたんですね。結構ビックリです」


「そうか?」


「そうですよ! 私のことなんて呪いの品を扱う店長位にしか思ってないと思ってましたから!」


 実際そうだろうが、とは言わないでおく。


「そうだ! せっかくなんで、一緒にキノコ採取しませんか。一時間ぐらいでいいんで!」


「そうだな、俺は採取をしたことがないから、いい経験になるだろう」


 そこから俺はマジョリナとキノコ採取をした。さりげに初めての採取だった。

 俺はモンスターのドロップ品などしかアイテムを狙わなかったからな。

 キノコ狩りは俺のLUKにより最高のキノコが揃った。

 逆に狙ってたのが出てない~とか言ってたが、よりレアなものが出たんだから勘弁してくれ。

 俺は映画館のチケットを渡すと、キノコをすべて押し付けてマジョリナと別れた。最後はパパラッチだ。


「転移、パパラッチ」


 転移した先ではパパラッチとドラゴヌと情報通の集まりの面々が戦闘していた。

 邪魔するのも悪いかなと思ったので、玉座に座って眺める。

 どうやら相手はゴリラのユニークボスの様だ。

 

「おわっ! いつの間に居たんですかガンマさん! 見てないで手伝ってください!」


 どうやらユニークボスのゴリラに情報通の集まりたちは追い詰められている様だ。

 

「いいのか?」


「俺からも頼む!」


 ドラゴヌがそんなことを言っている。俺はゴリラの眼球に弾丸を浴びせる。

 ゴリラは一発で消滅した。

 レベル9999最強格でも今や一撃だからな、レベル2000行くかどうかのゴリラ何て雑魚未満だ。

 

「おわっ、一瞬でゴリラがやられた!」


 情報通の集まりの一人がそんなことを言っていた。

 

「これでいいか? 俺はパパラッチに会いに来ただけなんだが」


「私ですか?」


「ああ、ラスボスに挑もうと思ってな、仲のいいフレンドに挨拶回りに来た」


「おおー、仲のいいフレンドって思われたんですね。感激です!」


 何故俺は三人全員に驚かれているんだろうか。

 そんなに俺が仲のいいフレンドと思っていることが驚きなのか?


「ラスボスに挑むか、検証班リーダーとして最初にそこに行きたかったね」


「大丈夫だ、生放送は言われなくてもするさ」


 ドラゴヌの言葉に適当に答えとく。


「ラスボスに挑むってことは最後になるかもしれないってことですよね。色々質問したいことがあるんですけどいいですか!?」


「いいぞ、大サービスで何でも対価無しで答えてやろう」


「おおー!」


 そこから俺はパパラッチとドラゴヌに質問攻めにされた。

 インタビューと思えば心地よいものだった。

 最後にラスボスに意気込みなどを聞かれたので「絶対勝つ」と答えておいた。

 一時間ほどで質問攻めは終わり、というか終わらせ映画館のチケットを渡して俺はパパラッチ達と別れる。

 さて、一旦昼ご飯でログアウトして、ログインし直すか。


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