フルメタルドラゴン狩り
まずフルメタルドラゴンを倒すには必要なものがある。それはセーブポイントだ。
町の外でログアウト、休憩するためのポイント。
フルメタルドラゴンがどこにでるかは、把握している。第十の町ディエスから西の方角だが、かなり遠いのだ。
俺が全力でダッシュしても二日かかるだろう。これは高校の授業があった場合の話だ。
つまり休みのない日にフルメタルドラゴンを狩るには野宿するためのセーブポイントが必要になって来るという事である。
そのためにテントというアイテムがいる。
テントはそのまま、セーブポイントだ。
ログアウトが出来て、休憩もできる。
テントは使い捨てで値段も1000Gとそれなりにするため、だったら街中でログアウトすればいいだけじゃんと買われなかったアイテムだ。
そこで俺は気づいた。利に聡い連中が、もしかして買い占めているのではないのかと。
俺の予想は的中した。どこの道具屋にいってもテントのアイテムが売ってないのだ。
店の入荷は早くて二日後と書いてある。
どこの店もだ。
これではフルメタルドラゴンを狩りに行けない。
夜更かしできる金曜日と土曜日を待てばいい話なのだが、そんなに俺は待てる性格ではない。
俺はダメもとでアスールの店に撃ってないか探しに行くことにした。
「あるよ。残り100個だけど」
「何! 本当か」
アスールの店には簡易な札でテント、転移石あります!と書いてある。
値段は様相談と書いてあった。
アスールはニヤリと笑う。
「ガンマさんはいくら払ってくれるのかな?」
「一つにつき500万G払おう」
「ふーん、500万Gね。500万G!?」
純利益、499万9000Gだ。
この値段なら必ず売ってくれるはずだ。
驚きの表情で俺を見つめるアスール。
「この際だから全部買おう。五億でいいな」
有無を言わさず俺は五億を取引でアスールに渡す。
当然テント100個は俺のものになった。
「いや~、大儲けですよ、わっはっはっは! 今後もよろしくね!」
「ああ」
俺は早々とアスールの店を後にする。残りの残金、7億8000万は商人ギルドの銀行に預け、俺は早速フルメタルドラゴンを狩りに行くことにした。
コンパスを店で買って、ひたすら西に行くのだ。
とここでコンパスももしかして買い占められているんじゃないかという不安に陥る。
だが、コンパスは買い占められてはいなかった。普通に100Gのコンパスを買い、俺は第十の町ディエスから西に向けて走った。
ひたすら走る。途中で出来た敵は走りの邪魔にならない程度に狩っていった。前を塞ぐ奴は問答無用で退治した。
最初はそれでよかったが、一日目をログアウトして二日目に入ると敵のレベルが上がって来て、一撃では倒せないようになってきた。
俺は走ることに集中する。
そしてついに俺は二日目のリアル時間で午後11時にフルメタルドラゴンがいる場所に到着した。
明日も学校だからそろそろログアウトの時間なのだが、一戦だけ俺はフルメタルドラゴンと交えることにした。
フルメタルドラゴンは全長25メートルからなる巨大なドラゴンだ。
攻撃は物理攻撃や、地面を抉って土や岩を飛ばすといった単純なものだ。
しかし鈍重とはいいがたい素早い動きで俺を翻弄する。
単純な速さなら俺に迫りそうな勢いだ。
そしてこいつの真骨頂は速さではなく硬さにある。つぶらな瞳は弾丸一発分の大きさしかない。ミリ単位でずれたら周りの皮膚に弾かれる。
俺は三十分ほどひたすら影人形と悪意の腕と悪意の目を全力で動員し、目を狙っていた。しかし確定クリティカルですら減ってるかどうか分からないほどしか減らず、三十分かけても一割も減っていない。
「どんだけタフなんだよ」
その時だ。もう一匹、フルメタルドラゴンが近くに寄って来た。
こんなタフで化けものみたいな奴でも、雑魚か。
俺は戦略的撤退をすることにした。
ダッシュでフルメタルドラゴンを引き離し、ノンアクティブになった時に俺はテントを使いログアウトした。
まさか、フルメタルドラゴンがただの雑魚扱いとは。
一体何レベルあるんだ?
空中要塞のコアクリスタルに必要な建材は、フルメタルドラゴンがレアで落とすマギアダマンタイト10個。最低で10個だ。
俺は二週間以内に集めることが出来るのか?
三十分で一割と考えても一匹倒すのに、5時間。それが10回で50時間。
レアドロップ率にもよるが、かなりかかるのは間違いない。
考えても仕方ないか。
俺はログアウトするとさっさと寝た。
翌日ログインして、フルメタルドラゴンを探す。
一匹どころか、大体二、三匹で群れている。そんなんがゴロゴロ存在している。
昨日の一匹だけというのはラッキーだったみたいだ。
俺は何とか一匹だけのフルメタルドラゴンを見つけると、さっそく攻撃を始める。
戦闘になって一時間、敵が増えた。
フルメタルドラゴンの群れが乱入してきたのだ。
合計で四匹になる。
だが、ここで逃げるとの苦労が無駄になる。
俺は手数減るのを覚悟して四匹を同時に相手することに決めた。
もちろん死ぬリスクも高まる。
巨大なスリル。高まるテンション。死を目前にしてこそ、プレイヤースキルは上がるのだ。
戦いから四時間後、一匹のフルメタルドラゴンの体力を七割削った。
「エクストラアーツ! トータルガンナードラゴン!」
レベル275のエクストラアーツであるトータルガンナードラゴンを召喚する。
それに乗り込む俺。
銃器でできたドラゴンはフルメタルドラゴンの倍くらいの大きさだ。
トータルガンナードラゴンは弾を撃った数ほど、その数に比例して巨大にそして強くなる。
まずはフルメタルドラゴンの口に腕を突っ込み、ガトリングガンを喉にぶち込む。
みるみるHPが減っていき、ものの一分で三割を削り切って一匹を退治した。
羽から誘導ミサイルを放ち、他のフルメタルドラゴンを攻撃する。
一発で一割ほどのダメージが入る。
誘導ミサイルを三十発ほど撃てば、他のフルメタルドラゴンも倒せた。
『称号 超究極下剋上 を取得しました』
称号と経験値とGとアイテムが手に入る。
一気に六十ほどレベルが上がったんだが、一体フルメタルドラゴンは何レベルだったんだ?
今では247レベルだ。
そしてアイテムを見ると、最低の物でもレアリティ40を誇っている。
こいつ400レベルほどあったのか。そりゃ体力が全然削れないはずだ。
そしてマギアダマンタイトは二つ手に入った。
レアリティは50、確率にして50パーセントか。俺の幸運ありきでこれなんだから、他の奴らがとろうと思えば何時間かかるのかね。
俺はその日からフルメタルドラゴンを狩りまくった。
その結果クラン戦の一日前には、レベル421、マギアダマンタイト370個という結果になった。
充分だ。俺のクランを作ろう。
そしてクラン戦にて伝説を立ててやろう。




